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厨房新世界。
厨房新世界。
 
市内某所で行われたワイン会でカミアカリを炊いてほしいと依頼された。
小さな店内に炊飯器4台を持ち込んだ。
会場の都合上炊飯器を使うとはいえ下準備はしっかりやった。
おかげでよいコンディションのカミアカリが炊けた。
 
ー カミアカリはお酒にあう。
 
かなり前からそんなことを言う仲間がいた。
じつは下戸の僕でもそう思っていた。
それでも塩むすびで日本酒をいただく程度。
ようやく最近になって友人が「肉みそトッピングが合うよ」とワインやりながら試食して感激したばかりだった。
 
どうなるものやら・・・という気分ながら炊き上るまでの時間をワインを楽しんだ。
その日いただいたワインはとても素直で輪郭のしっかりと感じるものであった。
ワイン経験の少ない僕でもちょっと感動ものだった。
 
会が終盤に差しかかる頃〆でカミアカリをお出しした。
一口サイズのカミアカリおむすびの上に醤油の実をトッピングしたシンプルなものだった。
本当はそこで終わるはずだった。
ところが厨房に居合わせたチーズプロフェッショナルの方のご提案でブルーチーズをトッピングしてみた。
口中に言葉にならない風味が合成された。
爆発。そんな衝撃だった。
 
ー 強い風味のお米と聞いたのできっと合うとおもったんです・・・。ブルーチーズのリゾだと思えば自然でしょ・・・。
 
小さな厨房で新世界が開かれた。
そんな気がした。
 
_
 
 
2011年11月26日 [ 3231hit ]
次へ次へ。
次へ次へ。

 

 

今日、若い生産者が来た。
 
ー 今年獲れたお米です。
 
手渡してくれたのはこれで2作目という彼が栽培した米。
コシヒカリとあいちのかおり。
共に有機栽培のお米。
 
お米の話やら野菜の話やらしているうちにお昼。
ちょうどいいので昼食を共にする。
 
アンコメスタッフ3人が加わると平均年齢28歳。
僕の年齢に達するまでに20回も稲作ができる。
 
いづれこの人たちが中心世代になる。
次へ次へと知らぬ間にバトンは渡されていくのか。
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Nina simone - He needs me

 

2011年11月23日 [ 4029hit ]
ブランコ ダ ビンチ
ブランコ ダ ビンチ

 

 

午前中、公園へ行く。
自転車の練習のつきあいという名目。
練習の必要なし。
素晴らしいライディング。
広場を縦横無尽に走りまくってる。
DNAか。
こういうの親ばかというのだろう。
 
新聞も飽きたのでブランコに乗ってみる。
降りたら目がまわった・・・ガキの時分はぶっ飛ばしてたのに・・・。
DNAもエントロピーの増加にはあがなえない。
 
 
 
午後、美術館へ。
レオナルド・ダ・ビンチ 美の理想 展へ。
500年前に描かれた絵画とは思えないコンディションのもの多数。
ダビンチ一味が彼らの描写技巧の粋を尽くして、つい昨日の夜に描いたように感じられる。
 
現代の修復技術の賜物。そいつに感動する。
名画にエントロピーの増加はないのか。
いい仕事は例外はないんだな・・・と思ったりするわけ。
 
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Iron & Wine - The Trapeze Swinger
 

 

2011年11月20日 [ 3423hit ]
雨と冷めたコーヒーと。
雨と冷めたコーヒーと。

 

今日は大雨。
予定では出かけているはずだったのだが延期になった。
こんな日に行かなくてよかった・・・。とホッとしている。

 

今日出かけようと思ったきっかけのことを思い出している。
それから過去に書いたブログをふり返った。
3月15日「僕の仕事」というタイトルでこんなことを書いていた。

 

3月15日「僕の仕事」

 

8ヶ月前に書いたとおりのことが、今できているだろうか?自問自答。
どうだろうか?ここを訪れる方にも聞いてみたい。


昼にスタッフTが淹れたコーヒーはすっかり冷めた。
けれど複雑な風味は熱さで隠れていた時よりもリアリティを増している。

 

8ヶ月前、自分の心の状態がどうしようもなく熱くなってニュートラルに保とうと思った。
今は冷めたコーヒーのように様々ことを感じとることができている。


雨は相変わらずだから店は静か。
それでもめげずに営業する。
これが仕事だから。

もう17時過ぎか。
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Bill Evans - Peace Piece

2011年11月19日 [ 3439hit ]
求める深度。感じる深度。
求める深度。感じる深度。

 

 

昨日、お茶のテイスティングに招かれた。
県内のある地域の生産者グループのお茶1種とそれ以外の3種を試飲した。
これら4種のお茶はすべてブラインドされているので、
どれがその生産者グループのお茶なのかは知らされていなかった。
 
