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東北ロード1700キロ 8月7日 遊佐齋藤さんの棚田

 

 

国道7号線を鶴岡から酒田へ北上。
鳥海山が間近に見える頃、そこが齋藤さんの田んぼのある遊佐町。
といっても齋藤さんの田んぼは平野部ではない。
山麓に広がる棚田地帯、その最上階に目指す田んぼはある。

 

標高150m、日本海を望む広大なロケーション。
気温28度、日差しは強いが海からの風が心地いい。
ここは全国でたった4ヶ所しかない巨大胚芽米カミアカリの最北端の田んぼ。


田植え前後の頃、低温が続いたことで稲の姿は小ぶり。この段階での葉色も良く健康に育っている。
― それでもここまでよく育ってくれた・・・。
と、齋藤さん。

 

標高が高いこと、良質であるけれど水温の低い鳥海山の湧水が水源であること・・・
稲の生長には厳しい条件ばかり・・・平野部のような豊富な収量は望むことはできない。
しかし夏の夜温は低いから品質に悪影響を与える高温障害はけっしてない。
良いことだってちゃんとある。
たしかに相対的に見れば厳しい条件には違いはない。
しかしそういう厳しい条件だからこそ生まれる何かがある。

ここの米(カミアカリ)食べたある人が、こんな風に表現したことがあった。
― 絞まった米、モザイクのような多様な風味がある・・・。
その年の品質はけっして良好ではなかったが不思議な風味を醸していた記憶がある。

 


こういう田んぼを訪ねる時、「好条件」ってなんだろう?と思うことがある。
もちろん気候のこと、土壌のこと、水のこと、地域のこと、人のこと・・・
ありとあらゆる要素の中で「良きこと」に恵まれることが好条件なのだろう。
しかし、そのあらゆることに背を向けず、目の前のことをコツコツやっている齋藤さんのような人を見る時、
好条件とは自ら作るもの・・・と気づかされる。

 


それにしても気持ちのいい風が絶え間なく吹いている。
僕は先輩面して中村くんこう言った。

― ここは今回の田んぼ旅の、たぶんハイライトだぜ。

 

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画像上:標高150m 鳥海山麓の裾野、大棚田地帯の最上階。遠くに日本海が見える。
画像中:戦時中に作られたというため池。鳥海山麓の湧水をここで太陽熱で温め用水路へ供給している。
画像下:ため池の上流、湧水の源流を訪ね原生林を行く。

 

2012年08月23日 [ 4142hit ]
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