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7月3日号 田圃を巡るワンデイツアーの巻

  友人H氏からこんな電話が入った。
田圃まで自転車で行く日は、いつですか?」

 毎年恒例としている地元契約生産者の田圃を自転車で巡るツアー。ツアーと言っても大げさなイベント企画ではなく、仕事と遊びを兼ねたささやかな楽しみに、友人サイクリストの誰かが同行するという程度の、いたってローカルかつパーソナルなツアーのことなのです。

 ちょうどその頃、2ヶ月間毎週月曜日に出演していたラジオ番組を聞いて連絡してきてくれた掛川の米生産者の山本さんの田圃と、毎年8月末から販売する森町の堀内さんの田圃を見に、掛川方面へ行く予定があったので、それに自転車移動のオプションを付けた改良(改悪?)視察ツアーにH氏を誘ってみることにした。すると「行きます!行きます!」と、乗り気の返事が返ってきた。

 午前9時、掛川市内にある、私とH氏行きつけの呑み屋ならぬ、某N研究所で落ち合い、その研究所のS所長と美人秘書K女史に見送られ、最初の訪問地山本さんの田圃へ向かった。
待ち合わせの場所(田圃)は事前に聞いていたが、何せ田圃だらけの場所、容易に見つけられないかと思いきや、青つなぎ姿で作業中の山本さんを一発で発見できた。
「よく分かりましたね・・・」と山本さん。
「はい、草取り機を使って作業する人は今どきほとんど見かけませんから・・・有機栽培をやってる証、遠くからでも分かりますよ。」
松下くんの田圃訪問にはじまり、様々な場所の田圃訪問をするようになってからこのかた、こういうことだけは、いつのまにか目が利くようになった。

 山本さんは主に「あいちのかおり」という、アンコメ米作りプロジェクトで菊川の高野くんが栽培している品種と同じ品種を栽培している。ところが、その栽培方法には山本さん独自の発想があり、たいへん興味深い。それは時にセオリーに反するように思えるものもあるのだが、よくよく聞いてみるとちゃんとした理屈があるのだ。
松下くんに出会った8年前にもこんな感じだったことを思い出す。手応えのある生産者の共通点とは、良い意味での頑固さ信念を持った人なのである。

 山本さんの田圃を後にして、次の訪問地、森町の堀内さんの田圃へ向かう。ここからは自転車で移動することにした。せっかくここまで来たのだからと、そこから6〜7キロ奥まったところにある知り合いの牧場、「しばちゃん牧場」まで行く。
「自転車で来たの〜いいな〜」と、しばちゃん。じつは、しばちゃんも学生時代はサイクリストだったらしく自慢げにその当時のことを話してくれました。
ここでジャージー牛のソフトクリームをほおばり。森町の堀内さんの田圃を目指す。距離はだいたい片道15キロ位だろうか。

 午後1時、堀内さんの作業場に到着した。道中湿気たっぷりの向かい風で往生したが、なんとか約束の時間に間に合った。
「アンドウさん自転車で来ただか?」と堀内さんは笑い顔で迎えてくれた。
毎年好評で当店の早場新米の人気米である今年の堀内米の今年の様子を早速聞く。
「今年は初期の低温で(生長が)遅れているよ・・・」
5月の思いがけない低温のせいで例年よりも1週間ほど生長が遅れているそうである。まあ有機肥料を基盤にしている栽培方法にとって低温は微生物による有機物の分解が遅れ、肥料効果の効きめはゆっくりとなるからいたしかたない。もっとも初期生長が早く、見た目にデカイ稲に限って、地下の根の張りがひ弱な稲にくらべれば、じっくり時間をかけて体を作る今年のような生長のほうが健康的で、できたあがった米質は良いケースが多いので、その方が喜ばしいのである。多少の遅れは、良しと考えるべきだろう。
そんなわけで、18年産堀内米コシヒカリ(特別栽培米:減農薬減化学肥料栽培米)は8月30日前後の入荷となりそうである。

 午後2時半、森の旧市街にあるお米屋さん、高柳米穀店に寄って同店の手作り玄米弁当で遅い昼食をとる。僕らがお弁当に舌鼓を打っているとご主人が配達から帰ってきた。
「アンドウさん自転車で来たの?」堀内さんとほぼ同じリアクションであった。
じつはこの高柳さんは、ジェラートの店「アリア」としても有名なお店なのである。その美味しさに惚れて当店でも販売しています。森町にお越しの際はぜひ寄ってみてください。

 午後4時、自転車スタート地点「しばちゃん牧場」に到着。即行で自転車を分解して車に積み込み次の訪問地、今日のツアーのハイライト藤枝の松下くんの田圃に向かった。
じつはH氏が楽しみにしているのが、松下くんの田圃の中に今だけ現れる「豊年エビ」である。到着すると、松下くんが作業場の前で片付けをしていた。
「よっー!」毎度変わらぬ挨拶である。H氏の紹介もそこそこに、早速田圃へ直行する。
「今年は田植えが早かったから、もういないかもな・・・」と松下くん。
「あっ!いたいた!色が薄くなっているけど、まだいるいる・・・」
発生初期ほどの鮮やかな色こそないが、お腹にはたっぷりと卵を持った体長約2センチほどの豊年エビが腹を上に向けてヒラヒラと泳いでいた。
「ここ数日で産卵して消えちゃうんだろうな・・・」
田植え後に現れたかと思うと数週間で消えてしまう。何ともはかない命であるが、その宇宙的とも言える姿に誰もが魅了されるのだ。

 時間は夕方6時を過ぎている。素晴らしい夕日の中、トラックに乗ってアンコメ米作りプロジェクト主力品種「ヒノヒカリ」の田圃へ行く。松下×安米ヒノヒカリユーザーでもあるH氏が感慨深げに松下くんの話しを聞いている。
心地よい風に吹かれながら、刻々と変化する薄暮の田園風景の美しさにしばし無言となり、今日一日の充実した一期一会を、あらためてかみ締めた瞬間であった。

 こうして朝から3箇所の田圃、3人の生産者に会いに行く仕事+ちょっと遊びのツアーは無事終わった。このワンデイツアーに同行してくれたH氏がこの時の様子を自身のブログで美しい画像とともにレポートしてくれたので、ぜひ見てください。

 


薄暮の松下×安米ヒノヒカリ。扇状に広がった姿は稲本来のカタチだ。
薄暮の松下×安米ヒノヒカリ。扇状に広がった姿は稲本来のカタチだ。
2006年01月28日 [ 3015hit ]
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