2016年の夏、偶然と偶然が重なり出会った生産者、それが新潟県妙高市の山下さんだ。その年以来、彼は収穫した米を試食してほしいと送ってくるようになった。それをスタッフみんなで試食した後、簡単なレポートを彼に送っている。
詳しい事情はあえて聞かぬが、ちょうど出会った頃に先代から引き継いだ稲作を、再度見つめ直していたようだ。その時にアンコメ米作りプロジェクトでおなじみ、藤枝の松下が著した「ロジカルな田んぼ」も読んでくれたようだった。
試食3年目の29年産は、インプレッションに困った。美味しかったからだ。やや雑に聞こえるが、いい米は「いいね」それだけしか言葉がない。商売上キャラクターを飾る言葉は後から出すが、そもそもあれやこれや言葉の出る米はたいがいNGなのだ。つまり過去2年間は言葉が多かった。というわけで、29年産は触手が動いた。
アンコメとしては20年ぶりとなる妙高の米。昨今、話題となるような目新しい品種ではないからキャッチ―さ、派手さは正直ない。けれど自分なりの稲作スタイルが見えてきている山下さんの、その起点となる気のするこの感じはしっかり記憶すべき米だと感じている。まずはコシヒカリで探求してもらいたい。「ザ・コシヒカリ」と言える米ができるといい。それは何と言うか、そういうことのできる人ではないかと思うからだ。標高のある妙高、その谷あいの田んぼで模索する山下さんの29年産、味わってみてください。
新潟妙高山下農場コシヒカリ
生産地:新潟県妙高市大字今府
栽培者:山下農場山下岳幸
栽培方法 特別栽培米(減農薬減化学肥料栽培)
白米、玄米、分づき米(玄米価格)1キロ640円 5キロ3000円 10キロ5900円