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長谷の竈 製作記(7)

 

これは、2022年長野県伊那市長谷中尾集落にある再生された古民家につくったご飯炊き専用竈「長谷の竈」の製作記です。
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12月に入り制作も後半戦。ここからはいよいよ本格的な未知の領域となる。長谷の竈は大きく分けて土台部、釜戸本体部、蛇紋岩石組み部、これら3つパーツで構成されている。土台と釜戸本体は図面に則って小谷氏が製作した。しかし、ここからは図面はない。「作りながら考え、考えながら作る」手法となる。それには、二次元図面ではつかみにくいフォルムやボリューム感を、言わば粘土で造形するかのように、足したり引いたりしながら全体像を作りたいからだ。

12月5日、蛇篭制作ため、松下氏、小谷氏、僕の3人が集まり溶接作業を依頼した松下氏の工場で行うことになった。鉄筋の太さは三種類、その中には松下氏の工場にあった「いい感じ」に錆びた鉄筋も含まれている。(因みに「いい感じ」という意味は、鉄はこの地上では錆びている状態がもっとも安定しているからだ。一般にそれを酸化という。)まずは、それらを適当な長さにランダムに切断、事前に作っておいた地上部の鉄筋を土台として、これまたランダムに溶接し、トラス状の形状を作っていく。ランダムとはいえ、できたトラス面はすべて二次元とし、その二次元面が少しづつ角度をつけながら全体のフォルムをつくっていくのだ。サンプルで持ち帰った蛇紋岩を、少しだけできたトラス状の蛇篭の中へ据えてみる。

「あ~、鉄筋と蛇紋岩の相性いいね~」誰とはなしに同じ言葉を口にした。

これまで、小谷氏や松下氏に「長谷の竈」の具体的なイメージを説明しづらく、少々悶々としていたが、こうして「作りながら考え、考えながら作る」をしながら、その片りんが目の前に現れることで、僕の頭の中だけにあった「長谷の竈」の理解が進み、チームの士気が上がっていく実感を得た。このあと二日に分け作業をし、静岡での製作はすべて完了。あとは春を待ち、設置する長谷にある再生された古民家へ運び入れ、最終の作業が残るのみ。未知の領域は、さらに(つづく)
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2022年05月17日 [ 136hit ]
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