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9月24日号 一点の曇りもない清々しい姿 について。

 9月23日の日曜日に掛川市内の五明の丘で行われた、自転車ツーリング&土鍋のご飯炊き&観望会の複合イベント「星を見に行こう」に、講師として参加させていただいた。しかも今回は家族5人総出で・・・。じっさいは講師という立場よりも、内容からして小生の大好きな自転車ツーリング+宇宙観察であるから、もしかすると参加者の中で、最もはしゃいでいたのではないかと思われる。まあそんなイベントだった。

 観望会というものは当然夜遅くまでやるものであるから、その日は掛川に宿を取り、翌日帰ることにした。その帰り道、掛川森町界隈に来たときには必ず寄ることにしているジャージー牛乳と、それを原料にして作るアイスクリームが有名な店「しばちゃん牛乳」に向かった。
しばちゃんの店に行くには、掛川市内から昨晩観望会をやった五明の丘方面(北)へ向かって山の中へ入っていくのだが、今日はトンネル前で通行止め、仕方なく引き返したところで目が止まった。

 「いい田圃だな・・・」
その谷あいには、小さいながら明るく晴れやかな田圃があった。
よく松下くんと話す、「一点の曇りもない清々しい姿」そのものであった。
後ろのシートで大騒ぎする子供たちを尻目に、その場に車を止め、ニヤニヤしながらその清々しい田圃の風景を一枚だけカメラに収めたのだ。そして助手席に座るカミさんにも、ちょっと知ったかぶりして、こんなレクチャーをした。
「株と株の間も広く、たぶん反収は6俵台(360キロ強)くらい・・・」
「こういう田圃がいい田圃なんだよ。」
「よく目に焼き付けておいてね。」

 谷あいの限られた日照時間と冷たい用水、けっして恵まれているとはいえないような条件の中で精一杯に生きる姿こそが、じつは「一点の曇りもない清々しい姿」を作り出す要因なのだと経験的に感じている。
人はそれを美しいと感じるのである。美しさとは、そこに美しいものを生み出そうとする作為がないところに生まれるようにも思う。目の前で精一杯生きているこの山中の田圃には、まぎれもなく、その作為のない美しさが宿っていたのだ。

 少しだけ遠回りしたが「しばちゃん牛乳」で目的のアイスクリームを食べ帰路に着いた。途中、今さっき見たあの田圃の残像が残っているうちに確かめたいものがあった。それは松下くんの田圃の「ヒノヒカリ」と「あさひの夢」だ。
松下くんと小生が理想とする田圃の姿、「一点の曇りもない清々しい姿」に我々自身が関わる田圃がどうであるかを、確かめたくなったのだ。

 藤枝バイパスを谷稲葉インターで降り、松下くんの田圃へ向かう。この時期、周辺の田圃はほとんど稲刈りが済んでいる。早生系統の品種が多い証拠である。
いつもの順番で栃山川沿いの「あさひの夢」の田圃を見るべく橋を渡ったその瞬間、左手に見える田圃を指さして助手席のカミさんはこう言った
「あれ松下くんの田圃でしょ・・・」
晴れやかで清々しい感じがするもの・・・」
彼女はすっかりその気になってその美しい田圃を自慢げに見入っていた。
次に向かったのは、そこから少し離れたところにある「ヒノヒカリ」の田圃、
「この田圃はどう思う?」とカミさんに尋ねると、
「うん、こっちもいいんじゃない・・・でも・・・」
「でも?なに?」
「何か、あさひの夢とは違うね〜品種の違いのせいなの・・・?」
「そのとおり、たしかにちょっと重く見えるよね」

 彼女が感じ取ったその違いは、生長具合の違いからくる葉色の違いのようだった。「あさひの夢」の収穫は10月初旬。今はちょうど葉から緑色が抜け切るちょうどその時、だからカラっと晴れやかに見えたのだった。
いっぽう「ヒノヒカ」リ」の収穫は10月下旬。今はまだ登熟期の真っ最中、毎日太陽光線をたっぷりと浴び旺盛に光合成している。だいぶん色が抜けてきたとはいえ、まだまだ葉色は緑基調、これからさらに色が抜けていき収穫1週間前くらいになれば、きっと今の「あさひの夢」と同じような姿となるはずだ。

 ところで、松下くんの田圃が「一点の曇りもない姿」だったのか?については、まだ少しだけ曇っているようにも見える。その曇り原因は、僕らの中にある「欲」なのかもしれない。
いいモノを作りたい。いい味の米にしたい。人から良い評価をされたい。そんながその曇りの原因のような気がする。
そういう気持ちに折り合いをつけ、持てる技術を自然体で使えるようになれればと思う。小生がこんなことを考えていたら、松下くんからもがこんな電話が入った。
「もう一度、原点に戻ってみようと思うんだ。」
彼もまた、現状を打破しなくてはならないと思っているようなのだ。
一点の曇りもない清々しい姿」とは僕らにとって作為を持って取り組まなくてはならない、最も困難な課題であることを、あらためて感じたのである。

 


「あさひの夢」は収穫1週間前。
「あさひの夢」は収穫1週間前。
2007年01月28日 [ 2582hit ]
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