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長坂1月14日号 雪は、また肥料でもある。

 日本中が強力な寒波に被われている。毎日のように日本海側の豪雪の様子を、ニュースが伝えている。地球温暖化だからといって、暖かくなるという単純なことではないらしい。正月にDVDで観た「デイアフタートゥモロー」というアメリカ映画を思い出した。地球温暖化によって極地の氷が溶け出し、海流に変化が生じることによって、北半球のほとんどが数週間のうちに氷河期になってしまう・・・という近未来SF映画だった。まあ、お話しの世界ではあるのだけれど、こう毎日寒い日が続くと、あながちそんなことも起こるんじゃないかとも思ったりする。とはいえ、私が住む静岡市雪などは皆無、気温こそ低いものの毎日快晴!雪降ろしなどをぜずに毎日を過ごせるのだから、まことにありがたいことである。

 そんな豪雪のニュースを聞いていると、雪は「百害あって一利なし」のように聞こえてしまうが、じつはそうでもない。もっとも5〜6メートルの積雪量ではちょっと度が過ぎるのだろうけれど・・・。じつは田畑にとって雪は恵みの雪でもあるらしいのだ。

 その理由はこんなことらしい。は上空で結晶化して地上に落ちてくる間に空気を摂り込んで落ちて来る。ご存知のように、空気の中には酸素や二酸化炭素のほかに、植物にとっての重要な栄養素でもある窒素も多く含まれている。その窒素を含んで降り積もったは、単なる水の結晶である以上に窒素肥料として土壌に染み込んでいくというのだ。

 それを知ったのは、昨年夏に松下くん高野くんと共に訪れた、会津地方の熱塩加納村の生産者の話しからだった。当地では毎年3メートルを超える積雪だという。稲栽培において、その年の積雪量窒素換算され、栽培する稲の肥料設計に組み込めれるそうなのだ。雪があることで栽培期間が限られ不自由することもあるが、雪があるからこそ土地が肥沃でもあるわけだ。よくよく考えてみれば、豪雪地帯の多くが米どころと呼ばれている。その理由のひとつが、この豪雪の存在なのだろう。

 雪が窒素肥料の一握を担うなら、今年のような豪雪では相当量の窒素が日本海側の田畑に投入されたことと同じということになる。とすると、18年産は大豊作か!?あるいは肥料分過多で品質劣化か!?などと近未来予想もしたくなるのは米屋の性分か・・・。いづれにしてこの積雪量を味方にするか、にするかはそれぞれの生産者の腕の見せどころだろう。

 雪の降らない地方の人間とは、悠長にもこんなことを考えたりするのである。

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我が家から望む雪と云えば「富士山」である。前日の大雨は富士山をお馴染みの姿にお化粧した。 そのお化粧代を窒素換算すると、どの位の量なのかと想像してみた。
我が家から望む雪と云えば「富士山」である。前日の大雨は富士山をお馴染みの姿にお化粧した。 そのお化粧代を窒素換算すると、どの位の量なのかと想像してみた。
2005年01月27日 [ 5087hit ]
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