今日は小生が昨年9月に一日講師を務めさせていただいた掛川のライフスタイルデザインカレッジのスタッフと共に藤枝に訪れた。今年行うカリキュラム「Nippon学」の講師を小生の友人Aさんにお願いするための訪問である。
概ね仕事の話を済ませた後「どうせだから松下さんの田圃も見せて・・・」というスタッフのリクエストにお答えして寒い雨の降る中、松下さんの田圃のある青南町に向かった。
「雨降りだから松下くんは居るだろう・・・」と思って作業場に行ってみるとシャッターは閉まり、物音ひとつもしない。
「やれやれいないか・・・」と、思ってとりあえず携帯に電話してみた。するとなぜか、電話の向こうの声より先に、本人の声がどこからか聞こえてくるではないか。その瞬間、松下くんが母屋の玄関からヒョイと顔を出した。
「なんだ、居るじゃないか・・・」というと、
「なんだ今日は、雨の日にそんな大勢で・・・」と松下くん。
事の次第を説明するやいなや、というかする間に、始まったのだ!松下くんのベラベラが!
掛川のスタッフの中には、過去に数回会っている人。あるいはこのウェブサイトを見て、おぼろげながらでも松下像がある人。そして全く予備知識のない人。そんな免疫力に多少の差のある突然の訪問者たちにも関わらず、松下くんは自らの農を語り始めたのだ!
話しが始まってまもなく、有機農業体験のあるスタッフの一人がこんな質問を松下くんに投げかけたのだ。
「松下さんはどんな有機肥料を使っているんですか・・・?」
そこに何というタイミングであろう、昨日仕入れてきたばかりの自作有機肥料の原料の一つでもあるサバ節のカスが2トントラックの荷台いっぱい積んであったのだ。しかもそれがとてもいい匂いを放っているのだ。
「食べてごらん、喰えるから・・・」と松下くん。
「エ〜食べられるんですか〜!!!」というスタッフ。
「私は人が食べられるモノでしか肥料は作りません!」と、例のごとく松下くん。
その瞬間、トラックのサバ節を自作のアルミ製スコップで一杯すくってスタッフの目の前に運んできた。
「食べてみて、これなら喰えるよ」と松下くん。
スタッフのS氏は覚悟を決めて口に放り込む。
「あッ!旨いじゃん、ご飯がほしいな・・・」
それを見て、アメリカ人スタッフSさんも、すかさず口にした。彼女が「Oh delicious!」と云ったかどうかは定かではないが、相変わらず笑顔に変化がなかったことだけは確認できた。
初対面であろうが誰であろうがベラベラとやりまくる松下くんのパワーには毎回感嘆するけれど、出されたサバ節のカスを物怖じせず口にする掛川ライフスタイルデザインカレッジ軍団にも恐れ入った。でもまあ、こういう交流そのものが彼の農を支えている原動力でもあるんだな。と、ファインダー越しに感じた瞬間であった。