執筆者プロフィール 白鳥和也 1960年静岡県生まれ。小説家・エッセイスト・自転車文学研究室主宰。最近、念願の小説本『丘の上の小さな街で 白鳥和也自転車小説集』(えい出版社・えい文庫)を上梓。そのほか著書は『自転車依存症』『素晴らしき自転車の旅』(以上平凡社)』など。自転車の旅と書物と米のご飯をこよなく愛する中年男。 自転車文学研究室ブログ |
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寄稿(現在、 18 件登録されています!)
【飯稲記】白鳥和也さん (18)
並び替え | | | タイトル | | | 日時 | | | ヒット数 | | |
其の一八 深夜プラス椀 | |
寝る直前に飯を食うのはメタボ対策的にはいかん、とわかってはいても、真夜中以降未明以前というような時間帯に帰宅して腹を減らしているような場合、つい一杯食べてしまうというようなことは、ありがちなことである。 最近はそういうことはほとんどしなくなったけれど、二十代の頃は、よくやっていた。要するに腹を減らしたまんまだと、なかなか寝つけない... |
其の一七 ご飯つぶと手仕事 | |
恥ずかしながら最近知ったのだけれど、工業的に作られた接着剤などが無かった頃、木工などによく使われたのは、飯を練って作る「米のり」だったそうである。考えてみれば、そういうものがないと、そもそも製作不可能だった文化財がゴマンとあるはずなのだ。 歴史的な遺産には到底及ばない話とはいえ、高度経済成長時代に幼年期を送った私のような世代には、... |
其の一六 おしゃぶり、歯固め、煎餅 | |
私は自他ともに認める煎餅好きである。食べ出すと、なくなるまで手が止まらないことが多いので、自分でも困る。なので、大きい袋で買うことは最近ほとんどない。学生のときなど、白鳥の前に煎餅を置くなよ、すぐになくなるからな、と言われた。すみません。 なにしろ煎餅というのは、一枚でけっこうなカロリーがあるから、メタボを気にする中年には、きわめ... |
其の一五 炊き込みご飯の世界 | |
本当はカロリーのコントロール上、一膳で我慢しておきたいところなのだが、ほとんどそれが不可能に近いというのが、私の場合、炊き込みご飯である。カレーライスも、家で食べるとおかわりをしないということは実質的に不可能だけれど、炊き込みご飯もそれに劣らず、二杯目を要求するのだ。 最近でこそ、それでもおかわり一回で我慢するようになった。しかし... |
其の一四 小さな円環 | |
人里を走るのが好きだ。シクロツーリズム、すなわち自転車の旅において、私がよく走るようなところは、だいたいにおいてそれほど走行条件が厳しくなく、人の生活の息吹が感じられるようなところが多い。深い峠路にももちろん惹かれるけれど、そういう峠路の途中に、渋い茶屋や、夏だけ人のいる集落などがあったりするとたまらないのだから、根本的にはやはり人里... |
其の一三 ミニマルごはん | |
ミニマルミュージックという現代音楽のジャンルがある。定義づけをご紹介するほど音楽に詳しいというわけじゃないのだが、まあ学生時代の一時期、周囲にそういう音楽に詳しい人がいて、それなりに私も聴いたことがあった。 ブライアン・イーノとか、マイケル・ナイマンとか、ギャビン・ブライアーズとか。レーベルで言うと、ECMにそういうジャンルの作品... |
其の一二 伊那谷の米の道 | |
長野県には伊那谷と呼ばれる地域がある。谷だけれど、実際は盆地に近い。大雑把に言うと、天竜川流域の辰野から飯田にかけての一帯で、けっこう開けていて、人口も少なくない。街としては、北から順に、伊那、駒ヶ根、飯田が名の通ったところだ。 伊那谷の東と西には、これに平行するように深い谷間が二つある。ひとつは、東側に当る秋葉街道の谷間だ。中央... |
其の一一 変化の感覚 | |
比較的最近買ったムック系の本で、庭園鉄道の世界を紹介しているものがあった。要するに庭園鉄道とは、鉄道模型の遊び方のひとつなのだけど、よくある鉄道模型本と違っているのは、インドアからアウトドアへ、レイアウトを引っ張り出そうと提唱していることなのであった。 鉄道模型なんて、ある種、その精密さにぞくぞくするようなものであるから、通常は運... |
其の一〇 新発売の自転車弁当 | |
今回は出だしから手前の宣伝で恐縮なのでありますが、こんど、新しいエッセイ集の出版にこぎつけることができたのだ。『自転車依存症』というタイトルで、版元はお世話になっている平凡社。私としては初めてのハードカバーで、やっぱりさすがにうれしい。 この本、タイトルから察せられるように、自転車道楽のお馬鹿ぶりを回りの仲間や自分を引き合いに出し... |
其の九 握りめしのかたち | |
弁当と並び、米飯野外食あるいは米飯携帯食の双璧を成すものは、言わずと知れた握りめしであろう。ああ、握りめし。恋しい握りめし。わたしゃ、握りめしが大好きだ。これほどよくできた持ち出し用ごはんの形態はほかにはない。 ま、あまり乱暴に扱うと形がつぶれてしまったりすることもあるものの、基本的に握りめしというものは持って出歩くことが楽である... |