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第26回カミアカリドリーム勉強会 試食会報告

 

カミアカリドリーム勉強会、26回目の秋の勉強会を11月1日に開催しました。秋の勉強会といえば、その年栽培されたカミアカリを一同に集め同時に試食、また毎回テーマを決め講師を呼び講座を行うのが恒例ですが、今年は新型コロナウイルス感染症対策のため講座をやめ、試食会のみの開催となりました。参加人数は26名、会場を広く使いソーシャルディスタンスに充分に配慮しながらの試食会のみの静かな勉強会となりました。

今年カミアカリを栽培したのは昨年同様の6産地、それに加え実験栽培しているラボ2カ所が加わり、計8種のカミアカリを試食しました。ご存じのとおり令和2年産は長梅雨による日照不足、転じて8月の猛暑、加えてウンカ襲来という三重苦、一時はどうなるかと気をもみましたが、収量の減少こそありましたが、収穫されたすべてのカミアカリは品質に関する著しい問題はありませんでした。

試食用の炊飯は、できるだけそれぞれの個性が引き立つよう加圧はせず土鍋による直火炊飯を用い、イコールコンディションに配慮して行いました。ところが、炊飯を始めて10分近くなってくると、それぞれの土鍋から異なった香りが立ちはじめるのです。「堆肥のような香り」「醤油や味噌のような香り」「サツマイモのような甘い香り」「ドクダミ(薬草)を煮ているような香り」・・・。この時ほど香りに敏感になる時はなく、参加者たちは立ち昇る湯気に顔を近づけ香りの違いを感じ、その言葉出しに夢中になっていました。

点火から約50分後、炊きあがったカミアカリを一斉に試食します。まずは香り、次に食感、味わい、そして余韻・・・。それぞれのカミアカリは炊いてる最中の香りの違いどおり、異なった味わいも持っています。それらをできるだけ抽象的にならないよう、より具体的な言葉でその味わいを表現します。言葉によってはネガティブに感じられる言葉も出てくることがありますが、そんなことは気にせず感じたままを持ってる語彙で果敢に表現してくわけです。そうこうしているうちに、個々のキャラクターが輪郭を持って現れ、その米に対して理解が進み、なぜこの味わいなのかと、その作り手にその場でディスカッションしていくわけです。

令和2年産は全体的に印象が弱く、例年に比べて静かな感じのするカミアカリが多い傾向でした。そんな中、ラボで実験栽培された1点に注目が集まりました。そのカミアカリは高温障害で白濁し見かけでは褒められるものではなかったものの、味わいは8種の中で(複雑な味わいこそありませんが)最もインパクトがありました。じつはのこのカミアカリ、肥料は化成肥料のみ、それも一発肥料なのです。味わいの複雑さがカミアカリの命みたいなイメージがありますが、今年のような日照が少ない天候で有機栽培や無肥料栽培だと、その命と思しき複雑ば味わいも影を潜めてしまう。皮肉にもこういう年は確実に計算ができる化成肥料の力をまざまざと見せつけられた気がしました。

それぞれのカミアカリの印象を勉強会代表の長坂が独断と偏見でインプレッションしてみました。異論反論もあろうかと思いますが、あくまでも長坂が感じたこととしてご一読いただけたら幸いです。(以下)

<長野県伊那市Wakkaagri:自然栽培>
品質の良さは断然にこれ。米質は全8種の中でいちばん良かったです。猛暑の年は標高の高い産地に断然アドバンテージがありました。冷たい水、限られた日照、厳しい環境ならではなのか、表皮が熱く食感はやや硬め。米が稲の「種」であることを実感します。醤油や味噌のような香りは独特。硬めの食感のため噛んでいる時間が長いことから味わいの変化も面白い。最後はトウモロコシのような甘みの余韻が印象的。

<静岡県南伊豆町アグリビジネスリーディング中村さん:有機栽培>
3年目の南伊豆中村さんも年々洗練されきていました。その風味風合いは藤枝の松下さんのカミアカリにどことなく似ています。きな粉のような甘い香り、表皮が薄く食べやすく、ゆえに味わいの出方が早くボリューミー。とにもかくにも中村さんの成長ぶりを実感する仕上がり。技術不足と様々な難条件を持てる力と心意気で答えを導き出しました。抽象的な表現で恐縮ですが「開いた感」あり!

<千葉県いすみ市つるかめ農園鶴渕さん:自然栽培>
1年目の千葉の鶴渕さん、黒糖あるいは焦がした砂糖のような香りがインパクトあり、表皮が薄くなめらかな食感はとても食べやすい。味わいはインパクトある香りのイメージとは異なり静かでシンプル、そして淡泊。全体的に淡いこの感じ、つい「草食系」という言葉が脳裏に浮かんだ。

<茨城県久慈郡大子町大久保農園大久保さん:有機栽培>
大久保さんは今年もやっぱりプレーンという言葉がぴったり。カミアカリにスタンダードがあるなら、まさにこれがそれだと感じます。やや厚めに感じる表皮ゆえか、食感のサクサク感は例年以上。スイートコーンのような甘みの味わいは、ただただ素直でシンプル。

<福島県喜多方市熱塩加納町スガイファーム菅井さん:有機栽培>
今年でカミアカリ栽培最後の会津の菅井さん、今年もやっぱりこの人らしい重厚な風味風合いに酔いました。アロマティックなちょっぴり薬草っぽい甘い香り、小粒で薄い表皮はやさしく食べやすく、そこから溢れる豊かな穀物感のある甘みはとってもボリューミー。その味わいの余韻はとっても長かった・・・。(菅井さん、長年のカミアカリへの貢献、本当にありがとうございました)

<静岡県藤枝市青南町松下さん:有機栽培>
最後に藤枝の松下さん「この30年で一番厳しい年だった」とご本人が言うように、この気象条件でよくもここまで実ってくれました。「その年できたカミアカリが、その年の作品」勉強会の立ち上げ前夜仲間と語り合った日のことを思い出しました。香りはお馴染みの松下香は例年よりもやや静か。また例年に比べて小粒ゆえに表皮をしっかりと感じられる食感。味わいの草っぽさは松下ならでは、噛んでいるうちに湧いてくる甘みはさすが。その余韻は長く印象的。いつものパンチある風味風合いは気候のせいか?年齢せいか?いづれにしてもだいぶん穏やかで丸くなっているとはいえ、松下さんのカミアカリだと分かる個性はさすが。

2020年11月13日 [ 60hit ]
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