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水田徘徊2017 森、磐田再訪
水田徘徊2017 森、磐田再訪

 

毎年、世の中がお盆休みのこの時期、静岡では早生品種コシヒカリが収穫時期となる。かつてはお盆が明けてからが恒例だったものだが、昨年28年産は10日から収穫が始まった。30℃を軽く超えるような気温の日が連続したためだ。アンコメにとっては毎年ここから新米キックオフ、出来が気になってしかたない。そこで毎年、お盆休み中の1日はドライブがてら森と磐田を訪ねることにしている。仕事気分が抜けた気ままドライブのため生産者さんにはアポなし。田んぼに行って会えればラッキーという具合でフラッと訪ねるのだ。

森の堀内さんを訪ねると、田んぼにはまだ稲があった。まだ収穫していなかった。堀内さんが米の工場(調整乾燥、籾擦り、袋詰めをする施設)から出て来た。「この天気じゃ稲刈りできんな~これじゃまるで梅雨だもんな~こまったもんだや~」その言葉どおり、ここのところ真夏のギラギラ太陽を見たことがない。考えてみれば梅雨明け以降、夏らしい青空はほとんどなく梅雨のようなお天気が続いていた。おかげで例年よりもややゆっくりとした生長を具合だという。それでも稲は今すぐに収穫しても差し支えない色に仕上がっている。「晴れてくれればすぐにでも刈るんだけんど・・・」と堀内さん。どうやら明日、明後日も雨の予報。気温が低いのは人間にとっては楽だが、稲にとってはこの日照不足、我慢の時なのだろう。

堀内さんのところを後にし磐田の太田農場さんへ向った。太田さんは休業中だったため田んぼだけ見てきた。周辺とは明らかに違う色あい。そもそも薄めに移植しているから株間に余裕があることも「スカッと」見える原因でもあるが、実に良い色の抜け方をしていた。こちらも森町同様に、いつ刈っても良い状態だった。お盆休み明けの天気はどうなることやら?「カラッと晴れる夏の青空よ早く来~い!」
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画像上:こうべを垂れる森町堀内米コシヒカリ
画像中:森町堀内米コシヒカリの田んぼ、この田んぼのお米がアンコメにやって来ます!
画像下:止葉(とめは)の色の抜け具合が美しい。陽が射せば黄金色に輝くのだが今日も曇天。磐田太田農場コシヒカリの田んぼ

 

2017年08月17日 [ 2416hit ]
水田徘徊2017 長野県伊那谷ザライスファーム
水田徘徊2017 長野県伊那谷ザライスファーム

 

伊那谷の東、南アルプスの仙丈岳の麓、伊那市長谷村南非持地区で今年から稲作を始めた農業法人「the rice farm nagano ina」へ行った。ザ ライス ファーム ナガノイナ?と聞いて勘のいい方は気付いた方もあろうと思うが、5月後半にカミアカリスイハニングのために出向いたハワイの米屋「the rice factory honolulu」と同じグループ会社で、稲作を担うチームがこの農業法人だ。社長の出口氏が肝入りで始めた新事業で出口氏本人と彼の学生時代の友人の二人で現場を取り仕切っている。じつは今年2017年(29年産)から巨大胚芽米カミアカリを実験レベルながら栽培を開始したこともあり、カミアカリの育成者である松下さんと視察に出向いたというわけだ。文字にすると、やけに堅苦しく見えるが、稲作を始めたばかりの後輩たちがカミアカリ栽培というビックチャレンジに、オッサン2人が心配で世話を焼きに行った・・・という風だとご理解いただきたい。(苦笑)

彼らが通称「天神の田んぼ」と呼ぶ棚田にカミアカリがあった。天神の田んぼと呼ぶには理由がある。じつは田んぼのある棚田の上段に小さな祠があり、近所の方の信仰の場として古くから「天神さん」と呼び、親しまれてきた歴史ある場所だった。そんな地域のカミサマの懐に、カミアカリが育つことになったことに縁を感じつつ、まずは彼らと彼らのカミアカリの無事をお祈りさせていただいた。

