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10月24日号 松下×安米プロジェクト米3部作の巻

 お待たせしました!18年産アンコメ米作りプロジェクト、松下さんとコラボ米「松下×安米プロジェクト米3部作」のすべてが出揃いました。今年は主力品種ヒノヒカリに加えキヌヒカリ、あさひの夢の3種類、さっそくそれぞれのお米の素性とその出来ばえ食感についてインプレッションしてみます。

  • ヒノヒカリ
    松下×安米プロジェクト米主力品種として栽培している中生品種。松下さんの有機栽培でできる最高のパフォーマンスが発揮できるように選んだ品種。静岡の気候と志太平野(大井川の扇状地)の特性を生かし、栽培時期や肥料成分も周到に計画して栽培しました。

    18年産は上品な仕上がりです。甘み旨みがややあっさり系です。しかし粘りや舌触りは一流。17年産に比べると柔らかく、その柔らかさとあっさりとした味が上品な印象を与えるのでしょう。毎年悩みの種だったカメムシ被害粒も皆無で見た目の品質も最高です。主力品種にふさわしい上質な出来ばえです。
  • キヌヒカリ
    松下×安米プロジェクト米のサブ品種。やや早い中生品種。高温過ぎる夏の藤枝の気候に向かない早生品種コシヒカリの栽培の代わりに栽培しています。

    キヌヒカリらしい淡白なあっさりとした味とも言えますが、やや面白みに欠けるのは否めません。しかし粘り舌触りがしっかりしているので救われます。3種の中では一番早い収穫だったためか?一番香りが強いような気がしています。ただし少しだけカメムシの被害に遭ったので、ほんの少しだけですが黒い斑点のある米粒があります。香りの強さを生かすためにも玄米分づき米で食べたいお米です。
  • あさひの夢
    松下×安米プロジェクト米のサブ品種。遅い中生品種。食味的には大きな期待はできないものの松下さんの有機栽培にはたいへん相性が良く、良い意味で期待を裏切るダークホース的存在。

    やっぱり18年産も良い意味で大いに期待を裏切ってくれました。旭系品種の良さが全面に出ています。ヒノヒカリやキヌヒカリよりも甘み旨みが勝っています。しかも粘りと舌触りが意外にもしっかりあるので知らないで食べたら銘柄米(松下×安米プロジェクト米だってローカルエリアでは充分に銘柄米ですが・・・)のような気さえします。

 全体的な生育状況は、生長序盤の6〜7月の予想外の低温で生育が足踏みしましたが、8〜9月に入ってからの好天で一気に回復、序盤とは逆にブレーキを踏まなくてはならないほどの生育状態でした。収穫直前に至っては、「これでも秋かよ・・・?」というほどの連日夏のような日照と高温。しかし終わってみればそれなりにまとまった出来ばえとなりました。
まあこれもお天気任せの一期一会。どんな状況でもそれを生かした栽培コントロールするのが松下くんの技なのです。それでも稲という植物はどんな気候の年でも、その年の気候にあわせて自らの体を作り、人間の都合(食味)を除けば必ず種子(米)を実らせるのだから、つくづく関心させられます。
考えようによれば、序盤の低温もゆっくりじっくり体を作るという点で良かったのかもしれません。気温が高く有機物の分解スピードが早く、肥料の効きすぎによる早熟気味の体作りより、こんな風に序盤ノンビリの大器晩成型のほうが松下式らしい気がしています。

 じつはこのインプレッションはすべて白飯での評価です。しかしほんとう言えば、松下×安米プロジェクト米は、すべて玄米分づき米で食べてほしい米なのです。松下×安米プロジェクト米の真骨頂はなんといっても田圃生態系が織り成す複雑で多様性にとんだ風味にあります。この風味を味わうことこそプロジェクト最終段階であるこれを食べる皆さんに課された使命でもあるのです。
「どうですか?食べたくなってきたでしょ」
ヒノにしますか?キヌにしますか?それとも、あさひ?」

 


室温13度、湿度70%の低温倉庫に鎮座する松下×安米プロジェクト米。 これから約半年間に及ぶ私のミッションのスタートである。
室温13度、湿度70%の低温倉庫に鎮座する松下×安米プロジェクト米。 これから約半年間に及ぶ私のミッションのスタートである。
2006年01月28日 [ 3299hit ]
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