色、香り、旨み、甘み、渋み、苦み、あと味、etc
それぞれについて、強く感じるか?弱く感じるか?どちらでもないか?などを5段階で評価していく。
どのお茶が一番良いか?という質問もあったが、ジャンルが異なるお茶だったので
この問いに対しては答えず、あえてどの順番で飲むべきかを記してみた。
 
テイスティングが終了したあとにブラインドされた4種のお茶の正体が明かされて正直なところ驚いた。
生産者グループのお茶は予想どおりBだったが、
驚いたのはAのお茶、耳なじみのある大手メーカーの煎茶だったのだ。
 
Bは質問されたすべての要素において強かった。
お茶の味と香りで考えられるすべてがたっぷりある感じ。まさにフルボディ。
甘みさえも渋みでマスキングされてしまうほどのたっぷり感だった。
できることは全部出し切りました!そんな心意気が伝わっていた。
 
いっぽうAはというと、例えるならライトボディ。
すべての要素は過不足なくあり強い主張はない。しかしバランスは絶妙だった。
「お茶」という飲み物に対して期待するものを80点ほどで表現されていた。
さすが大手メーカーだと感服した。
 
作り手が求める深度。
飲み手が感じる深度。
 
作り手にとっては持ってる力は出し切りたい。
しかしそれが飲み手とっては過剰になることだってある。
その点、大多数の飲み手を知ってる大手メーカーはその匙加減を熟知している。そんな風に感じた。
僕はどちらかと言えば、やや作り手側の人間だから作り手がより深い深度を求めたくなる気持ちはよくわかる。
でもそれが自己満足や独りよがりになっていないだろうか?
足し算だけでなく引き算もあっていい。
その方程式は探さなきゃいけない。
だからこんなテイスティングの機会が必要なのだろう。
 
ただ今回いただいたお茶はどれも好きだった。
AがあるからBを認識できたわけだし。甲乙をつけることは、やはりナンセンスに思う。
美味しさはけっして一つじゃない。
大多数の意見に合わせたらみんな同じになってしまうから。
だから色んな深度があっていい。
モザイクのような多様さがじつに豊かだと思うしに、それが文化なのだから。
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画像:今日の昼のテイスティング。

大多数が美味しいと感じるすべてを持っているご飯。角度を変えれば無個性。

でもいつもより余計に食べてしまう。悩むな・・・美味しさってなんだろうか?

2011年11月16日 [ 3576hit ]
満ちては欠ける。
満ちては欠ける。

 

 

 

もう11月も明日で半分、2011年はあと一ヶ月半。
焦る。
焦っても仕方ない。
毎年この頃はそう思うんだった。
 
お米がようやくほぼ全アイテム揃ったと思ったら、今度は年末販売するの商品の準備・・・。
商人は忙しくなくちゃね。ふ〜。
閉店後は店のディスプレイとウェブの管理。
集中してできるこの時間はじつは一番好きな時間。
好きな音楽を流しながらマイペースで仕事する。
 
たまに外に出て空を眺めながらストレッチ。
今夜も月がいい。
だいぶん欠けてきた。
満ちては欠け、また満ちていく。
 
さてと、もう少しだけやって眠るとしよう。
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haruka nakamura - evryday

 

2011年11月14日 [ 3154hit ]
Melt my heart
Melt my heart

 

 

ちょっと前のはなし。

山梨の勝沼に行きました。ワインツーリズム2011です。

 

じつは私、下戸なんです。

ですが、日本酒やワインの味や香りは好きでして、たまにちょっぴりいただいてます。

そんなわけでワインを作る現場を見て歩くこのツーリズムは年に一度楽しみにしている企画です。

静岡から行くこのツアーは友人(そふと研究室)が企画していることもあり、参加はこれで3回目です。

家人にはアグリツーリズムの勉強のために参加している・・・と言ってますが、それは言い訳かな。

 

さてこのツーリズムで私が個人的に気に入ってるのは「行き先は自分で決める」ということです。

土地の人たちが日頃利用している生活道や農道を行き当たりばったりでうろうろする。

そうして見つけた蔵元でそこのワインを味わったり作り手と語らう。のんびりする。いつのまにか昼寝する。

これはまさに「旅」です。

 

旅は好きです。

それはたった一日でも、あるいは半日でもいいんです。

どこに行くのか?何を飲み喰うのか?誰と出会うのか?そしてどこで眠るのか?

少し先の未来がまったく予想できないこと。そこがいい。

とくに知らない土地への一人旅で今夜どこで寝るのかがわからない時のあのワクワクする感覚はたまりません。

そんな旅を続けていくと体に不思議な感覚が生まれます。

そしてその感覚を心地よく感じる自分に気づくわけです。

それはこんな感覚です。

 

空間の中に切り取られたかのように存在する自分。

旅の始まりは少し強ばってます。

ところが、この隔絶されたかのような身体感覚が旅を続けるうちにしだいに融けていくのです。

皮膚と接する周囲、その境が曖昧になっていく感覚です。

馴染むというのか?融和というのか?