ここで栽培されるお米は、同じグループ会社が海外で経営する米屋で販売することになっている。じつはそれが無農薬無肥料で栽培されている大きな理由である。国によって使用できる農薬や肥料の基準が異なるために、同じお米であっても販売が容易にできる国と、そうでない国があり、各店舗で共有しずらい点を払拭するために「いっそ農薬や肥料(化学、有機)などを何も使わないことで、どの国でも販売できるようにする!」という大胆な発想のもとに計画されたのだった。

長年耕作放棄地だったこともあり、地力は充分に回復している。その証拠にカミアカリの葉色(ようしょく)は青々としていた。青々とした葉色は、その田んぼに窒素分など稲の生命生理に必要な成分が充分にあることを示唆している。それも化学合成によって精製された「それ」ではなく、長年に渡りここで繁殖してきた植物や動物が分解と再生によって蓄積されてきた「それ」である。こうやって自然に蓄積されたエネルギーや微量要素を「地力」という。お米などの収穫物にして人が収奪しなければ土地は肥沃になっていく。出口さんらは、その営みの中での稲作を考えているのだ。

実験栽培とはいえ、この田んぼのカミアカリは思いのほか立派に育っている。一株で尺植だから株間は充分、スッカスカだから除草もまめにできていることから他の草に栄養を収奪されることはほぼない。ただし問題はこれからだ。受粉から収穫までの期間のことを登熟期というが、標高800mで谷あいのこの土地で、充分な日照と温度が今後一ヶ月間で充分に確保できるだろうか?満足な登熟をしてくれるだろうか?高温障害の心配をしなくていい分、そのことが気がかりではある。こうゆう栽培であれば窒素過多による稲の倒伏はないが、目標収量が下回れば「人」が倒伏してしまう。農とは土地の持つ地力、その年の日照や気温、その上で選ばれた稲品種、それらの組み合わせの妙が、人が生き抜くための知恵として研鑽されてきた。考えてみれば、彼らのそれは今始まったばかりなのである。
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画像上:標高800m、眺めの良い田んぼで育つカミアカリ。
画像中:新たな土地で育つカミアカリに興味深々の稲オタクたち。左からザ ライス ファームの出口さん、佐久の黒田さん、松下さん、ザ ライス ファーム市川さん
画像下:この地域の用水路の源流は南アルプス仙丈岳、蛇紋岩を含む岩盤を通して流れ込む微量要素豊富な水でもある。古い歴史を持つ用水を探索してみた。

2017年08月07日 [ 3893hit ]
水田徘徊2017 北海道蘭越町宮武さん
水田徘徊2017 北海道蘭越町宮武さん

 

北海道のお米は永く扱っていながら、これまで「人」にフォーカスしてこなかった。それが2016年、カミアカリの勉強会メンバーである横浜の同業者、加藤さんから蘭越町の宮武さんを紹介された。彼から預かった米を試食した時に、「北海道にも、こういうお米があるんだ・・・」と改めて再認識したことから、その年から宮武さんの米を扱うようになった。ここでいう「こういう米」とは「工芸的な米」のことをいう。もっとはっきり言えば「工業的でない米」のことだ。

北海道や東北地方北部の熱心な稲作家は、たいがいの場合、大規模化の道を辿る。一枚の田んぼが一町歩(10反:3000坪)なんてのは最低単位。それだけの規模となれば、田んぼを平らにするにも、それなりの設備を必要となるくらい、機械による管理が前提の稲作になる。それはけっして悪いわけではないが、そうやって生まれたお米に、たべものとしての「色気」があるかと問われると、少し立ち止まって考える時間が欲しくなる。そもそも、米に色気が必要であると考えるのは、たぶんマイノリティーだと承知しているので、この話はあくまでも「アンコメ好み」の範疇のこととして聞いてほしい。

