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9月2日号 みごとな姿、あさひの夢。

 あえて松下農法という言葉を使えば、彼の行う農法で最もその成果が現れるのが、中生から晩生品種と言えよう。彼の名を世に知らしめることになった晩生の酒造用好適品種「山田錦」はその代表選手。しかし、小生がこれまで見てきた8年間の中では、もう一種類代表として選びたい品種がある。それが、「あさひの夢」である。

 あさひの夢は、明治時代の人気品種、「亀の尾」と人気を二分した品種、「旭」の直系品種で、その系統では、「あいちのかおり」、有名どころでは主に岐阜で栽培されている「ハツシモ」などもある。成熟期は中生の晩、要するに遅い中生品種である。その食感は、大粒あっさりとしたタッチ。それを松下農法で栽培すると、彼の農法の最大の特徴である野性味が見事に表現されるのだ。

 松下くんの農法のことを以前から時々こう表現しているのをご記憶だろうか。
有機博打農法
田圃の中の微生物任せのコントロールの難しい農法を、皮肉まじりにこんな言い方をしているのだ。こんな農法には、ダイナミックレンジの広い品種が合う。とにかく暑かろうが寒かろうが、水があろうとなかろうと、お構いなし。自らが生きようとする生命力の強い品種がいい。
そういうキャラクターからすると、経験的には中生か、さらに晩生のほうが、その傾向が強いような気がしている。
あさひの夢」は、まさにそんな力が潜んでいる可能性の高い中生の晩、松下農法に相性が良くてあたりまえなのだ。

 今、目の前に凛として立つ稲は、「あさひの夢」である。色合い、形、バランス、その姿は一見してわかるほど健全で見事な姿なのだ。久々に惚れ惚れと見とれてこんな言葉が出た。
「あさひの夢、格好いいね〜
「去年も良かったけれど、今年はさらに見ごたえあるね・・・」
「これなら山田錦にも負けない美しさだよ」
小生は、畔道で、こんなふうに褒めまくった
松下くん本人もまた、小生と同じように感じているらしく、
「いやー本当に良い出来なんだよ・・・仕上がりが楽しみで仕方ないよ

 「あさひの夢」という品種そのものは、どちらかというと人気品種の部類ではないけれど、松下農法で栽培すると、その品種の良さ全面に表現される
そういうことを知った時から、世に出た品種には、その一つ一つに必ずきちんとした意味があることを知った。と同時にその意味するところが、きちんと表現されないのは栽培によるところが大きいことも知ったのだ。
松下くんの有機農法は、この藤枝の地においてベターであって、他の場所で通用する技術ではないし、他と比べるべきものでもない。しかし稲の生命力を最大限に生かすこの農法には、品種それぞれの力を出し切る何かがあることは間違いない。
そんな力を出し切って実った米は、そのどれもがとても魅力的で、おいそれと1番だとか2番だとか順位を決められるものではない。
もっとも、そういうことが陳腐に思えるくらいに、ここで育った「あさひの夢」は魅力満載なのだ。

 そんな魅力満載の「あさひの夢」は10月初旬にはアンコメの店頭に並ぶ予定。もうじきです。もう少しだけ待っててください。

 


どこか神々しささえも感じることができる見事な姿。「あさひの夢」
どこか神々しささえも感じることができる見事な姿。「あさひの夢」
2007年01月28日 [ 4473hit ]
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