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4月10日号 日焼け&シェイプの巻

 桜が散りはじめた雨の月曜日、高野くんの田圃のある菊川市に出掛けた。 久しぶりに見た高野くんは、日焼け&シェイプして健康的な姿となって僕の前に現れた。「あれ、少し痩せた?」と聞くと、「7キロも痩せましたよ」と笑いながらで答えた。

  思い出せば昨年の今頃・・・というより昨年一年間の彼の体調はあまり思わしいものでなかった。それを我慢して続けた田圃の作業は、やはりいま一つキレがなく結局のところ問題解決が常に後手にまわったことが思い出される。それが17年産の失敗の原因そのものだった。

 しかし今、僕の目の前いる彼は昨年とは明らかに違った。それは体調の良さから発する雰囲気はもちろんのこと、彼の仕事場である田圃の様子を見ればさらに一目瞭然だった。田圃の微に細に今やるべきことにきちんと手が入っているのが伝わってくるのだ。耕作面積こそ様々な事情から減ってはしまったが、逆にその少ない面積で丁寧な仕事をするという前向きさが伝わって来るのである。

 「今年は松下さんが実践している方法を参考にして田圃整備をしてみました・・・」。

 それは、田圃を深く起こさないで表面から3〜5センチ程度を薄く耕す方法のことで、堆積した土の中の微生物環境を破壊せずに、その微生物環境を稲の生育に有効利用するための方法だと言う。

 とは、有機物が時間とともに微生物に分解されて堆積されたものをいう。だから過去に分解されたものは深い部分にあり、最近分解されたものは表面付近にある。これが自然の状態の土壌というものである。さらに土壌の浅い部分と深い部分は均質ではなく、様々な微生物達がその時間軸に沿って住み分けをしているそうなのだ。

  深起しすることは春草(雑草)対策や稲の初期段階での生長には有効かもしれないけれど、健康で強い稲(まるで雑草のような)を育てるには、深く起こさないことによる土壌の硬さと階層化した微生物層を味方にしなくてはならない。

 よく考えてみれば、河川敷に生える雑草は耕すことなく水をやることもなく農薬もない状況で健康に生長し実をつけている。稲も人間が利用する以前は河川敷の雑草のような野生種だったはずだ。稲も丈夫で健康に育つためには、そのような環境に近い状態にして育てるべきである。

 そのためには深く起さないで、堆積した土壌に住む微生物層を破壊しないように田圃整備するのが大切だと言うのだ。
その上で、彼はもう一つ技術を加えた。「乾土効果」である。浅く起した土をカマボコ型に盛り土して太陽や空気に接する表面積を増やし乾燥させることによって、昨年の稲わらなどの有機物の肥料化を促進する技術である。

  このように、日焼け&シェイプして体調の良い高野くんの18年シーズンは順調なスタートのようである。健康であると何でも新しいことに挑戦できる。挑戦すれば新しい成果が得られる。なんとも素晴らしいことではないか!


ドンピシャ!5センチ。基礎工事の正確さは農薬に頼らないための必須条件だ。
ドンピシャ!5センチ。基礎工事の正確さは農薬に頼らないための必須条件だ。
2006年01月28日 [ 2999hit ]
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