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11月11日号 あさひの夢&ヒノヒカリ

 アンコメ米作りプロジェクトが始まってから7年目の秋がやって来た。今年も何とかこの日を迎えることができた。藤枝の有機栽培米生産者松下明弘さん安東米店が企画したお米。今どきの言い方をすれば、「コラボ米」と言うのだろうか。
今年19年産で栽培されたのは、「あさひの夢」と「ヒノヒカリ」。このコンテンツでずっと報告してきたお米が10月5日に「あさひの夢」。10月18日に「ヒノヒカリ」の順で入荷した。

 この秋は何かと多忙で、ようやくこの記事を書ける時間ができたと思ったら、入荷してからもうすでに一ヶ月が経とうとしている。解っちゃいるけど、時の経つのは本当に早いね。
でも、その間全くこのお米のことについて何もしていなかったわけではなく、様々仕様、様々な方法で炊飯し、試食を繰り返していた。
だから、「ヒノヒカリはこうしたほうがいいな・・・」とか、「あさひの夢はやっぱりこうだな・・・」なんて、自分なりのだいたいの収まりどころは、ほぼ把握できた。
しかしまあ、自分で言うのも変な話しだが、ふつう米屋というものは、仕入れる前にこのようなテスト炊飯を繰り返して、そのお米を買うか買わないかを決めるものなのだが、この「アンコメ米作りプロジェクト米」については、買ってからその米の良し悪しを判断するという、全くもって非常識な仕事をしている。そんなことをもう7年間もやってきたのか思うと背筋が寒くなる。
収まりどころなんて格好のいいことを言っているが、とどのつまり買ってしまったお米をどうしたらお客さんに納得してもらおうか?いいわけを探しているようなものじゃないかとも思える。

 まあ、生産者の松下明弘私、長坂潔曉との関係とは、まさにそういう関係で、「良くても悪くても一年一作、ただありのままを受け入れるのみ」という風なのだ。
だからこそ、一年間掛けて栽培過程で問題となりうる可能性のあることを一つ一つ検証して、少しづつ修正を繰り返しているのだ。だから近年では、食味的なことに関しては、ほとんどピント外れはなくなった。それどころか、細かなチューニングをし過ぎることが、また新たな問題を生むという皮肉な問題を生む原因にもなっている。まあ何事も「ほどほど」ということを、ここでもまた知らされた。

 ところで、そのカリカリにチューニングしまくった19年産の「あさひの夢」と「ヒノヒカリ」のインプレをしてみようか。車みたいに。

 

 「あさひの夢」の魅力は、何と言ってもその独自の食感、ごはん好き、とくにマニアというレベルでごはんの好きにはたまらない食感がそこのある。感覚的にはかつての「ササニシキ」がこんなテイストだった。硬めの歯応え、滑らかな舌触り、口に入れた最初はあっさりとして味がないという印象ながら、奥から甘みが沸いてくる、そんな玄人受けする食感なのだ。
19年産は例年以上にさらに輪を掛けて、そのあたりの作り込みにしびれる。もう一歩進むと味も素っ気もないつまらない米になる寸前でチューニングされている。それくらい今年の作りは、ギリギリまで追い込んで栽培したと松下さん本人も振り返って発言している。

 「ヒノヒカリ」はこのプロジェクトをはじめて2年目から採用した品種であり、このプロジェクトの看板商品でもある。小生の好きなブリティッシュライトウェイトスポーツの雄「ロータス」に置き換えるなら日常的な実用性も充分備えながら走って楽しい「ロータスヨーロッパ」ってところである。(いや聞いた話しだけですけどね。)
羽釜や土鍋でマニアックに炊くも良し、気軽に炊飯器で炊くも良し、誰でもどんな道具でも、ちゃんとその魅力が味わえるのが「ヒノヒカリ」の優しさであり良さでもある。ただし19年産はいつもの松下イズム炸裂の強い風味がややおとなしいという印象。言い方を変えれば上品で澄んだ甘み、旨みというところだろうか。これはまあ白米の印象ではあるけどね。
松下さんの米はそのどれもが、やはり完全精白するより「分づき米」か「玄米」が良い。松下イズムの真骨頂糠層にありというところか。

 

 こうして19年産のアンコメ米作りプロジェクト米販売ステージに入った。これから約9ヶ月間じっくりと販売していくというわけだ。毎年のことながら、その間の管理もできる限り慎重に行うつおもりでいる。低温倉庫の一番奥の一番温度変化のない場所に置き、最後の在庫は9ヶ月間の長旅をするというわけだ。米にエイジングは、まずありえないけれど、そういう気持ちで保管に努めようとも思っている。
というわけで、「さあ!いらっしゃい!いらっしゃい!

 


エイジング?そんな気持ちで保管するのも楽しいじゃないか。
エイジング?そんな気持ちで保管するのも楽しいじゃないか。
2007年01月28日 [ 3525hit ]
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