10月8日号 ヒノヒカリ オブ アート。の巻
10月8日(火)待ちに待った今年の松下×安米プロジェクトのメイン品種「ヒノヒカリ」が入荷した。前回のレポートどうり仕上がりは上々、総数量40俵(玄米2400キロ)当初の計画数量どうりで質、量とも申し分のない出来だった。あとは「美味しさ」が今後の展開へのカギとなるわけで小生自身が最も緊張する瞬間なのである。
小生が食べてきた過去3年の松下くんの米の評価は正直むずかしいものだった。彼の周辺の人達からの評価は高いものの米販売のプロとしての小生の一般的な評価をすれば「その他一般の普通の米」レベルは否めない代物だった。しかし彼の人柄が全面に表されたような粗野ではあるが馬力を感じる何かがあったのも事実。昨年の米はまさにそのもので確実に多くの人の心を魅了し松下ファンを作り上げた。 それでも小生としては「ここをこうすれば、あそこがああなら」と不満だらけの米だった。そんな状況を打開しようと今年は栽培計画にもほんの少しだけ口をはさみ品種もこちらから指定することにした。そのような経緯から今年の米はなんとしてでも「その他一般米」にはなってもらいたくないと、この半年間祈るような気持ちで見守ってきた。入荷前日に松下くんからの「あんまり期待すんなよ」との電話で「ひどい米だったらどうしよう!」なんて動揺したまま今日の日を迎えたのである。 夕飯に試食テストするべく社長自ら(小生の父)米研ぎをした。1時間以上しっかり浸水させ、いざスイッチオン!・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 炊き上がり蓋を開けしゃもじを入れた瞬間、「ん!これは!」と感じた。美味しいご飯の時に感じるアレだった。まさかと思ってひとくち入れてみた。一同「あ、いいね」美味しいご飯は何も考えることなくこの言葉が出るのが我が家の定石なのだ。始終松下くんの悪口ばかりしぞーか弁で言ってる(照れ隠しで言ってるのであるが)父が珍しく「おい!すぐ電話してやれ!よろこぶぞ!」などと言うので笑ってしまった。というわけで小生の心配はいっきに吹っ飛び意気揚揚と松下くんの携帯電話を鳴らしたのである。 小生が松下くんに求めて止まない米とはこんな米である。 「そこそこ美味しければいい」だとか「腹がいっぱいになれば充分」だとか「無農薬有機栽培米ならばこれでいい」というレベルのものではなく、例えばアーティストが魂を賭けて表現する作品や、工芸家が技術の粋をかけて作り出す一種「アート」といえるようなそういうレベルのお米の栽培を追及してもらいたいと心から思うのです。そういった米ならばきっと多くの人に生活の喜びやたべものへの感謝を実感させることができるだろうし、また彼の田圃を住処とする多くの動植物も彼の米作りにこれからも大いに貢献してくれるはずだろうから・・・・・。今年の米はそのための第一歩を踏み出したと確信できるすばらしい出来ばえだと感じています。 |
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( 2002年度 )
2002年01月14日 [ 3838hit ]