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静かに始まる


すっかり陽気が良くなった四月の初め、春の田んぼが見たくてなって原付バイクに乗り藤枝の松下圃場を訪ねた。出かける少し前、園主松下へ連絡を入れると、今日はバイクツーリングとのこと。同じようなことを考えているもんだなと苦笑いしつつ、混み合うバイパスを避け田舎道を繋げながら田んぼを目指す。

この時期の田んぼ作業は、部分的な土木作業はするものの、本格的な作業はまだ始まっていない。田んぼはおおむねどこも静かで、緑肥となるレンゲなどの春草が一面に広がっている光景はじつに心地良い。これから約半年続く農作業の様々を少しだけ予感させているこの時が、じつは一番好きだと、近頃より強く感じるようになった。

一週間前に愛でた満開のソメイヨシノも見事だったが、満開のレンゲもなかなかのものだ。じつはこの光景はソメイヨシノほど長く楽しめることは許されない。たぶん明日にはトラクターによって鋤きこまれる運命。レンゲは、この時にもっともチッソを固定しているため、間髪入れずに鋤きこむのが緑肥として生まれ変わるための宿命なのだ。以前、松下が満開のレンゲの鋤きこみ作業をしていたら、近所の保育園児たちに{あ~~~~」と叫ばれたそうだ。きっとその殺戮ぶりを目の当たりにした園児たちは、なんて酷いことをする農家のおじさんだと思ったに違いない。(笑)

次に田んぼを訪ねる時には、苗づくりの頃だろう。今年もこうして静かに始まるのだ。
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2023年04月17日 [ 373hit ]
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