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茨城奥久慈大久保コシヒカリ
茨城奥久慈大久保コシヒカリ

 

 

大久保さんの23年産は震災にはじまったと云っていい。

3月11日、橋、家、道路、電気、ガス、そして用水路も・・・。

大久保さんの住む地域全体がダメージを受けた。

そして農業はおろか、すべてが静止した。

 

3月15日、仲間二人がトラックで大久保さんのいる茨城へ走った。

荷台には様々な物資を積んで。

心配で夜中ツイッターでメッセージ送った。


それから一ヶ月後、大久保さんはなんとか作付けした。

電話で話したら泣けてきた。

なんとか作付けできた安堵感と半年後の不安感が入り交じった涙だった。


8月初旬に田んぼへ行った。

用水路は壊れたままで水のコントロールに苦労している様子だった。

だけど稲の姿は健康そのものだった


秋になって実ったお米が送られてきた。

心配していた放射能の影響は皆無だった。(ヨウ素、セシウムともにND:検出されず)

思えば、たくさんの幸運がいくつも重なって今ここにこのお米がある。

もうそれだけで充分ありがたいと思っている。

_

 

画像:8月7日 大久保さんの田んぼにて。

 

 

 

 

2011年11月01日 [ 3658hit ]
空っぽ。
空っぽ。

 

先日「行きたいところがある」と書いたがどうも行けそうにない。
机仕事は相変わらず山積している。
しかしだ。
外に出たくて出たくてしかたない。
なぜなら、アイデアは外にいる時や体を動かしている時に突然と降ってくるから。
言い訳です。

で、今日はようやく外に出ることができた。
仕入れと配達。
北から南へと市内を駆けた。

 

安倍川山中。
それから街中。
そして海の近くまで。
配達途中で友人のコーヒー豆屋でコーヒーを買った。
それと作業用チノパンもダッシュで買ってきた。
最後にお届けしたお客様に玄米と分づき米について質問をいただき、玄関先で簡単ながら解説をした。
全部で何軒行っただろうか?
荷物満載で出発したアンコメ4号車は帰り着いた19時にはすっかり空っぽになった。

 

で、アイデアは降ってきたかって?
いえいえ頭の中も空っぽになりました。


おしまい。
_

 

画像上:安倍川中流域、俵沢にて。初冬の匂いがした。
画像下:ガソリンスタンドにて。

 

 

Nora Jones - More than This
 

2011年10月27日 [ 3476hit ]
信じていてよかった。
信じていてよかった。

 

お米のこと。
カミアカリのこと。
仲間たちのこと。

 

先週、福島会津喜多方市熱塩加納町の菅井さん
今日、茨城奥久慈大子町の大久保さんからファックスと郵便で届いた。
A4の紙、放射能検査の結果だ。

 

この二人の田んぼは、あの福島第一原発から距離にして100キロ強の位置にある。
あの日、目の前が真っ暗になった。
作付け制限地域ではないにせよ気分は重かった。

それでも作付けできない。住むことさえできない方たちに比べれば、
ありがたいことだとポジティブに考えた。
土地で暮らすことができ、去年と同じように作付けができるのだから。
それでも僕は秋の収穫をいつもの年のような気分では迎えられなかった。
新聞の関連記事は全部切り抜いた。
ネットも彷徨った。

 

あっという間に夏が来て彼らの田んぼを徘徊した。
その間にも、この秋、店として勉強会としてどう振舞うべきかとずっと考えた。
それでも答えらしい答えも出ないままカミアカリの稲刈りは始まった。
最初に収穫されたのは静岡県藤枝市、松下さんのカミアカリ。
早速放射能検査に出した。
もちろんすべてND(検出せず)。安堵した。
そして9月が過ぎ10月も半ば過ぎてこの二人の収穫。そして検査。
それぞれのA4の紙にはこうプリントされてあった。

 

ヨウ素131 ND(検出せず)
セシウム134 ND(検出せず)
セシウム137 ND(検出せず)

 

