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3月21日号 春分の日、早春の田圃を愛でに自転車で行く。

 今日は春分の日、昼間の長さと夜の長さが同じなる日。この地球規模の節目の日にアンコメ米作りプロジェクト2007年の1回目の田圃ウォッチングに出掛けた。彼岸の中日でもあるので午前中にお墓参りを済ませたあと、いつもなら自動車で出掛けるのだが今回は自転車で行くことにした。しかも電車も使ういわゆる輪行というスタイルだ。

 自転車に好きの小生が最近手に入れた折り畳み自転車。車重わずか7キロ強というその軽量の自転車は、まさに輪行することを前提として設計されただけあって、たった1分ほどで簡易の袋にいれて駅の改札を通り抜けるという気軽さなのだ。
映画「不都合な真実」の影響というわけじゃないけれど、今年のような異常なまでの暖冬だと、やっぱり何かしたくなる。そこで小生でもすぐできる方法ひとつが、移動手段にはなるべく公共交通機関を使うこと。まあそれだけじゃちょっと面白みがないので自転車の機動力も生かした「輪行」という手段が小生の出した今すぐ出来るアンチ温暖化策なのだ。

 小生のようなやや浪費傾向強い人間が、こんなことがしたくなるには、やはり田圃と深く関わるようになったからだと思う。とくに年間通して田圃に通うようになったここ6年ほどは、一般の人が桜の開花時期で一喜一憂するのと同じように、稲の生長に一喜一憂している。とくに温暖化による気候変動は、そのまま稲の生育状況に影響することから、いつの間にか不安感危機感をダイレクトに感じるようになったからなのだと思う。
まあ小生がこのスタイルで田圃へ行くことくらいでは、大局的な問題解決にはならないだろうけれど、じつはこのスタイルでの田圃ウォッチングに出掛けることで、意外な副産物をもたらしてくれることが判ったのだ。

 自転車を使った田圃ウォッチングでもたらされた意外な副産物とは・・・・。
それはあたかも田圃全体、あるいはその田圃のある地域全体を俯瞰するような感覚で、体で感じることができるということなのです。
例えば今日は、東海道線の六合駅で下車して松下くんの田圃を目指したのですが、このルートを辿るとわずかに下っていることが体感できるのです。これは自動車ではぜったいに判らない感覚です。またこれは、徒歩でも判らない微妙な下降感覚なのです。このわずかな標高差を自転車は感じ取れるのです。
また車では見逃してしまうような細かなところが実に良く見えてくるのです。例えば地域にある神社やお寺や道端の道祖神。これらは、その地域の開墾や水害など歴史の情報庫です。また道端や用水路などに繁茂する雑草の植生。これらは常に転変し流行がありますから田圃に進入してくる雑草のトレンドを知るにはうってつけです。また季節の移ろいや、その年の気候のトレンドを知るための情報源にもなります。そういった諸々が、自転車で走るだけで自然に感じ取れるようになり田圃周辺や地域全体の姿を体で理解できるようになるのです。

 田おこし前の春草の繁茂する田圃を自転車に乗って一枚一枚観察しながら流して松下くんが作業している田圃に到着した。松下くんは真紅の目新しい機械を付けたトラクターを走らせていた。
「見たこと無い機械だな・・・」と声を掛ける。
あぜ塗り機、新調しちゃった!」
「かみさんにはナイショだけどな・・・」と追加の返答。
昨年の大規模設備投資のどさくさに紛れて、ずっと欲しかったあぜ塗りも購入したらしいのだ。これによって3月に行う田圃の土木作業は例年になくスムースだという。
「この時期の田圃整備ですべてが決まる
「いかに正確に田圃の水平を作るかが勝負の決め手だ」
松下くんはこの時期、呪文のようにこれを繰り返して言う。彼の有機栽培にとって必要不可欠なこの田圃の水平や、きちんとした畔の整備は、雑草を生やさない(抑える)ことと米質の安定のためには、絶対に妥協できない作業なのだ。だからそのための努力は惜しまない。それでも人間のやることには限界もあり、上手くいかないことだってある。その部分をフォローするのがこういった機械なのだ。

 小生にとって2007年(平成19年産)シーズンの田圃ウォッチングの秘密兵器がこの小さな自転車であるように、松下くんにとっての秘密兵器はこの真紅のあぜ塗り機なのだ。いや、もしかすると今シーズンは更なる秘密兵器が見られるのかもしれない。ただし本当の秘密(ナイショ)兵器なのかもしれないが。

 


2007年もこの人、松下明弘さんの稲作をアンコメ店主がカメラをぶら下げて田圃ウォッチングに出掛けます。 この様子を店主独自の視点でレポート致します。ご期待ください!
2007年もこの人、松下明弘さんの稲作をアンコメ店主がカメラをぶら下げて田圃ウォッチングに出掛けます。 この様子を店主独自の視点でレポート致します。ご期待ください!
2007年01月28日 [ 3590hit ]
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