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第37回 カミアカリドリーム勉強会、今回のテーマは「カミアカリ脳」を作る。<前半>
勉強会では、IH式電気炊飯器(玄米炊きモード)と土鍋による炊飯も同時に行います。同じお米でも炊飯方法によって、全く異なる風味と風合いが現れることを参加者に感じてもらうためです。それは「食べる人(炊く人)」の選択や技も、カミアカリのテロワールを形成する重要な要素であることを示唆しています。
勉強会では、IH式電気炊飯器(玄米炊きモード)と土鍋による炊飯も同時に行います。同じお米でも炊飯方法によって、全く異なる風味と風合いが現れることを参加者に感じてもらうためです。それは「食べる人(炊く人)」の選択や技も、カミアカリのテロワールを形成する重要な要素であることを示唆しています。

 11月16日(日)4回目となるカミアカリドリーム勉強会が行われました。参加人数は45人、予想を上回る盛況でした。集まった人達の中で生産者も含め米業界の人はわずか7人ほど、そのほとんどは一般の方で、カミアカリとカミアカリドリームの活動に何らかの共感を持ってらっしゃる方たちです。地元はもちろん関東方面からも大勢ご参加いただきました。

 今回のテーマは「カミアカリ脳を作る!」。巨大胚芽米カミアカリという類まれな米品種の味や香り、触感(テクスチャー)を、言葉や文字にして表現し、それらの要素を意識化する。脳みそにカミアカリというフォルダーを作り、意識化した言葉や文字を入れ込むことで、カミアカリを栽培する生産地や生産者ごとの違いや個性、それらを総称する意味としての「カミアカリのテロワール」を探すこと試みたわけです。

 今回このような実験的な取り組みをするきっかけになったのは、7月に行われた第3回目の勉強会で講演していただいた「創作珈琲工房くれあーる」の内田氏の発言がきっかけでした。

 「私が参加しているコーヒーの世界的審査会では、味や香り、テクスチャーを形容する具体的な言葉にして評価します・・・・」

 じつはコーヒーもまた数十年前には、それらを表現する基準がなく(あるいは曖昧で)、アメリカのコーヒー業界の中の一部有志がワインの評価表現を見習いながら作っていったというのです。
彼らは今、世界中のコーヒー産地に出向き、その評価方法で生産者といっしょになってテイスティングし、農場あるいは生産者ごとに、それぞれのキャラクターを明確化し評価しているそうです。そうやって評価されたコーヒー豆は彼ら自身の中でオークションし、コーヒーをその評価に見合った正当な価格で買い入れ、地域の活性化に一躍を担っているというのです。
この生産者と一体となった取り組みと、その情報開示等々、成り立ちと運営の厳しさについての内田氏の話に、今あるニッポンの米の現状に、ある種の甘さのようなものを感じたのでした。

 勉強会直後からスタッフの間で、「内田氏が関わるコーヒー審査会ほどではなくとも、味をしっかり捉える仕組みを作らなければならない・・・」ということを感じ、実験的ながらも数名で作業チームを作り、第4回勉強会に向け、「言葉にする評価方法の仕組み」作りを始めたのでした。
じつはこれら一連の作業は、きっかけを作ってくれた内田さんはもちろんのこと、今回のゲスト講師、山梨のワイングロウワー(ぶどう栽培からワイン醸造までする人)である杉山啓介さんにもお手伝いただきながら進めていきました。
間に合わせとはいえ、とりあえず仕上げた「言葉にする評価方法の仕組み」は不備な点も多々あるとはいえ、「カミアカリ食味官能ワークシート」という名称で20年産新米カミアカリを官能するために実践導入したというわけです。

 このワークシートではカミアカリの味を大きく3つに別けて捕らえていきます。

 1) 香り (最初の香り、口に含んだ時の香り、後に残る香り)

 2) 味  (口に含んだ時の味、噛んで出る味、その後の展開)

 3) 触感、テクスチャー (口に含んだ時の感触、噛んだ時の感触、舌ざわり)

 それら一つ一つを具体的な言葉として表現していくのです。例えばこんな感じで・・・。

 1)香り・・・トウモロコシ・・・マロン・・・きな粉・・・

 2)味・・・・やわらかな甘み・・・マロン・・・ミルク・・・

 3)触感・・・しっかりとした腰・・・クランキー・・・ビスケット・・・

 今まで米のテイストを表現するような言葉とは思えないような言葉が、カミアカリを立体的に形容する言葉として現れてきます。私も含め参加者の多くが戸惑いながらも、自らの経験の中にストックされている「香り」や「味」、「触感」の感覚を呼び覚ましながら探っていきます。
今までおぼろげながら感じていたそれらの感覚を、文字や言葉に変換するという作業、言わば「意識化する・・・」という脳みその使い方を、これまでしてこなかったことに気づかされたのです。

 じつは今回の勉強会の狙いはここにありました。意識しないで食べて感じていたあいまいな感覚。「好き嫌い」と「美味しい美味しくない」を混同して捉えてしまうこと。さらに言えば美味しい美味しくないに関わらず、「この香りは何か?この味は何か?この触感は何か?」それをきちんと意識として捉えることで、そのモノのキャラクターを明確にすることができると考えるからです。
それらを捉えることができると「好きと感じていること」や「美味しいと感じていること」が客観性を持って捉えられると考えたのです。

image

「香り、味、触感」を言葉するには、それを形容するための語彙力はもちろん、様々な「香り、味、触感」の経験が必要だと実感した。米を商う人からは、「ご飯を表現する言葉の貧しさを痛感しました・・・」との声も。画像の彼、内田一也氏はコーヒーの国際審査員らしく表現力に富んでいる。彼曰く、「鍛えれば誰でもできる・・・」とのこと。きっと参加者の多くはこの日を境に何かを食す前、その対象に鼻を近づけ「香りをとる」癖がついたことだろう。

 持論ではありますが、これまでの米の食味を評する表現の根底には、どこかに「優劣をつける」という意識があったように感じることがあります。これはこれで必要不可欠なことではありますが、すべてがそれだけで評価されてしまうことの怖さを常に感じていました。
それは均質化です。皆が同じ方向の価値に流されてしまうこと。それ以外の価値が失われていくこと。モノカルチャーです。かつて地域ごとにあったはずの米の風味や食感の多様性が無意識で失われていくことの怖さ、いや正直に言えば「寂しさ」かもしれません。
以前からメッセージし続けているとおり、それに対してのアンチテーゼとしてカミアカリを道具として使い、その多様性に意識を向けて育てていくこと。またそれらを「作る人、商う人、食べる人」の間で共有することがカミアカリドリームの目指す世界感だとメッセージしてきました。

 そのために、今回作った「カミアカリ食味官能ワークシート」が必要だったというわけです。それによって捉えられた「香りや味、食感」によって、20年産で栽培された藤枝(松下さん)、奥久慈(大久保さん)、会津(菅井さん)、3ヵ所のカミアカリのキャラクターが明確になるはずです。じつはその向こう側にカミアカリを通して「テロワール」が描けてくることが大事だと考えます。
「風土、人、技、その年の気候、貯蔵による変化・・・・」そういった様々な要素によって現れるその年の「このカミアカリ」がわかること。それによって優劣ではない世界感、多様な風味風合いを持ったカミアカリの世界を作ることができると信じるのです。

 後半では、ワイングロウワー杉山啓介さんの講演の様子をご報告します。

 

■参加された方々が自身のブログで今回の勉強会の様子を書いていただいています。

2008年11月16日 [ 2508hit ]
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