水田徘徊 福島会津喜多方熱塩加納町。
八月五日夕刻
ここには、稲の神さまがいる・・・。
5年前、松下と共に初めてここに来た時の強烈な印象が甦った。
米沢から大峠を越えて福島の会津地方に入る。
喜多方駅でおちあう予定の松下を拾い、そのまま熱塩加納町の菅井さんの家へ走る。
ちょうど日が蔭り始める頃、稲がもっとも美しい時、輝き始める時間。
挨拶もそこそこに菅井さんと共にカミアカリの田んぼへ走った。
一枚3反部が4枚、すべてカミアカリ。その生長が完璧に揃っている。
おしゃべりの松下もしばらく絶句していた。
稲の神さまがおわす。
ここはそんな風に素直に云いたくなる土地。祝福されているところなんだ。
菅井さんも松下もいい顔している。
いつかこんな風になればいいと思ったことが今、目の前にある。
僕はなんだかうれしくてシャッターを押し続けた。
あたりはだんだん暗くなっていく。
気づくと頭上に月があった。
そして仲間のことを思った。
ここには多くの人の頭の中にあるフクシマなんてないよ。
ただ淡々と人が暮らしがあって、いつもの年と同じように稲が育っている。
もちろん皆、祈っている。無事でありますようにと。
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画像上:菅井さんの田んぼ中にある桐の木。僕はこの木が大好きです。守り木なんだと思っています。
画像中:有機栽培のカミアカリ圃場。一点の曇りもない完璧な状態。23年産はきっと記憶に残る年になるだろう。
画像下:菅井さん(左)と松下。こういう仲間たちと共に仕事ができることが自慢なんだ。
( 米屋のいい訳 )
2011年08月10日 [ 4180hit ]