TOP  >  ankome通信  >  アンコメ米作りプロジェクト  >  2005年度  >  高野9月18日号 エアコン、田圃、トランペットの巻
高野9月18日号 エアコン、田圃、トランペットの巻

 9月に入り湿気が抜けすっかり秋の気配、「暑さ寒さも彼岸まで」おなじみのこの言葉つい出てしまう季節になってきた。とはいうものの日中は結構な暑さで高野くんの田圃へ向う車の中はエアコンは欠かせない。ところがである!その頼みのエアコンのスイッチが入らないのである。途中街道沿いの自動車ディーラーに見てもらったが「こりゃコントロールパネルごと代えなきゃダメですね・・・」との解答。かくて昔懐かしい窓全開走行。「20代の頃乗ってたサニートラックには三角窓がついてたっけな」なんてことを思い出しながら初秋の田園地帯を走り抜けた。

 田圃へ到着すると高野×安米プロジェクトの主力品種である「あいちのかおり」はすっかり穂が垂れていた。反収7俵で設計したもののこの調子だと8俵くらいになりそうな姿である。そんな調子のせいか穂は垂れてはいたものの葉や茎はまだ青くその色もまだ濃い。「色抜けしてこないね〜」と云うと「そうなんですよ〜」と高野くん。もっとも収穫時期が10月10日頃を予定しているので当然といえば当然なのだが、ここまでに至る出来が当初想像していた以上だったので早く黄金色の姿を見たくてそんな風に見えてしまったのだろう。初期の田圃整備の不備からだろうか見た目の全体感は締まりない風に見えるものの個体を一株一株見るとその姿はなかなか良い。松下くんが絶句したあの熱塩加納村の稲の姿を彷彿とさせるものがあった。

 田圃の帰り道、友人のS氏から誘われた「ヒロノグチクラシックライブイン焼津」に寄ってみた。焼津市内のとある造園業社の一室に設えた小さな会場にパイプ椅子をならべただけの簡素なステージでそのライブはスタートした。ピアノとトランペットだけで演奏される楽曲は誰でも一度はどこかで聞いたことのあるクラシックのスタンダードの数々。大胆かつ繊細なそのプレイに感激しながら聞き惚れている中で一曲だけ今までに聞いたことのないけれど僕の感性にビンビン来るすばらしい楽曲に出会った。【David snow:Winter】演奏終了後にヒロノグチさんにその曲のことを教えてもらった。タイトルはWinter(冬)であるがそのメロディを聞いた時の僕の頭の中にはあの高野くんの「あいちのかおり」の田圃の姿があった。春先の曇った田圃に射す一条の光、弱々しい若苗を田植えする風景、雨降りの田圃で躍動するミクロの生命、強い日差しの中で凛と立つ生長した稲、雷雲の中で咲く米の花、高い空の下たわわに実った稲の姿・・・。

 あいちのかおりはあと20日ほどでいよいよフィニッシュである。稲刈り直前にもう一度黄金色に輝く田圃を訪れたいと思う。その時にはヒロノグチさんに教えてもらったあの曲を聴きながらあいちのかおりを今一度眺めようと思う。その頃にはもうエアコンはいらないはずだと思うのだが。


あいちのかおり


あいちのかおり


クモ

今回の時間はこちら
口の悪い僕が叱咤激励しても、この田圃だけは自信満々、笑顔で聞いている高野くん。
口の悪い僕が叱咤激励しても、この田圃だけは自信満々、笑顔で聞いている高野くん。
2005年01月27日 [ 3334hit ]
このページを印刷
カテゴリ内ページ移動 ( 25  件):     1  2  3  4  5  6  7  .. 25