ラッキー

 

 

夏は各地の田んぼ周りが忙しく藤枝の田んぼはすっかりご無沙汰してた。

そういえば7月下旬、熊本へ出張の折、新幹線の車窓からほんの数秒だけ見て以来かな・・・。今日は配達の途中に少し足を延ばして久々に行ってみた。小学校前の田んぼはカミアカリ。すでに穂が垂れはじめていた。今年は少雨のせいか生長が早い・・・と、松下からは聞いていたが、8月に入ってからやや足踏みしたらしく、今年も例年と同じく収穫は9月7〜8日となりそうだ。それにしても今年はいつもより少し背が高く、その姿はなかなか格好いい。なにより、低い夜温のおかげで品質も良さそう。久々に質も量も充実しそうな予感のする姿だった。

 

帰りに作業場を訪ねると松下がいた。コンバインの整備や片づけをしていた。日中は暑くて仕事にならないとかで、朝と夕、涼しい時間にボチボチやってるそうだ。二人で松下の趣味の田んぼ、105種の稲品種を栽培している実験圃場へ行った。すっかり個性豊かな風景に変貌し、いくつかの生長の早い品種はそろそろ収穫の近いものもある。この個性豊かな105種類の中でも一種、とくに注目している株がある。それもたった一株。これもまた松下が見つけた突然変異のひとつなのだが、そのストーリーがまた面白い。


昨年、ある品種の収穫時に偶然発見したその突然変異の穂、それを採取したまではよかった。ところが採取したその穂を無造作にポケットに入れてしまったのが運のつき・・・。収穫作業を終え、思い出してふとポケットの中を捜すと、あったはずのその穂がない!やっちまった〜〜〜と一瞬焦ったが、ポケットの中をさらに探すと2粒だけ残っていたのだった。その2粒を大切に半年保管して、今年の春に種まきをした。たった2粒というプレッシャーもあったのか、あまりにも大切にし過ぎてしまい、そのうち1粒を枯らしてしまった。で、残った一粒がこの一株というわけ。その一株は順調に生長し立派に穂が垂れはじめている。


残念ながら、まだこの株の持つ個性はお知らせできる段階ではないが、何年か後、この株の幸運が続いていくのであれば、いつの日かご紹介できる日がやってくるかもしれない。

 

個性の固定、さらに品種の固定というのは一朝一夕にできるものではなく、何年、何十年もの時間が必要なこと。だからというわけではないが、現在品種として流布し、日々何気なくたべているお米の背後にも様々に思いや努力、それと幸運が一体となっていることに気付く。そう考えると、きちんと炊き、味わうこととは、それらを再現することなのかな・・・とも思う。

 

夕方、田んぼを渡る風は心地いい。
松下の収穫シーズンは、あと20日ほどではじまる。

 

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画像上:ラッキーな一株
画像中:26年産カミアカリは9月7〜8日ごろに収穫予定。これから黄金色に実っていく。
画像下:実験圃場はまるで稲の百科事典。今が見ごろ。

 

 

 

 

 

2014年08月23日 [ 4480hit ]
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