第44回 11月15日カミアカリドリーム第6回勉強会報告。

2009/11/15 22:06 投稿者:  yhonda

 最初に伝えたいことがある。
それは、この勉強会のこと。カミアカリドリーム勉強会のことだ。ここは、答えを見つける場ではなく、答えの手がかりを見つける場である。

 2006年7月に第1回を行ってから、今回で6回目。3年という一つの区切りを終え、改めてそういう思いが湧いている。
というのも、今回ほどあらゆる面で、これからの進むべき方向の手がかりを実感した機会はなかったからだ。その行く先は漠然とはしているが、足元は明るく、次の一歩が見えている。そして目指す方向も根拠はないが確信に近いものを感じている。

 次の一歩は、今回の勉強会のこんな場面から手がかりを感じた。



 

■前半部テイスティング

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3産地4種のカミアカリを同時にテイスティングできるのは、この時をおいて他にはない。今回は想像以上にそれぞれのキャラクターがはっきりした。参加者の中には、「米は種なのだ・・・というあたりまえのことを今回ほど感じたことはなかった・・・じつに面白い」と言った方もいた。

 今回も土鍋と炊飯器(P社IH式)の2種で3産地4種のカミアカリを炊き分けた。例年よりも厳しい環境下だった21年産は、その違い(個性)が明確に現れた。その個性の現れ方は、どちらの炊飯方法でもほぼ同じキャラクターとして現れたが、ここで土鍋を使った人の手によるマニュアル炊飯の仕事の意味が顕在化したように思う。
炊飯器はどんな個性を持ったカミアカリでも、その米を良い意味で平均化し、誰が食べても判りやすく解釈し、まとめるのが長けた道具。いっぽう人の手によるマニュアル炊飯では、米の個性を尊重し、その個性に応じて、炊く人の解釈や意図を反映できる手法だということ。
また、そうやって炊かれたカミアカリを、優劣ではなくキャラクターを認識するという視点で正確にテイスティングすることで、どのようにしてそういうキャラクターに育ったのか?の原因を究明することができる。これによって具体的な提案を栽培の現場へフィードバックできるようになるのだ。
今までのようない受身の炊飯でなく。「この米はこのようにして炊く」という主体的な炊飯をすることで、栽培と密接にリンクしながら作り上げていく炊飯になるのだ。そういう手がかりを感じた。


 

■後半部(1)ゲストスピーカー、キウイフルーツカントリーJapan平野正俊氏とのセッション。

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平野さんが手塩にかけて育てたキウイたち。小粒のまたたびから、ピュアカントリー、ティァドロップ、サンゴールド、紅鮮、など自慢のキウイを平野さんの解説付きで試食した。たぶん参加者の多くはキウイのイメージが根底から変わったはずだ。

 平野さんのお話しはここでは書ききれないほどの情報量だった。その中から、カミアカリドリームが目指す方向として、手がかりとなる言葉を選ぶとすると、「家出=旅すること」だろうか。
平野さんのあのキャラクターを作った重要なファクターとして、「家を出ること」だと確信した。その最初の衝動は少年時代。あるエピソードを通じて面白可笑しく語ってくれた。
「僕は近所では有名な行方不明少年だったんだよ・・・ある日、家から20キロ離れた御前崎に行きたくなってバスに乗ったんだ・・・」
好奇心が人一倍旺盛だった少年は、自転車で日本中を駆け回り、いつしかアメリカ大陸を目指す。それに飽き足らず、世界中を闊歩しながら、このニッポンという国のこと、生まれ育った故郷、掛川のこと、自分という人間のこと、そして農のこと。それらをあたかも俯瞰するように外から見つめた若き日々が、単なる農業家と言う肩書きでは語りつくせぬ、平野さんのイメージの源泉だったのだ。
2010年夏、カミアカリドリームは旅をします。それを「カミアカリツーリズム」呼ぶことにしました。カミアカリが栽培されている土地へ旅するのです。その土地、人、食と出会い、感じるのです。そしていただくだけの旅ではなく、何かを届けることもします。そういう経験をすることで、自らの生きる場の意味を知るきっかけになると確信しています。
















 

■後半部(2)

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パネルディスカッションでは、各アグリカルチャリスト(これも造語)たちが、日頃感じている農について、忌憚のない意見を展開してくれた。よくよく話しを聞くと、彼らすべてが若き日々、「旅」の経験があった。外の風に吹かれると、こういう珍獣猛獣(!)生産家を産むのだ!

 勉強会にとっては鬼門とも言える後半部最後のパネルディスカッション。過去2回失敗を繰り返し、今回は3度目の正直。
パネラーはゲストの平野さん、カミアカリ生産者の藤枝の松下さんと大久保さん、ワイングロウワー杉山さん、そして22年からカミアカリ栽培を始める齋藤さん、そしてナビゲーターとして、石垣さんと私という布陣で臨んだ。
今回、事前打ち合わせで、ナビゲーターの石垣さんと作ったディスカッションのテーマは、「アグリ・インダストリー」という造語。
いつからニッポンの農業が、「アグリ・カルチャー(耕す文化)」ではなくなったか?いつから「アグリ・インダストリー(耕す工業)」になっちゃたのだろうか?
しかしパネラー5人の農の中に共通して感じることのできるのが「アグリ・カルチャー」。彼らがどのようにしてアグリカルチャーしてきたか?しているか?するのか?をお話しいただいた。
話しを聞いているうちに、気がついた。この勉強会は、そのアプローチの胎動なのだと。もしかすると、この場で将来紡がれていくであろう「作ること、関わること、食べること」の世界観が、スタンダードになるかもしれないという予感、またそうしなくちゃいけないという責任。そういう手がかりを感じたのでありました。

 

 カミアカリドリームが手がかりを見つける場であると最初にメッセージしたが、今回平野さんも質的には同じようなことを、こんな言葉にしてメッセージされていまいた。
「目覚め、気づき、出会い」
こういう場をこれからもカミアカリを媒体として提供していきたいと思っています。
キウイフルーツカントリーJapanの平野さん、参加された皆さん、カミアカリドリームチームスタッフのみんな、お疲れさまでした。そしてありがとうございました。次回2010年7月にまた会いましょう。

●第6回カミアカリドリームについて多くの方たちが素敵なレポートをブログ上で書いていただいています。どれもじつに示唆にと富んだレポートです。ぜひご覧ください。

今回は40人が集まった。皆何かを探しにこの会に集まってくる。稲作や米に直接関わらない人も大勢いる。カミアカリドリームは、そういう人達のサロンなのだ。
今回は40人が集まった。皆何かを探しにこの会に集まってくる。稲作や米に直接関わらない人も大勢いる。カミアカリドリームは、そういう人達のサロンなのだ。