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半日先生。

 

 

出身小学校の5年生の社会科の授業を2コマ受け持った。
アンコメ店主は稲作が生業ではないけれど「田んぼからお茶碗まで」を説明できるという理由でオファーをいただいたようだ。
お話しのはじまりは、いつもどおりこんな質問から・・・

 

―お米って何ですか?

 

この質問にはほとんどの大人が答えられないのだけど今日は違った。
最初に手をあげた子の答えがなんと!

 

―イネの種。

 

いきなり直球ストレートの答えだった。
伝えたかったのは、お米とは食べものである前に植物の種子であること。
人類はそれを食べものとして利用してきたこと。
日本列島には縄文晩期に入ってきたこと、そして今に続いていること・・・。
そうやって社会をつくってきたこと・・・。
その社会の中にいるみんなは、田んぼからお茶碗までの中にいる担い手たちの一人であること・・・。

農家、米屋、みんながちゃんとバトンを渡す関係ができているから毎日安心して美味しいご飯がたべられること・・・。
みんなは気づいてないけど、たべるという役割を果たしている担い手だってことを。

 

学校からはこどもたちの質問として事前に30近い質問をもらった。

 

・プロの考える、おいしいお米の条件とは?
・お米の値段と味の関係はあるんですか?
・安全でおいしいお米と跡継ぎのことと、どちらが気になりますか?
・おいしさを保ったまま消費者まで届ける工夫は?
・アイガモやコイを使った栽培方法はなぜ広がらないのですか?
・農薬、肥料、機械を使ったら手間がかかったことになるんですか?
・農家はたいへん収入が少ないと予想したんですけど、本当?
・今までで一番つらいこと、うれしいことは何?
・なぜ農薬や化学肥料を使わないお米は高いの?

 

想像していたとおり価格やコストの質問がいくつかあった。
そこでちょっとむずかしいかれど、水田稲作のはじまりから現代に至る大まかな稲作の話しをしながら
収穫量と消費量の側面からお話してみた。

 

江戸時代の人は年間で一人150kg(一石≒1日3合弱)たべていた。
いっぽうその当時の反収(300坪あたりの収穫量)は200kg
そして現代は平均で約500kg
収量は2倍以上になった。


―ところでみんなは今どれくらいたべてますか・・・?

 

こんな風に価値を数字で表すと、その向こう側にある「価格」の意味を考えるきっかけになると思うのだ。

 

はてさて?いい授業になっただろうか?
頭を掻いているところである。
それにしても、かつて慣れ親しんだ学び舎での先生役は感無量だったよ。


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2012年07月04日 [ 4179hit ]
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