二百十日の雨。

2011/9/4 23:10 投稿者:  ankome

 

 

台風とは思えないくらいの長雨。今日で5日目。
来週週末はいよいよカミアカリ(※1)から一ヶ月に及ぶ稲刈りのスタート。
その初日は見に行けそうにないので今日土砂降りの中を走った。

 

 

二百十日、稲作の厄日か・・・。

 

 

作業所の中でコンバインの整備している松下。
機械整備はお手のもの。この5日間収穫準備は万端整った。
複雑に駆動する金属の表面を覆う油の表情を見ただけでそれが松下が整備してあることが分かる。
手を入れるべきところにはきちんと手が入っている。用の美。
晴れ上がったその日にはその美しきマシンですぐにでも田んぼへ出られる。
稲作の厄日、恨めしそうな顔でシャッター越しに雨音を聴く。

 

 

見に行くか・・・。

 

 

小雨の中、クルマですべての田んぼを見て回る。
稲刈り直前のカミアカリが気になる。少し色が濃い。
雨に濡れているとはいえ、それにしても少し濃い。
餌(※2)が多かった?いつもは可愛そうなくらい足りない感じに見えるのに・・・。
今思えば理由はいくつか考えられた。
平場で有機で早生。
すべてが調和するには狭すぎるくらい狭いパワーバンド。
ここが「有機博打農法」と自虐的に笑って云う理由。

 

 

大丈夫、これが今年の作品。

 

 

穂発芽性のあるカミアカリがちょっと心配だった。
5年前、いまだに語り草になる出来事があった。
風台風と秋雨前線の長雨で稲刈り前に穂にある状態で発芽してしまったことがあった。
しかしその味は忘れられないほど力に満ちた味だった。
穂発芽という穀物の常識ではあってはならないイレギュラーさえも

カミアカリはそれを自らの個性としてポジティブなものにしてしまった。
その出来事以来「生まれた米が今年の作品」と思えるようになった。
そう考えるようになって稲の強かさとその種子である米の味の広さ深さを知るようになった。

 

 

中生、晩生は心配ない。

 

 

こんな風に早生には悩まされ、その捉えかたを試行錯誤するいっぽう、
中生や晩生の稲たちはオーナーを悩ませることなくいい姿をしている。
いただき、にこまる、あさひの夢、そして酒米品種。
これらの品種を眺めながら松下は云う。

−やっぱりこの土地にはこういう品種が一番無理がなくよく育つ。

有機博打農法には馬力があってどこか暢気で寛容と云えるようなキャラクターの品種がいい。
その前にやらなきゃならないことがたくさんあるのも関わらず来年試してみたい品種の話しをし始める松下。
とことん稲オタクなのだ。この男は。

 

 

また雨が降ってきた。
台風はどこへ行ったのか?
もうそろそろお天道様が見たい。
もう準備は万端なんだから。


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画像上:小学校正門前、カミアカリ。少し色が濃い。
画像中:コンバインの整備をする松下。
画像下:宝くじが当たったらという問いに、まず最初に田んぼ、次に機械一式、その次にモンキー(バイク)、その次にアンコメのプラント設備とのこと。ありがとよ。(笑)

 

※1カミアカリ:玄米食専用品種、巨大胚芽米カミアカリのこと。98年松下が突然変異を発見そして品種を固定、今に至る。
※2餌=肥料成分のことをいつもこんな風な会話をしている。