2011年最初の田圃を見に行った。
この時期の田圃の見所は?と聞かれたら、こう答えることにしている。
白化したひこばえ。
稲刈り後に生長した背の低い稲、少量だけ実をつけたその全体が白く枯れるのだ。
その姿はまるで白金のように僕には見え、冬の太平洋岸特有の雲ひとつない青空にじつによく映えるのだ。
もちろんそれだけではない。
そのひこばえの生えた株を抜き、根の張り具合や土の湿り気具合を田圃一枚一枚見て回るのだ。
そうすると品種や田圃によって根の張り具合が異なることに気づく。
あのコメを育んだ稲の根の具合はこんなだったのか・・・ってね。
それが、良い根の張りか、そうでないかかという判断は単純にはできないけれど、
生き様がわかると云ったらいいだろうか。
つまり生育中には見えなかった何かをそこから感じるのだ。
例えば、流れに逆らいながら進む水鳥の水かきのようにね。
その動きはけっして見ることはないけれど、
そこに確実にあったであろう姿、足跡とでも云ったらいいだろうか。
それを感じとるのだ。
それからもうひとつ大事なのが、体に感じるこの季節感。つまり寒さのこと。
これは一年を通して同じ田圃に通わなければ、この感慨はわからないと思う。
巡っていくそれぞれの季節の中で、ふと思うのだ。
ここは、あんなに寒かったんだな・・・って。
文字にすると、どうということもないのだけれどね。
ことに真夏、出穂の頃にふと思い出すこの寒さの記憶は田圃ウォッチャーにとっては
じつに感慨深いものなのである。
そんなわけで今年も通いますよ。
次回はきっと2月初旬。もしかしたらその前かもな。
_
画像上:田圃に寝転んで見るんだ。
画像中:ヒノヒカリの根、他の品種より根の張りが小さかった。
画像下:栃山川を散策していたら水鳥の親子がいた。