― 田んぼん乾かないもんで仕事にならん、しょんないもんでこんなことしてるだよ・・・
3月15日、だいぶんと日が伸びたが、まだ少しうすら寒い。
島田への用事帰りに田んぼに寄ってみた。
松下は作業場の中で機械いじり。
機械といっても農機具ではなく愛車のちっこいポンポンだったが・・・。
― 今年はレンゲの生長がやたらと早いや~
作業場周辺の田んぼを眺めながら、春の様子を聞く。
松下の言うとおり、緑肥のためのレンゲが田んぼいっぱいに繁殖していた。
例年この時期、群生はあってもまだ小ぶりで、大半は冬の田んぼ然とした景色なのだが、
今年は昨年の刈り株が露出しているところはごくわずかで、ほとんどレンゲに埋め尽くされている。
なにより花の多いことにも驚かされた。
毎年のことながら田んぼに「例年どおり」はない。常に変異するものだ。
畦に繁殖する野草(雑草)がいい例だ。
じつは野草(雑草)にも流行がある。
ある年、一世風靡した草があったかと思えば、翌年はすっかり廃れてしまうこともある。
たんに「雑草」として見ていると気づかないが、ミクロの目で観察しているとその変化に驚かされる。
松下もまた「例年どおり」はない。
作業スケジュールや栽培用の資材に大きな変化はないが、常に微調整は行っている。
田んぼごとに記した栽培記録と仕上がった米のコンディションを見ながら最適化を図っているのだ。
もっともそれらが吉とでるか凶とでるかは半年先の未来の話し。
冗談とはいえ僕らが「有機博打農法」と言いたくなるのもあながち嘘ではないのだ。
微調整とは博打をしないための最も手堅い方法というつもりだが、果たしてどうなるものやら・・・?
こんな風にして今年も静かに始まっています。
これから田植えまでが勝負時、今年もわくわくしながら見守るつもりです。
_
画像上:中国レンゲ、丸みを持った大きな群生をつくる。花数は少ないが花は大きめ。
画像中:日本レンゲ、平らに広い群生をつくる。花数は多いが、花は小ぶり。
画像下:3月15日天気晴れ。