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釜戸への道【4】製作開始

 

薪と羽釜で炊く本格ご飯を提供する飲食店のための釜戸製作レポート「釜戸への道」その【4】です。


2021年2月の開店に向け、いよいよ釜戸製作が始まった。じつは製作を始まるまでが、なかなかの難産で、計画が具体化した2018年、まず釜戸職人を探すことから始まった。それも地元で・・・。「釜戸職人」と検索すれば容易に見つかることと知りつつも、できることなら「同じ風土の中で暮らしている職人さんに仕事をしてもらいたい」と考え、様々な人を尋ね歩いた。しかしなかなか見つからず、それから一年が過ぎた頃、伊豆でプロユースの厨房機器販売を生業とする友人の鈴木さん(以前から相談していた)から突然電話が入ったのです。「居ました!居ました!なんと家の裏手に住んでましたよ!」まさかの展開に驚くと同時に何かの縁を感じた瞬間でもありました。御年78歳、すでに現役を離れているとはいえ、時々頼まれ仕事を弟子と共にのんびりしている日々だそう。初顔合わせは2019年5月27日、その日以来お会いする度ごとに「釜戸の何たるか」を難解とも思える問答の中から類推することが製作チームの最も重要な仕事となった。

それから一年後、鈴木さんの尽力のおかげで、ようやく実施図面ができ、製作作業が2020年11月末始まった。製作は週に2日か3日、耐火レンガをモルタルの乾き具合を見ながら少しつづ積んでいった。じつは単に積んでいくように見えながらも内装はなかなか凝った作りで、内圧や加重に耐えるように上部のレンガは楔型に組み合わされていたり、煙突につながる煙道は排気調整できるように段が付けられてたり、図面では表現しきれない現場で作る感満載の微妙な造形にうっとりしたのです。とはいえ外観は華美なところはなく耐火レンガ剥き出しの質素なものとしました。

とりあえず完成した釜戸でさっそく燃焼実験をした。“とりあえず”と付け加えたように、ここからスイハニング(ご飯炊き)にちょうどいい燃焼をさせるためのチューニングしていくこととなる。それは大きく分けて2つあって、ひとつは釜戸そのものと、もうひとつは運用方法など技術的なことである。まずは前者を確かめるために羽釜に水を入れ、どんな燃え方をするのか?沸騰までの温度上昇に要する時間などを計り、この釜戸の特性(癖)を見極めることをした。今回いくつかのチューニングポイントが分かったので、運用開始までに手を入れることとなる。しばらく実験は続きそうだ。

2021年03月01日 [ 1960hit ]
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