アンコメのある安東でも、一昨日小学校の卒業式がありました。桜が咲く少し前のこの時期、このように毎年あちこちで別れの場面を目にします。しかし数週間後の桜が咲く頃(今年静岡の開花予報は3月27日頃、満開は4月3日頃)には、また新たな出会いも始まるのです。
当店のある安東地区は、典型的な住宅地で静岡市内でも転入転出が多い地域の一つです。今日もご近所では引越しをするお宅を、たくさん見かけました。
当店をご利用いただいているお客様の中にも、お引越しされる方も何人もいらっしゃいます。昨日もあるお客様からこんな言葉をいただきました。
「今回が最後なんです・・・お世話になりました」。
お世話になったのはこちらの方なのに、こんな言葉をいただくと本当に嬉しいものです。微力ながら少しはお客様の役に立てたのだと実感できるからです。
そうやって過去にお引越しされたお客様の中には、今も通信販売という形でご利用いただいて方が何人もいらっしゃいます。これもまた本当に嬉しく、このIT時代にあって、どこの店より当店を選んでいただいているというわけですから、これぞ「米屋冥利に尽きる」という気分に他なりません。
さて、これから安東米店、アンコメとご縁ができるかもしれない皆様に簡単ながらご挨拶をさせていただこうと思います。
安東米店はこの安東という地に米屋を開業してもうすぐ80年になります。私の父(今も現役、いっしょに働いてます)が生まれる少し前のことです。
創業者は私の祖父で、祖父はまず独立開業するにあたって、その場所をどこにしようかと浅間山(せんげんさん:浅間神社のある山を尾根伝いに登ることができる)に登ったそうで、その頂上から東の方(安東方面)を望み、今あるこの安東二丁目に決めたそうです。
しかしその当時の安東は、まだ田圃だらけで、たぶんこれから新興住宅地になるのかな・・・?という具合だったようです。店は無事開業したそうなのですが、北向きのその店を開けると、視界がとびきり良く、なんと安東小学校の正門(以前は南向き、現在は西向き)はもちろんのこと、臨済寺(徳川家康が幼少時代を過ごした寺として有名な名刹)の山門と一本松(現静岡銀行北安東支店)も見えていたそうなのです。ということは北側には、田圃以外はほとんど何もなかったということのようです。当店の歩みは、安東が今の安東の姿になるのと共に歩んできた80年だったというわけです。
「美味しいお米を売って80年」なんて歯の浮くようなキャッチコピーを使えば使えなくもないくらい、それなりの歴史があることはあります。しかし、米屋という業態は今や賞味期限切れ?いやもしかすると消費期限切れ?などと言う意見もあるほど、その仕組みは旧態前としたもののように見えます。
しかし、その旧態前のように見えるこの「良くできた仕掛け」を私は15年前に再発見しました。その時から米屋の仕掛けをリライト(書き直す)することが私の仕事の目標となりました。
今生きる人に、「なるほど、これが米屋という仕事なのか・・・」と言ってもらえるために、専門的な技術や知識を研鑽すること、それをできるだけ解りやすく知っていただくための様々な情報発信と店作り。いつしかそんな積み重ねが「田圃からお茶碗まで」というコンセプトを紡ぎだしました。
お米を米粒だけで、見たり聞いたり考えたりせずに、田圃からお茶碗に盛られるまでの流れの中で米粒と関わるのです。
そのコンセプトに基づいて企画されているのが、「アンコメ米作りプロジェクト」であり、「カミアカリドリーム」なのです。
正直いうと、商売は下手です。下手というより知りません。しかしお米に対しては、たぶんかなり真面目な方(もっと真面目な方も大勢いらっしゃいます!)だと自負しております。そんな不器用な米屋ですが、この安東の地でなんとか今までやってきました。
これからご縁ができ、微力ながら皆様のお役に立てることをスタッフ一同希望しています。ぜひご来店ください。おーっと、宅配販売もしていますのでお電話(TEL.054−245-1331)でも、Eメールでも、どうぞお気軽にアクセスしてください。
これからどうぞよろしくお願い致します。
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