藤枝の有機米生産者の松下さんもよく言っているのだが、人と稲の距離感ってものがあって、目がいき届く、気持が通ずるちょうどサイズというものがあるらしい。そのちょうどいいサイズが松下にとっては田んぼ一枚が3反、大きくても4反くらいだという。一枚が一町歩以上あれば作業性は格段に上がるが、稲との距離が遠くなるのだという。まったくもって論理的ではないが、モノづくりの経験が少しある僕のとって、それはとてもよくわかるのだ。職人技が発揮できるサイズ。つまりそれが工芸的という言葉の意味だとわかってほしい。それに相当するような北海道育ちをずっと待ち望んでいたところに昨年、宮武さんを紹介されてのだ。

千歳空港からクルマで約2時間、蘭越町の宮武さんを訪ねた。飛行機から見えていた厚い雲のとおり下界は曇天、気温21度、短パンとTシャツではあきらかに寒い。聞けば昨日は30度以上あったという。そんな天気ゆえに、楽しみにしていた羊蹄山も裾野がちょっぴり見えるくらいの残念なお天気ながら、稲トークはとても盛り上がった。それは今回の旅に藤枝の有機米生産家、松下さんと、宮武さんを紹介してくれた加藤さん、それに最近長野県の伊那で稲作を始めた出口くんが加わったからだ。

北海道の品種といえば「ななつぼし」「ゆめぴりか」の2品種。宮武さんもこの2品種は当然栽培しているが、今回どうしても見たかった稲が2種あった。「Y」と「S」だ。訳あってあえてイニシャルとしたが、アンコメが色気を感じているのがこの2種。(「Y」はすでに店頭のみ販売中)それが、どんな環境でどんな設計で育っているのがどうしても見たかった。そもそも、それらの栽培に取り組む宮武さんという「人」を知りたかった。

中山間地に大規模な土木工事で築かれた田んぼ。棚田というには巨大すぎる法面はさしずめで古代の墳墓のよう。1枚が約5反分が4枚。そこにお目当ての稲があった。「どうです?」と宮武さんから問われたので「品がいいね」と答えると、ニヤっと顔がほころばせながら「そうでしょ!Yは上品なんですよ!」とうれしそうに言った。以前、彼が電話でこんな風なことを話したことを思い出した。「『ななつぼし』や『ゆめぴりか』は、ぼくに言わせたらデジタルなんですよ。そこへいくとYやSはアナログ、関われる余白がたっぷりあるんです。手を掛ければ手を掛けたなりの答えが返ってくるんですよ。だから面白い・・・」。

北海道の品種はどれも耐冷性に優れる。山から直接入るような水温の低い水の水口でも立派に育つ姿を見て松下が驚く。その性質を引き継ぐ品種と良食味米の系譜のルーツと呼ばれるような品種の血を引き継いだ「Y」と「S」。その生い立ちを畦傍で眺めながら聞き、ようやくそれらが持つ「色気」の意味の一端を理解した気がした。29年産は順調に行けば10月中旬には入荷するだろう。秋の楽しみがまたひとつ増えた。


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画像上:宮武さんと彼の自慢のYとSが育つ田んぼ。北海道の標準的な田んぼサイズに比べればはるかに小さい。しかし、それが彼らしい稲作、稲と対話をしながら育つ、ちょうどいいサイズだと現場を見て納得した。
画像中:こんなに細いのか~と北海道育ちの通称シンカンセン、正式名称キシュウスズメノヒエ(水田雑草)に驚く松下さん。
画像下:緯度も違えば標高も違う。異なる地域、異なる環境で稲を育てている3人の稲作家。共通するところと共通しないところ、互いのそれぞれを客観視することが何より勉強。畦傍の稲談義終わることはない。右から長野県伊那市で今年から稲作を始めた出口さん、宮武さん、そして静岡県藤枝の松下さん。

2017年07月21日 [ 2781hit ]
水田徘徊2017 磐田太田農場
水田徘徊2017 磐田太田農場

 

