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今期松下最終便。

 

10月18日14時。
耳慣れたディーゼルエンジンの音。
白いトラック。松下のトラック。
荷台には真新しい紙袋。そこに「にこまる」の四文字と穀物検査印。
松下23年産最終便品種。

 

―さあやるか。

 

松下と僕、そして新人スタッフTの3人で低温倉庫に運び入れる。
全部で30俵、1800キロ。
一人あたり600キロだから往復20回トラックと倉庫の間を行き来する。
外気温は20℃以上。力仕事には14℃の倉庫内はじつに快適。
汗もかかずリズムよく運び込む。

Tも上手に積めるようになった。
だけど松下や僕にはまだ適わない。
肩から米袋を落とすように積むだけで位置と姿が一発で決まる。
だから高く積んでも煉瓦のごとくピシッと崩れることはない。
20年以上のキャリアの差はそうは埋められない。
しかしTの身のこなしが日に日に良くなっていることがわかる。
20分ほどで12段きれいに積み終えた。

 

―今年もお疲れさまでした。

 

事務所に戻ってお茶をしながら会計をする。
毎年この日はなぜだかホッとする。
どうやら松下も同じらしい。
彼にしてみれば自らの手を離れることの安堵。
僕にしてみればバトンを渡され難しいことは考えず「あとは走るだけ」という覚悟。
まあ覚悟なんて大げさなものじゃないかな。
シンプルに売ることに徹することができる安心感かもしれない。
それに23年産は作柄もよく品質、味ともに文句ない。でき過ぎなくらいい仕上がり。
これで気持ちよく走れないわけがない。

 

プロジェクトの販売ステージは無事始まりました。
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画像:10月18日14時 安東米店低温貯蔵庫内にて。
 

2011年度  )
2011年10月18日 [ 5619hit ]
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