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9月27日号 稲刈り中盤。
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ヒノヒカリの葉である。稲の葉色は稲の生育状態のバロメーター、10日前とは見違えるほど色が抜けた。あと2週間ほどで収穫の時期を迎える頃には黄金色となる。もう少しである。

 松下の田圃では、いよいよ稲刈りも中盤である。残こすところ、あさひの夢ヒノヒカリ、そして酒米山田錦3種となった。このうち、あさひの夢と、ヒノヒカリ2種が、アンコメ米作りプロジェクト米としてアンコメにやって来る。じつは山田錦だって詳しい説明はしないが、私にとってはとても楽しみな稲であることは変わりなく、残りすべてが無事収穫の日を迎えられるよう、祈るように日々を過ごしている。

 そんなわけで、10日に1度の藤枝通いには必ず田圃を見て廻る。その中でも一番気がかりなのが、ヒノヒカリだ。
あさひの夢は、良い意味でズボラな稲で、水があろうがなかろうがどんな厳しい環境でも、そ知らぬ顔で元気に生長するのに比べ、ヒノヒカリ少しひ弱な面を持つ。ここのところの真夏のような晴天で、雨も少ないせいで乾燥が少し気がかりなのだ。
じつは先日収穫した品種、いただきの収穫時の水分量が20%を少し割る数字だったからだ。過乾燥を防ぐために、田圃には水を入れてはいるものの、この土地の田圃はザル。朝入れても午後にはすっかり干上がってしまうほど水はけが良い。
それは、かつてこの土地が大井川の氾濫原であることに起因する土地の性格そのものだが、悪いことばかりではない。
こういう土地だから肥料成分もザルの隙間からどんどん流れ出てしまう。だから収量は望めないが、痩せてはいるけれどキレのいい稲が育つメリットもあるのだ。
まあしかし、こういう天候が続くと、「もう少し水持ちが良いといいな・・・」と、ないものねだりを考えたりもする。

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コンバインを分解掃除する松下。複雑な構造を持つ稲刈りためのマシンである。全部で7町歩、しかもあちらこちらに分散した田圃、お世辞にも好条件とは言えない。それでもたった一人で作業を可能にしたのはこれらのマシンのおかげだ。「俺の米は、石油を喰っているもんだな・・・」と、松下はつぶやいた。

 「分解掃除だよ・・・品種の数だけな・・・」。

 作業場へ行くと松下がコンバインの分解掃除をしていた。午前中知人の稲刈りを手伝ってきたらしい。大規模農家にあるような戦車みたいな大きなコンバインではないが、フルサイズの4輪駆動車くらいはあるだろうか。そのボディ内部には、無数のモーター、ギア、回転する刃、それらを繋ぐ無数のチェーンが複雑に絡み合って全体を構成している。まるでSF映画に出てきそうな風情である。
その中のありとあらゆる箇所に手を突っ込み、エアガンを使って今日午前中収穫した時に残留した米粒(籾)を丁寧に除去していく。

 「これどれくらい掛けて掃除するの?」

 そう聞くと、松下はニヤッと笑いながら、「半日・・・」と答えた。
松下は例年少なくとも、7〜8種類栽培している。ということは、この作業を、同じ数だけやっていることになる。それはどんなに少ない面積の収穫でも、どんなに似かよった品種であろうとも、きちんと分解掃除をする。
理由は簡単。コンタミネーション(混交)をなくすためだ。とくに巨大胚芽米カミアカリや山田錦などの特殊な品種に、その他の品種が混ざってしまうと、商品価値を下げるどころか、それらの信頼性までもが疑われることになりかねないからだ。
言葉にすれば当たり前のことだが、じっさいこの大きく複雑な構造を持つ機械を前にして、ありとあらゆる隙間の、そのまた隙間の奥まで掃除する几帳面さには頭が下がる。

 こういう仕事っぷりを見ると、つくづく稲作とは、ずぼらな人間にはできない仕事だと感じる。
かつて松下と知り合ったばかりの頃、こう言われたことを思い出した。
「あんた自身で稲を栽培してみたらどう?」
その時間髪入れずにこう言った。
米は売るもので作るものではない・・・」
なんとも冷酷な言いぶりをしたものだ。
しかし、今もし同じことを言われたらどう答えるだろうか。もしかするとこんな答えが精一杯かなと思う。
品種はあさひの夢だけ、それも1畝くらい・・・全部手植え手刈りで・・・」。
には、やっぱり米を売る仕事が合っているように思う。それは松下稲を育てる仕事がぴったり合っているのと同じように。僕らは二人三脚で、ようやく一人前というわけなのだ。

ヒノヒカリである。アンコメ米作りプロジェクトのメイン品種である。早晩性は中生の中、夏の高温に強いことから選んだ。これまでの平均反収は一反7俵弱(400キロ位)である。農薬化学肥料を使うえば、収量はもっと獲れるが、質と食味のバランスを狙うと、あえてこれくらいに抑えて栽培している。アンコメ米作りプロジェクトとして採用した品種としては成功した品種とも言えるが、これで満足してはいない。松下には、いや藤枝の地ではなかなか出せなかった触感をどうしても表現したい。そのための挑戦が「いただき」という品種だった。いつかそのヒノヒカリである。アンコメ米作りプロジェクトのメイン品種である。早晩性は中生の中、夏の高温に強いことから選んだ。これまでの平均反収は一反7俵弱(400キロ位)である。農薬化学肥料を使うえば、収量はもっと獲れるが、質と食味のバランスを狙うと、あえてこれくらいに抑えて栽培している。アンコメ米作りプロジェクトとして採用した品種としては成功した品種とも言えるが、これで満足してはいない。松下には、いや藤枝の地ではなかなか出せなかった触感をどうしても表現したい。そのための挑戦が「いただき」という品種だった。いつかその米が、先入観なしに食べた時、「何これ?すごくいいね0」と言われるだけの米になることを望んでいる。

2009年09月27日 [ 3260hit ]
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