前回、森町堀内米のつづき。

森町から太田川沿いに南へ移動すること30分、福田と書いてフクデと読む、水田稲作家にとっては縁起いいの町の川上に太田農場さんはある。静岡県内では早い時期に田んぼの基盤整備の進んだ一等地、一枚の田んぼが5反分以上もあるような大きく作業性の良い田んぼで仕事をしている。こんな恵まれた環境でありながら、それに奢れることなく、収量を求めず、むしろセーブして高品質を求める稲作を実践している若手生産家です。

太田さんのお米の品質は見た目からして立派。とくに玄米品質はピカイチ!玄米で購入されるお客様の多いアンコメにとって、この品質はたいへん心強いです。28年産では、コシヒカリとハツシモの2品種を販売。とくにハツシモは本家の岐阜産に劣らない、むしろ「太田さんのハツシモ」と言えるくらいの個性を持った米が表現されていることから、ファンも多いお米です。

29年産については、今のところ生長は順調そのもの。じつはここ2年、太田さん自身はあまり満足のいく仕上がりではなかったとのこと。そこで29年産ではその部分を修正するべく肥料体系を見直したとのこと。「3年連続は許されませんからね~」と自分に厳しいところは、本当に頼もしいです。

太田川を用水とするこの地域では若干の水不足が懸念されていましたが、ここのところのまとまった雨のおかげで、その懸念も払しょくされたようです。早生品種のコシヒカリはちょうど今頃(7/13)出穂が始まった頃、収穫は森町の堀内さん同様、8月お盆休み頃からとのこと。静岡が一年でいちばん暑い時期の登熟(米が熟す期間)は、徹底した水管理で乗り切ることと思います。稲作の基本の「き」のできている太田さん、そんな心配は御無用というところでしょうか。

つづく(次回:北海道蘭越町宮武さん)
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画像上:7月4日、コシヒカリの幼穂(ようすい)。小さいながらすでに穂のかたちになっている。
画像中:コシヒカリの田んぼと太田さん
画像下:カサカサカサ~~っ、田んぼを渡る風で葉音が鳴る。この音色がいいのは葉を形成するガラス質のおかげ。これは土中の珪酸を吸収し葉に蓄えプラントオパールをつくることで丈夫な身体をつくるのです。

2017年07月13日 [ 2856hit ]
水田徘徊2017 森町堀内米
水田徘徊2017 森町堀内米

 

毎年6月の終わり頃から田んぼへ出かける。
この時期は田植えも終わり、生産者とじっくり会話ができるからだ。

先週(7/4)、静岡県の西部、森町と磐田へ行ってきた。
森町は、おなじみ堀内米の堀内さん
磐田は、太田農場の太田さん
アンコメの静岡米の定番、このお二人のおかげで年間通して安定した品質の地元米が販売できている。

まずは森町堀内米。
森町は新東名高速道路のおかげで、ずいぶん身近になった。
かつての三分の一の時間で堀内さんの作業場へ行ける。まるでワープだ!
到着早々に田んぼを見て廻る。

アンコメではここ数年、堀内米は3品種(コシヒカリ、きぬむすめ、にこまる)を販売している。
毎年、収量に多少増減はあれど、品質や食味に大ハズレがないのが堀内米の魅力。
微生物任せの有機質肥料での栽培、そのリスクを最小に抑えているのは、やはり多収を求めないことに尽きる。
今でこそ疎植(株間を開けて植えること)はふつうのことだが、
獲れば儲かる時代から品質重視でやってきた堀内さんの心意気は今も変わらない。
それどころか、今も変わらず有機質肥料の素材や加工の研究にも貪欲に挑戦し続けている。
たべてもらうお客さんに、少しでも美味しい思いをしてほしいとの思いからだ。

つづく(次回磐田太田農場さん)
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画像上:にこまる、株間の広くとって植えている(疎植)がよくわかります。
画像中:コシヒカリの圃場と堀内さん
画像下:コシヒカリもうすぐ出穂。8月のお盆休み頃には稲刈りするかも?の生長ぶり

2017年07月10日 [ 2645hit ]
薪 (も)あります。
薪 (も)あります。

 