信じていてよかった。


いやまだ終わってない。
残るもうひとつのカミアカリ。山形遊佐町、齋藤さんのカミアカリ。
今日、検査の依頼をした。
きっと今週末にも結果が出るだろう。

こんな出来の良い年は久しぶり。


信じてます。
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The Beach Boys - God Only Knows
 

2011年10月25日 [ 3283hit ]
機械。
機械。

 

ほとんどの機械は自分で直す。
ボルトとナットで調整できるような代物ならなおさら。
砂漠をオートバイで走り回っていたのでその経験が機械ものに強くなったのだと思う。
それでもどうしようもない機械がある。

 

電子機器。

 

今日は色彩選別機の調子が思わしくなく調整に数時間格闘した。
色彩選別機とはお米を選別する機械のことで
色の付いたお米や異物なんかを小さなカメラで一粒づつ監視しし
ターゲットをエアガンで吹き飛ばすという代物。
どこの精米工場にもある機械です。

 

そいつが思いように働いてくれない。
最新のものならきっと整備しやすいのだろうが
そろそろ10年選手の我社の機械は整備性がおそろしく悪い。
その度に独り言で文句を吐く。

 

― 誰だこれを設計デザインしたヤツは!
― こんな整備性悪くちゃオートバイなら砂漠であっという間に干物になちゃうぞ!

 

何事にも整備は必要でメンテナンスフリーなんてのはものはないけれど
何かあれば少ない工具でサクサクっと整備できてさっさと問題解決できる機械には萌える。
整備そのものが楽しくなる。
だからトラブルそのものも少なくなる。
つまり仕事がどんどん進む。
オートバイでいえば好きなところを憂いなく走ることができる。

 

まあ文句を云ってもしかたない。
こいつと一緒に走ろう。
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Gerry Mulligan - Night Lights

 

2011年10月25日 [ 3496hit ]
行きたいところがある。
行きたいところがある。

 

今日はクルマを洗ってワックスまでかけた。
夕方ガソリンも満タンにした。

 

出掛ける準備は万端整った。
行きたいところがある。

 

約束していたのに行くタイミングを逸していたところ。
11月過ぎたらなかなか動けなくなる。

 

行くとすれば今週か・・・。もう田んぼには稲はないだろうけど。
どうしよう?行ってみようかな?

 

むくむくと旅の気分が湧いてくる。
旅と云ったって日帰りなんだけどね。
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2011年10月24日 [ 3369hit ]
H2O
H2O

 

ごはん炊きをしていると水がすべてだとわかる。

 

研ぐ。
最近は洗米と云うね。
水でお米の表面にあるヌカを取り過ぎないようにさっと洗い流す。

 

浸す。
お米を水に浸す。
常温なら2時間浸す。
熱を芯まで伝えるために。
それとデンプンを酵素の力で糖に変えるために。
時間がないときはお風呂くらいの温度で浸すこともある。

 

そして水加減。
やわらかく仕上げたいなら水を増やし
かために仕上げたいなら水を控える。

 

そして火にかける。

水の沸点は100℃。
その沸騰世界で米デンプンは糊化する。
つまり「ごはん」になる。
これを炊飯という。

 

15%くらいだった米粒の水分は
水に浸されて30%になり炊飯すると60%になった。
これを「ごはん」と呼ぶ。

 

たべ終ったら使った道具のお片付け。
これもまた水を使う。
何から何まで水。
水が液体でいられる環境は宇宙全体からすれば奇跡的なことらしい。

水がお米をおいしくしてくれる。
ごはん炊きをしていると水がすべてだとわかる。
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Chet Baker - Send in the clowns

2011年10月22日 [ 3347hit ]
夕陽と電話とファクシミリ。
夕陽と電話とファクシミリ。

 

夕方近所の文房具店に買い物に行った。
半紙とお気に入りのペンを買い込んでから外に出た。
夕陽がきれいでしばらく空を眺めた。
店のネオンの向こうに夕雲がゆっくりと流れる。

 

携帯電話が震えた。
会津(福島県喜多方市熱塩加納町)の菅井さんからだった。
巨大胚芽米カミアカリの放射能検査結果の連絡だった。

 

