TOP  >  ankome通信  >  カミアカリドリーム  >  第14回 19年産レポート(4)静岡県磐田市、柴田さんのカミアカリ。
第14回 19年産レポート(4)静岡県磐田市、柴田さんのカミアカリ。

 今年栽培しているカミアカリの生産地を訪問する第四弾。静岡県磐田市の柴田さんの田圃から、稲の様子を報告します。

 

 カミアカリ生産者の中で最も稲作経験が豊富なのが、今回ご紹介する柴田さんだ。そんな柴田さんの田圃は、希少なトンボ生息地として全国的にも有名な静岡県磐田市の桶ヶ谷沼からほど近い場所にある。
じつは柴田さん、松下さん同様に稲オタクといっていいほど様々な品種の稲を栽培している。10町歩ほどあるという田圃一枚一枚違う品種が栽培されていると言っていいほど、風景そのものからして柴田さんの田圃は他とは違うのだ。一般的なうるち米品種はもちろんのこと、いわゆる古代米と総称される色素米が数種類、中国から伝わったという珍品種など、まさに稲専門の植物園と呼べるくらい様々な品種が栽培されている。
じつは、巨大胚芽米も今回実験栽培しているカミアカリを含め、他に3種類ほど栽培しているのだ。もしかすると巨大胚芽米コレクションとしては日本屈指ではないかと思われる。

 栽培方法は、減農薬無化学肥料栽培の特別栽培米クラス。栽培地としては平野部で、藤枝の松下さんと条件的には類似する。しかし静岡県を代表する穀倉地帯だけあって田圃インフラの充実ぶりは目をみはるものがある。田圃一枚一枚細かなコントロールが可能なほど水周りや畔まわりの整備が行き届いているのです。田圃の世界の高級住宅街といったところであろうか。

image 「すこしスズメにやられましたよ・・・」
「それにちょっと進みすぎなのが少し心配です・・・」
案内されたカミアカリを栽培している田圃の前で、柴田さんは言った。
畦廻りのカミアカリは部分的にスズメの食害に遭い白化しているのが見受けられる。まあしかし田圃の中心に目を移せばさほど被害は見受けられないのでひと安心だ。じつはもっと心配しなきゃいけないのが、やや進みすぎの生長具合の方なのだ。
静岡県内も8月初旬からの好天で、それまでややゆっくりだった生長も一気に全開、カミアカリも含むコシヒカリなどの早生系品種はちょうど登熟期間(出穂から収穫までの期間のこと)と重なるため、生長が進みすぎてブレーキを踏まなくてはならないような状況となっているのです。
ことに日中の気温と夜間の気温に差があることが登熟の決め手であるにも関わらず、なかなか夜間気温が下がらず、田圃の温度調節に躍起になっているという状況らしいのです。
「とにかく水の管理をまめにやるしかありません・・・」
田圃の温度調節には欠かすことができない水の管理、今年の場合、水の確保で心配する必要がないのがせめてもの救いだ。
そういう意味では、会津の菅井さんや、奥久慈の大久保さんの田圃はとても羨ましく感じられる。彼らの地域の夜間気温は軽く25度を下回るからだ。
ただしかし、羨んでばかりでは進歩がない。こういう地域だからこそできる何かがあるはずなのだ。それらを探求し生かすことで、そこでしか出しえない独自性を創造することが、カミアカリドリームの掲げるコンセプトの一つなのである。

 このレポートを書いている8月22日の夜間気温はようやく25度を下回った。田圃のある磐田周辺は私のいる静岡よりはさらに涼しいはずである。
あんなにポジティブシンキングを提唱しつつもやっぱり涼しい夜はありがたい。登熟期間後半、この調子が続いてくれることを、ひたすら祈るばかりだ。

2007年(平成19年)8月22日

2007年08月22日 [ 2602hit ]
このページを印刷
カテゴリ内ページ移動 ( 164  件):     1 ..  147  148  149  150  151  152  153  .. 164