TOP  >  ankome通信  >  アンコメ米作りプロジェクト  >  2006年度  >  3月6日号 表参道で思い出した。【2006年版最終回】
3月6日号 表参道で思い出した。【2006年版最終回】

 1月7日の日曜日、典型的な西高東低の気圧配置。ニュースのお天気コーナーは、この冬一番の寒波がやって来たと伝えている。

 前の晩、突然に松下くんから、この連休中に一度打ち合わせをしたいとの電話が入り、今日は急遽藤枝の松下邸へ向かった。
藤枝を目指して走るバイパスの途中、北の方角に見え隠れする南アルプスはすっかり雪雲に覆われ、その雲の一端が平野部まで届き、道中ところどころで風花が舞っている。車内の外気温表示モニターは摂氏3度を示している。

 数ヶ月ぶりの松下くんの田圃はすっかり冬の風景で、稲刈りあとに出穂した稲穂(ヒコバエ)強い北風に吹かれている。稲作シーズンには開けっぴろげの作業倉庫も今日はシャッターが閉まり人気がない。数年前に改修された江戸時代に建てられた母屋に入ると、奥からいつもの声が聞こえてきた。
「あけましておめでとう、今年もよろしく!」と、松下くん。
「こちらこそ、今年は例年以上に忙しくなりそうだけど、気長にいきましょう・・・」
今日打ち合わせするであろう、今年どうしてもやり遂げなければならない仕事の心構えを新年の挨拶にしてしまった。

 松下くんは18年産の仕事が終わってからというもの、次の年にやらなければならない複雑かつ手間のいる仕事について、ちょっとナーバスになっているようだった。田圃の中の複雑で手間のかかる仕事なら、全く気にも掛けずに平気でこなしてしまう松下くんでも、こと対人間、それにまつわるデスクワークとなるとやっぱり苦手らしいのだ。まあその手の仕事は誰でも苦手だろうが、もし得意だったとしたら、生き物相手の農を生業にはしてなかっただろうけれど。
そんなわけで、今日のミーティングは二人でその仕事の問題点を洗い出し、対処方法を考え、段取り良く実行に移すために一連の流れを時間軸ごとに整理するという目論みなのである。

 「寒いな〜」
話し合いが始まって2時間、改修されたとはいえ、古い木造住宅は現代の住宅に慣れてしまっている僕にはとても寒く感じた。話し合いが白熱している時にはそれほど気が付かなかったが、話しの整理がつき始めナーバスだったお互いの気分が解れてきた頃になると、途端に寒さを感じ始めたのだった。
僕は傍らにあるファンヒーターの吹き出し口に足を投げ出し、机の上の蜜柑を食べながらこう言った。
「ともかく3月までに出た結果を見て、その後の段取りを再度調整しようよ・・・」
長期で考えること、中期で考えること、短期で考えることが混同しないようにするために、クールダウンしたほうが良さそうだったための提案だった。
じつを言うとこの提案は、早くこの部屋から脱出したいための方便だったかなとも思えるのだが、それほどに寒い部屋にも関わらず、僕らの頭の中ヒートアップしていたのだった。

 


ヒノヒカリとあさひの夢は低温貯蔵庫の奥座敷、 しかも渓谷のそのまた谷底に鎮座しております。だいぶん減りましたな。
ヒノヒカリとあさひの夢は低温貯蔵庫の奥座敷、 しかも渓谷のそのまた谷底に鎮座しております。だいぶん減りましたな。
2006年01月28日 [ 3056hit ]
このページを印刷
カテゴリ内ページ移動 ( 17  件):     1 ..  11  12  13  14  15  16  17  次