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物差しと、団扇。

 夕方、Hさん来店。この方、僕よりも数年先輩で、お仕事は大学の先生も、されている。「先生も」というように、ひと言では語り尽くせぬほど、多くの顔を持っている。そこで愚問と知りながら、こんな質問をしてみた。

 

ところで、なに屋さんなんでしたっけ?Hさんて・・・」。

 

 Hさん曰く、「これ皆に聞かれるんですよ〜説明するのに30分掛かるんだけど・・・」その返答に、少しに悔いた・・・。そんな話しを皮切りに、事務所奥のサロンでコーヒーを飲みながら話しに花が咲いた。

 

文字とはそもそも・・・書くは引掻くが語源で・・・云々

 

というあたりから次から次へと発展し、ウイリアム・モースのコレクションの話しから、どういうわけか、アンコメ80年の歴史遺物の話題になったところで、大切保管している、昔(祖父の時代)アンコメがノベルティーとして配布した柿渋調の団扇を引っぱり出してみると、

 

あッそうだ!僕ね〜アンコメさんちで、昔、お客さんに配布したらしい物差し持ってるんですよ・・・」とHさん。

 

 じつは、その物差しのことは以前、昔からご愛顧いただいているお客様に見せてもらったことがあり、祖父の時代にノベルティーとしてお客様に配布したものらしいことは聞いていた。しかし、まさかその中の一本がHさんの手元にあるとは、なんとも奇遇、何かの縁を感じたのでありました。

 

 歴史遺物や遺跡の多くは、権力者や政に関わる人々ものであるけれど、どうってことのない庶民の暮らしの歴史を知りたい。同時に今生きてる僕らが意識して残していきたい。そういう意味でアンコメが残せるものは膨大であるようにHさんと話しながら思った。
 物差し1本、団扇一つ、それらは無言であるけど多くを語っているように僕には思えるからだ。

 

 

画像:柿渋調の団扇。これも戦前からご愛顧いただいているお客様からいただいたもの。アンコメ80年の歴史遺産。大切にしていきたいと思っている。

 

2010年04月06日 [ 4349hit ]
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