スイハニング(炊飯)には欠かすことのできない薪。
日頃利用しているのは静岡市清水区両河内、木こりのプロフェッショナル集団、
株式会社ソマウッドさんのヒノキ間伐材の薪です。

出所のわかる地元の木、わずかとはいえ地元の山を守ることにも貢献できることがうれしいです。
この薪、スイハニングに使う分以上にストックしてますから、
これからのシーズン、キャンプや防災訓練などご利用される向きはアンコメでも販売しますのでご利用ください。
先日も町内会防災倉庫へ20束納品させていただきました。

地元の木を地元の人が使う。
あたりまえのことが特別なことに聞こえてしまう昨今、
楽しみながら、面白がりながら、使うことで、
ふつうのことになればいいな~と思ってます。
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株式会社ソマウッド
http://soma-wood.jp/

2017年07月08日 [ 2984hit ]
旅する羽釜 ハワイ旅 5【最終回】
旅する羽釜 ハワイ旅 5【最終回】

 

2017年5月20~25日、ハワイ州ホノルルにある日本米専門店「The rice factory honolulu」で、巨大胚芽米カミアカリの試食会のため羽釜スイハニング(炊き)してきました。これはそのレポートです。


スイハニング旅の相方、田中隊員の本業は地質と防災。
じつは火山と津波の経験豊富なハワイ島へ行く計画をしたのは彼だった。
ハワイ島2日目、「地質屋がマウナケアとキラウエアを見ずして帰れるか!」ということで朝から活動開始。

その前にヒロのパシフィックツナミミュージアムへ。
ハワイ島は過去何度となく津波の被害に遭ってきたこと初めて知った。
にもかかわらず防波堤など街を守る構造物らしきものが見当たらない。
住民の高台移転などは進んでいるようだが海辺の旧市街は今も変わらず古き良き時代の風情を残している。
そこで日頃から防災研究を生業としている田中隊員が代表者と思しき人物にこんな質問をした。
「なぜ防波堤などの構造物がないのですか?」すると、こんな答えだが返ってきた。

「津波の発生域が近海ではないからPTWC(太平洋津波警報センター)からの警報で事前に避難できるんだよ。それにハワイは観光の島だからね・・・」

近海で津波が発生する日本ではハワイ島のようにはいかない。
しかし近年、日本も観光の島として海外から多くの方がやって来るようにもなってきた。
「美しくして!」と、初日ファーマーズマーケットで主催者から言われたことを僕も田中隊員も思い出していた。
景観と安全。両立する着地点とは?宿題をもらった気がした。

午後からは、いよいよマウナ・ケアとキラウエアボルケーノへ。
マウナ・ケアはクルマが4WDであれば頂上まで行けたのだが残念ながら普通車ではNG、標高2800メートルの中腹になるビジターセンターからマウナ・ロアを一望できる小山までトレッキングすることにした。富士山と同じ火山礫のトレイルの両側に少ないながら草木がある。低緯度だけあって森林限界が高いことを意味していた。乾いた空気のおかげでマウナ・ロアの緩やかな稜線が遠くまで見渡せる。その雄大な景色を眺めながらランチをした。

麓へ降りると雨が降ってきた。交通量のある片側2車線の街道を通ってキラウエアボルケーノへ。
国立公園内にあるボルケーノクレーターの見える火山観測所は時折オレンジ色の噴出する溶岩が見えるビューポイント。到着早々、その壮大さに圧倒されつつも、面白いことが頭に浮かんでしまった(ニヤっ)

クレーターを巨大釜戸に見立てて羽釜を撮る!

ところがなかなかいい場所が見つからない。それに天気が不安定でクレーターが見えたり隠れたり、思いどおりの絵がなかなか撮れない。あきらめて帰ろうとした時、駐車場の奥に一本のトレイルを見つけた。観光客もほとんど来ない閉鎖中のトレッキングコースの入り口だった。そこには誂えたかのように杭が一本立っていた。その上に羽釜を置くとこれがピッタリ!こうして撮ったのが上の画像。

flying hagama meets grand kamado!
旅する羽釜、超巨大釜戸に会う!

