カミアカリが教えてくれたを、より具体的に感じたい。その方法として考えたのが、玄米をきちんと捉えるためのテイスティングの作法です。これはカミアカリだけでなくすべての玄米にも共通するもので、炊き上がった玄米を6つの要素に別けてテイスティングしながらイメージを捉え、それにふさわしい言葉(語彙)で表現していきます。
1)姿(ルックス)・・・・・・色、ツヤ、粒の形状など。
2)香り(フレーバー)・・・・口に含む前の香り、炊飯中の香り。
3)味(テイスト)・・・・・・口に含んだ時の味、噛みながら変化していく味。
4)触感(テクスチャー)・・・歯ごたえ、舌触り、粘りの質。
5)余韻(アフター)・・・・・口に広がる味、香り、呑み込んだ後の香り、味、その変化。
6)全体感(トータリティ)・・良し悪しでなく、何を感じたか?そのイメージ。
これら要素をより具体的な語彙で表現することが、個々の違いや個性を明確にする重要な要素となります。下の文章は、21年産で栽培されたある生産家のカミアカリを表現した一例です。こんな風に表現してみることで、このカミアカリが持つ具体的キャラクターがイメージできます。
「焼き栗のような香り、種をイメージするような分厚くしっかりとした歯ごたえ。口に含んだ瞬間は淡白だが、噛んで行くほどに、焼き芋のような甘さが出る、余韻は味、香りとも長いが、質的な変化はない。全体感(イメージ)は「種」。米が稲の種子だということを再認識した。」
じつは言葉出しが一番難しく、これを可能にするためには、食に限らず、多くの経験と、それに付随した言葉(語彙)のストックが必要であると実感します。ですから、お茶を飲む時、食事をする時、すべての料理、すべての飲み物について1〜6までの作法を意識的に実践してトレーニング積むことが重要だと思っています。