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猛暑の越えて

 

令和5年、かつてないほどの夏の暑さが日本を襲った。8月初旬、カミアカリドリーム勉強会で福島県猪苗代町へ訪ねた日、福島県内各地の最高気温は38℃という天気予報であった。猪苗代町は標高500メートルだから、そこまで高くはなかったが、それでも昼過ぎの田んぼ周りは、うだるような暑さだったことが記憶に残る。その日伺った猪苗代町の生産者の土屋さんによれば、かつて猪苗代町には冷害対策のための研究所があったという。つまり猪苗代町は日本の水稲における代表的な冷害地帯であったことを意味する。ところが今、皮肉にも耐冷性ではなく耐暑性を獲得することが、かつての冷害地帯でも必須課題となってきているのだ。

一方静岡は、僕が米屋になった1990年、すでに夏の暑さへの対策が叫ばれはじめていた。とくに8月中旬頃から収穫が始まるコシヒカリは高温障害の発生が年々増えていた。松下さんとこのプロジェクト米の企画をする2000年代初めには、「静岡ではコシヒカリの栽培を止めて暑さが過ぎた頃に成熟期を迎える中生以降の品種を中心にすべき・・・」と僕は考え、生意気にも出会った県内の生産者には、ことごとくこのことを話していた。じつはこのアイデアを唯一実行に移してくれたのが松下さんだった。こうして2002年、このプロジェクトで当時九州で実績を上げていた耐暑性中生品種「ヒノヒカリ」の栽培をはじめたのだった。

あれから21年経った今、目の前で黄金色に色づく稲たちのほとんどは9月~10月中旬に収穫される品種「きぬむすめ」「にこまる」「ハツシモ」である。それでも今年のような暑さの影響を少なからず受けている。さらなる暑さ対策が必要となっている。それは品種なのか?栽培方法なのか?栽培時期なのか?たぶんそのすべてなのだろう。問題解決の宿題は終わらない。
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画像上:「にこまる」は暑さはもちろん寒さにも強いオールラウンダー。荒れた気象にめっぽう強い頼もしい稲品種だ。
画像中:3年目の「ハツシモ」見るからに姿がいい。10月初旬収穫だ。
画像下:新幹線の車窓から唯一見ることのできる松下さんの田んぼ。車窓の旅人はここで稲の歴史に残る仕事が行われているとは、たぶん気づいていないだろうな。
(画像はすべて9月25日撮影)

2023年10月09日 [ 449hit ]
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