宿舎戻ったのは7時過ぎ、すっかり遅くなってしまった。
今宵もさっそくスイハニング。昨日買ったオーガニック玄米。
炊き上がったらさっそくテイスティング。
粘りちょっぴり、あっさり滑らかな食感、大粒でほどほど風味のある玄米。
山へは行かず宿舎でのんびり過ごしていた高部さんが半日かけて作ったスペシャルカレーにぴったり合う。
ワインは白。地元野菜のサラダといっしょに空っぽの胃袋へ。

こうして5日間のハワイスイハニング旅が終わった。
今は夜な夜な、このレポートを書きながら次はどこへスイハニングの旅に出掛けるだろうかと夢想中。
米と水さえあれば、たいがいどこでも美味い飯がスイハニングできる。つまり生きていける。
けれど羽釜がいっしょならさらに楽しい。旅する羽釜、どこへ行く?

おしまい
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画像上:旅する羽釜、超巨大釜戸に会う!キラウエアボルケーノ。
画像中:波乗りするウミガメと人魚がパシフィックツナミミュージアムのモニュメント。
画像下:マウナ・ケア中腹よりマウナ・ロアを望む。

2017年06月16日 [ 3005hit ]
旅する羽釜 ハワイ旅 4
旅する羽釜 ハワイ旅 4

 

2017年5月20~25日、ハワイ州ホノルルにある日本米専門店「The rice factory honolulu」で、巨大胚芽米カミアカリの試食会のため羽釜スイハニング(炊き)してきました。これはそのレポートです。

ホノルルthe rice factory honoluluでのミッションが無事終了したあと2日休みをもらいハワイ島へ行った。
ハワイ島ヒロの空港でレンタカーを借りさっそくヒロの街へ。
旧市街はどこか日本の港町を思わせるようなところ。
散策しながら、これからはじまる自炊生活に向け旧市街にあるナチュラル系のスーパーマーケットへ入ってみた。
ここは野菜からお肉、コーヒーや化粧品、ありとあらゆるモノがオーガニック。
地元の野菜とお肉、生のマカダミアナッツ、試しに計り売りの玄米も購入してみた。

クルマで15分ほどの高台の一軒家がこれから数日過ごす家。
屋根付きのポーチのある典型的なアメリカの平屋で、オーナーはご近所に住む初老のご夫婦。
旦那さん曰く「妻がフィリピン人だから、うちは米食なんだ。月に25キロはたべるよ!ここのお米自由にたべていいからね・・・」ちゃめっけたっぷりの笑顔で歓迎してくれた。
というわけで今夜は、備え付けのお米を羽釜でスイハニングすることになった。

ところで、今回の旅の共はおなじみ田中隊員、高部隊員こと、田中夫妻。
2013年のフランス旅の時以来、国内のスイハニングミッションでも時々彼らが同行してくれている。
旅慣れた彼らのおけがで、安心してスイハニング行ができている。
毎回過酷なミッションながら今回も無事にやり遂げられたのも彼らのサポートあってこと。
そんな彼らに感謝をコメて、今宵は彼らのためだけにスイハニングをするのだ。

備え付けのお米はカリフォルニア米だろうか?大粒だった。
精米品質はイマイチだったので、水が澄むまで丁寧に研ぎ、2時間以上浸漬した。水加減は目見当ね。
いつもどおりの火加減で気楽なスイハニング。香ばしい香りしたら消火。初対面の米ながら手応え充分!
その間に高部さんが料理に腕をふるってくれた。
地元野菜とマカダミアナッツのサラダ、人参とジャガイモのスープ、それと赤身ハワイ牛の牛丼風。
ばっちり決まったご飯の上に牛肉が乗った姿ときたら・・・涎

ヒロは雨の多い町と聞いたとおり夕暮れ過ぎからまた雨が降り出した。
屋根を叩きつける雨音を聴きながら備え付けの赤ワインで乾杯。
ささやかな晩餐、夜はのんびり更けていった。

