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備忘録2010。12月30日の朝について。

 

毎年12月30日は僕にとって特別な一日だ。
お餅のご注文が最も多い日。ただそれだけのことなのだけど、いつもとは風景が違って見える。
それがとても好きなのだ。
その感覚も持つようになったのは、たぶん小学校の高学年の頃、
店の手伝いをし始めた頃だったと思う。
かれこれ35年も前のことだ。

 

その頃から必ず毎年一番最初にお餅をお届けするお宅があった。
のし餅と一対の鏡餅の入ったばんじゅうを両手に持ち、
路地を右に入り左手にある小さな木戸をくぐる時、こう思うんだ。
「あッ今年もこの時が来た・・・」
それが僕にとって特別な日、30日の朝なんだ。
そうやって毎年30日はやって来ていた。

 

昨年、残念なことにその木戸はなくなってしまった。
そしてその屋敷の住人も代替わりし、その場の風景は一変した。
少し淋しく思い、時代の変化を感じた。
それでも30年以上もあの感覚を味わえたこと、
脳裏に今もあるあの木戸に思いを馳せることをうれしく思う。

 

木戸はなくなったけれども、30日の朝のこの感覚は今も変わることなくある。
そういうことが、いいことだと思っている。
明日は、いよいよ30日である。
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画像:もち搗き工房にて。2010年12月30日は110臼分の餅を搗く予定である。

2010年12月29日 [ 3671hit ]
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