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見えるもの。見えないもの。そこにある者たち。
 
 
― ほら、これが好気性菌だよ。
 
できるだけ空気を遮蔽し電気で温度管理しながら作る自家製有機肥料。
キングサイズ並み、ベッドみたいに見えるスペースで作る。
掛かっている覆いを取るとそこには白く見えるものあり。
これが好気性菌のコロニー。
 
初めて松下の田んぼ見学に来た若き料理人Mくんにはいきなり難しい話題。
日頃から松下の米をお客様にお出ししているから勉強したいとのことで僕が誘った。
コウキセイキン????
僕も初めての頃はすべてカタカナに聞こえていたことを思い出す。
 
じつはこの肥料の中は嫌気性菌(ケンキセイキン)が目立たないが満ちている。
白い色で目立つ好気性菌は表層部の空気に触れやすいところにいるだけ。
この肥料の主役はあくまでも嫌気性菌。
いわばそれらを培養しているといってもいい。
 
― なぜ嫌気性菌が主役なんですか?
 
田んぼでは水で遮蔽された土中で有機物が分解する。
その分解された栄養素を稲は水と共に取り込み栄養素を漉し取る、残りの水は葉から蒸散する。
簡単にいえば、これが稲の生命生理活動。
もし好気性菌しか有機物を分解する菌がなければ、水で空気を遮断された水面下ではこれら有機肥料や有機物は分解しない。
だから空気が少ない環境下でも活性化する菌、つまり嫌気性菌が主役となる。
角度を変えれば水面下は嫌気性菌のパラダイスでもあるわけです。
 
― そのためにこの中(ベット)で有機物分解のエースとして大繁殖させてるというわけなんだ。わかりにくいかな?
 
それでも、思い通りに菌は働かない。
つまりお天道様しだい。
暖かければ活動するが、寒ければ活動は鈍る。
鈍れば有機物は分解しない。肥料がないのと同じというわけだ。
松下はこのことについて、口癖のようにこういう。
 
― 俺ができること、人の技の領域はせいぜい30%。残り70%はカミサマの領域なんだよ。
 
しかし30%をやりきるからこそ、残り70%を担当するカミサマにバトンを渡すことができるようにも思うのだ。
5月下旬から田植えがはじまる。
嫌気性菌の出番は刻一刻と近づいている。
 
_
 
 
画像上:好気性菌のコロニー。中央に見えるのは鯖の鰭(ヒレ)有機物が少しづつ分解されていく様はじつに静かなのだ。
画像中:田んぼは緑肥として利用しているヘアリーベッチとレンゲが満開。これら豆科の植物は空気中の窒素を固定する役割             を担う。満開時がそのピーク、お花畑もそろそろ見納めである。
画像下:芽生えたばかりの苗、これは中生品種の「にこまる」である。
2012年05月07日 [ 5043hit ]
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