つづく
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画像上:この一升羽釜は明治生まれの祖母の時代から我が家にあったもの。まさかこんな旅をするとは・・・。
画像中:到着した日はあいにくの曇天、その日は日本の港町にいるような気がしたが、晴れた翌日はこのとおり。
画像下:立ち寄ったスーパーマーケットで米をはじめ雑穀やシリアルなど計り売りされている様子

2017年06月15日 [ 3007hit ]
旅する羽釜 ハワイ旅 3
旅する羽釜 ハワイ旅 3

 

2017年5月20~25日、ハワイ州ホノルルにある日本米専門店「The rice factory honolulu」で、巨大胚芽米カミアカリの試食会のため羽釜スイハニング(炊き)してきました。これはそのレポートです。

 

5月21日日曜日、今日のスイハニングはお昼からというので、少し寝坊した。
借りたアパートは病院の近くだったこともあり、夜中は救急車が頻繁に行き来していたが
疲れもあってかそんな騒音も気にせず爆睡だった。

10時過ぎ、今日も日差しが強く蒸し暑い。牛島さんがクルマで迎えにやってきた。
昨日とは違い交通量ガラガラの市内をクルマで疾走、カーラジオから流れるのは昭和の歌謡曲。
ハワイらしい青空に巨大な街路樹(アメリカネムノキ)と昭和歌謡のミスマッチ、なんだか面白い。

今日はthe rice factory honoluluでスイハニング。
昨日同様にタープを立てテーブルと看板を置きコンロを設える。
風が強いのでコンロの周りに段ボールで風防をつくる。
これだと見栄えがイマイチで昨日のファーマーズマーケットなら間違いなくNGな感じ(笑)
けれど美味しくスイハニングすることが最優先!見た目は二の次、三の次!
カミアカリ(玄米)のスイハニング時間は蒸らしも入れて約50分、
12時前には炊き上げるべく即点火。8分で沸騰、いいタイムだ!

そのまま火加減しながら沸騰維持。ふと周囲を眺める。
となりの倉庫はベトナム出身の方が経営する会社の倉庫。そこんちのおばちゃんがバンに荷物を積み込んでいる。
塀の向こうは、やっちゃしている風の改造車が出たり入ったり。そのまた奥から夫婦喧嘩の声がする。
観光地ではないふつうの暮らしがそこに感じとれる。どうってことのない暮らしの只中にいるこの快感。
周囲と自分の境界がとけていくような肌感覚、ようやくこの場に馴染んできていることに気づく。
僕にとってこれが旅の醍醐味だ。

そんな感傷に耽っている間に、羽釜からいい香りとあの音が聞こえきた。
プチプチパチパチ・・・釜肌に水気の減った飯粒が接する時の音だ。
ちょうどその頃にギャラリーも集まって来た。
the rice factory honoluluの御常連、日系の方々だ。
待ちきれないご様子でニヤニヤしながら何度も聞いてくる。

how many minutes?
15minutes!

how many minutes?
10minutes!

how many minutes?
5minutes!

how many minutes?
Done!

カミアカリのおこげから、あのチョコレートを思わせる香ばしい香りがしている。
3回目は快心の出来だった。時を同じくして平行してスイハニングしていた「ゆめぴりか」も炊き上がった。
こちらは白米らしくピカピカに光っている。
おむすび隊が速攻でおむすびをむすんでいく。
むすんだ傍から待ってましたとばかりに御常連の皆さんがほうばっていく。
ニコニコしながらたべる姿、その姿のなんとも幸せそうなことか・・・。
その姿を見、ハワイスイハニング、ミッションコンプリートを実感した。

この後、地元の食関係のメディアの方も数名来られ、
カミアカリのこれまでの生い立ち、ハワイ上陸の経緯、スイハニングのことなどお話ししました。
ここはもちろん日本語ですがね・・・汗
こうして2日間6回のハワイスイハニング、無事にやり遂げました。

