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夜明け前。
 
 
炊飯とは煮る、蒸す、焼くの複合加熱・・・。そう学んだ。
ものの本によれば現在の炊飯方法、すなわち「炊き干し法」が定着したのは江戸の中期。
それ以前は姫飯(ひめいい)さらにそのルーツを辿ると奈良時代の固がゆ(かたがゆ)であったという。
つまり、水分の少ないおかゆ状のものが、現在のご飯のルーツである。
 
今日は登呂で米の煮炊きを行うと聞き勉強しに行ってきた。
蓋のない台付甕型土器の周辺に薪を設え米をゆっくり煮ていく。
ぶくぶくと気泡が土器に満ちていく。
それらがだんだんと落ち着いてきたら完成。
 
煮炊き担当の方の説明によれば、
赤米ベースにほんのわずか白米をブレンドした米をきちんと水に浸し下準備をした後に塩を入れて調理されたとのこと。
これは、ごはんというより「固がゆ」だ。
しかしたいへん風味も良く、美味しくいただいた。
 
さて、問題はここからだ。
はたして炊飯夜明け前、いやそれよりはるか以前の登呂の住民はどんな下準備をしていたのか?
いや搗く以外の下準備なんてなかったかもしれない。
ここから、またもや空想がはじまる。
 
湯の煮立った土器に生米を放り込む・・・パスタみたいに。
あるいは少し炒ってから水を入れて煮込む・・・パエリアみたいに。
 
技術が洗練される以前の黎明期、つまり夜明け前の試行錯誤を知りたい。
9月にはいよいよ実験が待っている。
まさに気分は夜明け前なのです。
 
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画像上:台付甕型土器による煮炊き。
画像中:こんな飯となる。筆者的に表現するなら「赤米三分搗き固がゆ」である。
画像下:籾の状態の米を臼と杵で搗く。籾は箕で振るって選別する。作業しているのは筆者です。
2012年08月06日 [ 4193hit ]
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