海の日、午前中のニュースは梅雨明けを伝えた。
今日は一日、家の片づけと決めていたのだが、このニュースを耳にしたら無性に出かけたくなった。
出かけるといえば、やはり田んぼ。
なんとも芸のないはなしだとは思いながら国道を西に向かった。
気温32度、快晴。園主は昼寝の頃。干された作業着がそれを物語る。
ひととり田んぼを廻ってから携帯へ電話を入れる。
寝起き面の松下現る。
― 草、酷いだろ。。。
今年はいくつかの田んぼで草にやられている。
とくにコナギが目立っていた。
― ジャンボタニシが減ったせいと思う、ヤツらが草も相当喰ってたんだ。。。
かつては苗の食害を防ぐため、除去するのに苦労したジャンボタニシがめっきり減った。
それに呼応して草が目立つようになってきた。
つまり、苗も食べていたが草(雑草)も食べていた。
そこでこれまで、食べられてしまう苗も数に入れて、多めに苗を植えすることで調整していた。
しかし、ここまでジャンボタニシが減ると、その計算が狂いはじめた。
じつは3年前から少なからずこの傾向はあった。
この間、徐々に増えてきた草のタネによって、今年は草の繁殖がより顕著になったというわけだ。
これで、へこたれないのが松下。
その対策として新たな実験を始めていた。
草の目立つ田んぼから土を採取し、それを10種に分け、
それぞれに乳酸菌など濃度を変えたり条件を変えた仮想田んぼで草の生長具合を観察している。
すでにだいたいの目安はついてきたので、来年には新たな抑草作戦が展開できそうだ。
環境の変化は留まることを知らない。常に移ろうもの。
力の均衡がある期間保たれているからといって安心はできない。
ほんの僅かにパワーバランスが変化しただけで環境は移ろう。
だからいつもウォッチして変化に機敏に対応しなければならない。
除草剤を使えば、この問題は考えなくてすむ。
考えなくていい稲作を選ぶのであれば、それに頼ればよいが、
僕らは考える稲作がいいと判断している。
そうやって醸される米の風味を尊いと思うからだ。
なにより学ぶべきことが足元に全部あるこの感じ。
面白くてしかたない。
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画像上:コナギの繁殖は著しい「にこまる」の田んぼ。
画像中:新たなる抑草対策のため実験。
画像下:カミアカリの田んぼの抑草は完璧だ。無農薬とは思えないほどのこの状態は見事というほかない。なにより稲の姿の素晴らしさったらない。