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田植え終盤。

 「そこにモノがあって、はじめて話しを始められるんだよな・・・

 

 藤枝へ不定期で行く配達の際、作業場へ寄ると、田植え作業を終えて松下が戻ってきた。作業の進み具合をひと通り聞いた後、こんな話しをした。

 

 「俺たちの仕事ってさ、毎年毎年ひやひやしながら稲を見つめ、稲刈りをして、そこに米粒があることが確認できないと、何も終わらないし始まらないんだよな・・・現物主義っていうのかな。ヘタな約束はできないし約束をしたいとも思わない。とにかく目の前に米粒、それもイメージの許容範囲内のそれが現れて、はじめて『じゃあバトンを渡そう、受け取ろう』ってことになるんだよな。」

 

 もちろん、「何をどれくらい栽培しようか?」や、「どんな米に仕立てようか?」などは常に議論のテーマであり、そのコミュニケーションはかなりではある。それでも議論の対象である米粒が、目の前に現れるまでは、どうもにも体が動かない。農家の松下米屋の僕ならではの感覚なのかもしれない。周りから見れば、「なんのこっちゃ?」と思われるだろう。
 それくらい怖い、まるで綱渡りしている感覚がある。もちろん自負する心達成できる技術があることは信じている。それでも何が起こるか分からないのだ。それが農だと思う。

 

 「残りはあれだけ」と指す先に最後に植える晩生品種が苗場にあった。いよいよ今年もここまで来た。世話を焼けるのも今だけ。「始まりの終わりなんだよな・・・」ちょっと寂しい松下であった。

 

画像上:背後にある苗箱の量と松下の日焼け具合で田植えの進捗状況がわかる。大詰めであるね。
画像下:定点観測地、あさひの夢の田圃。ここも田植え完了である。

2010年06月10日 [ 6147hit ]
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