周囲との質感が同じになっていく。そんな感覚です。

・・・・・。

 

ワインの香りと心地よい酔い。それと帰りのバスの居眠り。

融けかかった感覚とともに今もはっきり記憶しています。

来年もまた行きたいな。

いやその前に。

 

 

画像:ワイナリーの長靴。無言の彼としばらく話しました。

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Adele - Melt my heart to stone

 

2011年11月13日 [ 3517hit ]
たまらん tamarapress
たまらん tamarapress

 

‎20年近く前、私をそしてアンコメを今の姿になるきっかけを作ってくれた方がいる。

恩人である。

その方が月いちで新聞を発行することになった。

 

創刊第1号2011年11月11日発行。昨日手元に届いた。

たまらん tamarapress> という。

 

お金がたまらん・・・体がたまらん・・・。

世の中「たまらん」ことばかりだが「作る人、売る人、買う人をつなげたい」というスピリットが原動力である。

編集後記にこう書かれてある。

ウェブのスピードやフリーペーパーの手軽さに敢えて逆らい紙媒体で一部100円という値をつけた。

商品価値としては100円は高い。

しかし、個と個をつなぐ媒介のような存在も必要だと思ってくださった方はどうぞ協賛金ならぬ共感金としてご購入いただきたい

共感か。共感だよね。
皆さんの共感どうぞよろしく!

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2011年11月12日 [ 3384hit ]
小さな円環。
小さな円環。

 

 

 

月曜日、事務所にいるだけでやっとだった。

火曜日、机仕事しながら、気づくと居眠りしていた。

水曜日、外に出る気もせず、ひたすら机しごとを続けた。夜になってようやく体が少しもとに戻っていく感じがした。

木曜日、外に出る気がおきた。そこで隣町への配達を買って出た。少し気晴らしもしたかったからだ。

 

 

日曜日のカミアカリドリーム勉強会でエネルギーを出力した。

去年の11月も大出力だったが今年はそれ以上だった。

個人的にはいくつか反省点もあるが、優秀なスタッフ陣のおかけでかつてよりもはるかに充実してきた。

なにより面白い。面白くてしかたない。

こんな仕事の渦中にいることが誇らしい。

将来何がやってくるのか?そんなことよりも、何かが生成されている予感が満ちている。

そこに萌えている。

3日間腑抜けになるくらいなんだから・・・。

 

 

配達の帰り道、半島に住む友人宅を訪ねた。

5年前この勉強会を作る時に「カミアカリ三位一体宣言」を共に書き上げた友であり、師である人だ。

わずかな時間、コーヒーをすすりながらその日のこと、そして5年後の今を語り合った。

 

 

三位一体宣言が語っている、作ること、商うこと、食べることを結ぶ輪。

小さいけれど信頼し合える人たちとのコミュニティを作ること。

これを作ることでカミアカリの価値が創造されていくだろうと夢想したのだ。

 

 

この小さな円環のような、ささやかな世界を維持すること。

そのためにエネルギーを使うことが仕事だと今日あらためて思った。

 

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haruka nakamura - harmonie du soir

 

2011年11月11日 [ 3328hit ]
気づきの場。学びの場。
気づきの場。学びの場。

 

カミアカリ(巨大胚芽米品種:玄米食専用品種)という特異稀な米品種と出会って10年。

5年前に勉強会を作りその活動は始まった。

これまでカミアカリに限らず稲全般のこと、米粒のこと、ごはんのことを学んできた。

じつはそれだけでなくこれまで先人たちが作り上げてきた様々な食のこと、

その文化と歴史についても学ばせてもらっている。


この学びで気づいたことは「自分は何も知らない」ということ。

いかに知っているつもりになってることが多かったことか・・・。

毎回そんな気づきや発見の度に人の知恵や技術や素材をありがたく思う。

そして運良く出会った人には、その気づきを共感できればと思うようになった。


次の日曜日、10回目の勉強会が開かれる。

23年産のカミアカリを栽培した4生産地の4人の生産家の話を聞き、そして試食する。

そこでどんな気づきや発見があるだろうか?

日曜日が待ち遠しい。

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画像:田んぼ中の鉄塔

カミアカリが生まれた田んぼの近くにはこんな鉄塔がある。

あたりまえのように眺めているこの電気を運ぶ鉄塔にもきっと多くの人の知恵や技術があると思う。

今日は無機質な鉄塔が稲穂に見えてなんだか愛おしく思えた。

 

勉強会詳細はコチラ

 

2011年11月03日 [ 3285hit ]
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