― カミアカリの放射能検査結果が出まして・・・結果はND(検出せず)でした・・・。

 

いつもの朴とつとした声ながら笑顔が想像できた。
夕陽を眺めながらうれしくちょっとだけ目頭が熱くなった。
電話を切った後に菅井さんからファックスが送られてきた。
こんな内容の文字が並んでいた。

 

ヨウ素131 ND(検出せず)検出限界1Bq/kg
セシウム134  ND(検出せず)検出限界1Bq/kg
セシウム137  ND(検出せず)検出限界1Bq/kg

 

ちょうど今日はえびす講。
菅井さんから渡されたバトン(米)しっかり持ってきっちり走れるようにと、えびすさんにお願いすることにしよう。
ああよかった。
ほんとうによかった。
3月11日以降でもっとも美しい夕陽だ。
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2011年10月19日 [ 3223hit ]
今年の神嘗の日
今年の神嘗の日

 

今日は昼からD&Department静岡でごはん炊きのワークショップ。
10月の中旬としてはとても暑い日。
参加者は十数名、家族的なのんびりとした雰囲気でごはん炊きをした。

 

今回は静岡県内産の新米を4種炊いた。
森町堀内さんの「キヌヒカリ」
磐田太田さんの「コシヒカリ」
藤枝松下さんの「いただき」と「あさひの夢」

 

4種4様の新米を皆で炊き分ける。
炊く量も火の入れ方もそれぞれに微妙に異なる。
そのバリエーションの妙を良しとする。
失敗も成功もない。
つまり出来上がったごはんを愛おしくいただく。それを面白いとする。

 

思えばちょうど今は神嘗祭であった。
今年も無事に新穀(新米)が収穫されたことを感謝する日。
そして今宵伊勢の内宮では由貴夕大御饌。
これを書いている今、松明の灯りのもとでその神事が執り行われている最中。
荘厳なその風景に思いを寄せる。

 

今年の神嘗の日はこんな日でありました。

 

D&Department静岡のブログ
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画像上:会場のD&Department静岡2階の窓からは田んぼの向こうに富士山が見えていた。
画像中:時計は見ないで香りと音だけで鍋の中を想像した。
画像下:私。

2011年10月16日 [ 3467hit ]
次の日曜日、ごはん炊きワークショップ!
次の日曜日、ごはん炊きワークショップ!

 

10月16日(日)12:00〜14:00
D&DEPARTMENT静岡でアンコメ店主によるごはん炊きのワークショップやります。

 

今回もおなじみ土鍋によるごはん炊き。
参加者みなさんと一緒に楽しみましょう&ちょっぴりお米ウンチク知りましょう。
という感じです。

おいしいごはん炊きはいくつかのポイントさえおさえれば誰でも簡単です。
それらポイントを知ると稲のコト、お米のコト、ごはんのコト、色んなことに気づきます。
その気づきは日常茶飯に彩りを見出せるに違いありません。

 

あと数名ですが参加可能です。ご興味ある方ぜひこの機会に!

 

詳細はD&DEPARTMENT静岡のサイトをご覧ください。

電話番号054-238-6678
郵便番号422-8034
住所静岡県静岡市駿河区高松1-24-10
2011年10月13日 [ 3601hit ]
今宵の空。
今宵の空。

 

商人にとって忙しいのはいいこと。
朝から夜まで動きっぱなし。
宿題、課題もたっぷり。
手帳のメモ書きもびっちり。
来年からは一日1ページの手帳に変えようかと思う今日この頃。
そんなこと考える前にやることやらなきゃ!
にもかかわらずなかなか進まない・・・。

 

こんな風に過ごしているとついつい下ばかり見て歩いている。
忙しいと視野が狭くなるような気がするな。
だから意識して空を見ることにしている。
雲を見たり、星を見る。ぜんぶ見る。
ただそれだけ。

 

今夜は満月のようですよ。手帳に印がありました。
忙しい皆さまも、そうでない皆様も、今宵は空を眺めましょう。
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画像:10月9日藤枝松下さんの田んぼにて

2011年10月12日 [ 3312hit ]
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