旅する羽釜 ハワイ旅 番外編へつづく


<ありがとう!感謝をコメて!>
Wakka Japan 出口さん
the rice factory honoluluの牛島さん、小林さん、スタッフの皆さん
ESI田中隊員、おむすび隊高部隊員
アンコメスタッフ
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2017年06月13日 [ 3387hit ]
旅する羽釜 ハワイ旅 2
旅する羽釜 ハワイ旅 2

 

2017年5月20~25日、ハワイ州ホノルルにある日本米専門店「The rice factory honolulu」で、巨大胚芽米カミアカリの試食会のため羽釜スイハニング(炊き)してきました。これはそのレポートです。

 

5月20日土曜日、今日は午前中カカアコ地区で毎週末行われるファーマーズマーケット、
午後はthe rice factory honoluluで「カミアカリ」と「ゆめぴりか」を羽釜でスイハニング。
それぞれの会場へ来られる方へテイスティングしてもらおうという計画。

7時半、牛島さんとスタッフ君、僕と田中ペアの5人で設営開始。
タープを立てテーブルを設え、昨日作った看板を立て、スイハニング用のコンロのセッティング。
試しに点火してみる。すると炎が見えにくい。熱量を感じつつもプロパンガスが燃える青い炎が見えにくいのだ。
以前、同じ燃料の炎でも北海道と沖縄ではその色合いや見え方が違うと、学んだことがある。
緯度が下がるほど炎が見えにくいとは知っていたが、こんなにも見えないとは・・・
ホノルルの緯度は北緯21°19、台湾くらいの緯度、炎の見え方で南の島にいることをようやく実感。

スイハニングはいつもアウェイ、毎度のことながら何が起こるかわからない。
海外ということもあり、やはりと言うか、ある程度想定していたことが起きた。
コンロのパワーが足りない・・・。
1.5升のカミアカリを羽釜で炊くには、借りたコンロはやはり非力だった。
パワー全開でも沸騰までの到達時間がやっとさ13分。
7~10分の沸騰到達時間を目指すには、このコンロでは炊飯量を減量するほかにない。
しかしすでに遅し。。。
そこで火力を落とさず、強火のまま沸騰維持することにした。
それが功を奏し、狙いよりも若干柔らかめながら、カミアカリらいプチプチ食感に仕上がった。

ホッとするのもつかの間、珍しがってやって来たギャラリーが炊き上がったばかりの羽釜の周りに集まっている。
ここからは「おむすび隊」の腕の見せどころ。
準備しておいた笹の葉の上に、ひと口大にかるく結んだおむすびを並べていく。
並べていく間もなく、平らげていく。
結んではたべ、結んではたべ・・・30分そこそこで釜の底が見えた。

pan fry!(おこげを、こう表現していた記憶あり・・・記憶違いしているかもだけど)
ニッポン人にとってはお楽しみ。なべ底のおこげ。この反応が面白かった。
日系の方の多くは嬉しがっていたけど、それ以外の方はどうもNGみたいだった。
お国は同じでもそれぞれの人が持っている歴史や食文化の違いを「おこげ」で垣間見ることができた。

午後はthe rice factory honoluluへ移動してもう1ラウンド。
こちらも事前告知のおかげで、この店のご常連が多数やって来てくれた。
午前中のスイハニングの結果を踏まえ修正をしたこともあり、午後はパーフェクト!
お客様とのコニュニケーションの余裕も生まれた。
日系ご年配のお客様の中には、羽釜を見て「おばあさんが使っていた懐かしい・・・」とおっしゃられる方や
玄米の炊き方について詳しくご質問される方など、やさしい家族的な雰囲気の中、コニュニケーションができた。

この日は用意した1パウンド(約450グラム)入りお試しパックのカミアカリはみるみるうちに売り切れた。
明日は昼からもう1ラウンド!カミアカリがハワイに定着すべくミッションは続く。
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画像上:ザ、カミアカリ!
画像中:お客は地元の方ばかり、カカアコのファーマーズマーケット。主催者の方から店の設えやディスプレイについて「美しくして!」と指摘。美しくないのは、なによりNGとのこと。汗
画像下:the rice factory honoluluにて。

2017年06月08日 [ 3325hit ]
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