旅する羽釜 5

2013/7/26 14:33 投稿者:  ankome

 

 

2013年7月8、9日、フランスのシャンパーニュ地方にある中世の古城、フェール城で行われた能フェスティバルに参加し、羽釜スイハニング(炊き)、おむすびをつくってきました。これはそのレポートです。

 
 
 
旅する羽釜 5
 
 
クロワッサンとオレンジジュースとカフェオレ。
安宿だけどめっちゃ旨い。自称スイハニスト、元祖米喰い民族でも旨いものは旨いと思うのだ。
早朝、澄んだ空気の中、ノートルダムに参詣してきた上に、旨い朝食お腹いっぱいとなれば気力体力とも充実するというものだ。
その時、僕の携帯が鳴った。電話の主は能楽師の大倉源次郎さんだった。
 
「どうしたの昨日?待ってたんだよ・・・大丈夫?何かあった?」
 
心配して電話をしてきてくれたのだ。
そこで昨日あった事をかいつまんで説明し、今日はこれからフェール城へ向かうことを伝えた。
とても嬉しかった。押し掛け同然のアンオフィシャルなミッションなのに、楽しみに待っていてくれたのだ。
僕と田中隊員は互いに顔を見合わせた。これでできる!と確信した瞬間だった。
 
ランスからフェール城までは、静岡の距離感でいうと静岡市から掛川市へ行くくらい。
ちょっとお金は掛かるがもうミスはできない。大事をとってタクシーをチャーターした。
タクシーは最新型のフィアットのディーゼルSUV、ドライバーは女性。
ドライバーを含め5人乗車+荷物だけど、かなりいい走り。
信号も渋滞もない快適な道、前を行くプジョーやルノーの小型車をバンバン抜いて行く。運転上手い!
 
ランスの郊外をほどなく走ると左右大草原。
正確にいえば、麦や牧草、ぶどう畑もちらほら。
そうだここはシャンパーニュ地方、黄金色に輝く泡のお酒の故郷なんだった。
今宵こそ「泡」飲むぞ!と妄想をしているうちに別荘地のような山麓にクルマが入って行った。
静かな佇まいのシャトー、テラスには白いパラソルがいくつか見えた。
見るからにフランスを思わせる情景。ここがFere en Tardenois フェール城。
ようやくたどり着いた。
 
出てきた女性スタッフの方に能の方々や辻さんはどこですか?と訊ねると
ちょっと背伸びをし向こう側っていう感じで指差した。
左奥にネットで見たことのあるあの古城が見えた。
指差した右側にある石積みのアーチを荷物を引きずりながらくぐると
真っ黒に日焼けした見慣れた顔と声の主がいた。
辻くんとGroomしずおかの面々だった。
その奥には大倉さんはじめ能楽師の方々がくつろいでいた。
 
来た来た。待ってました。ごはんごはん。味噌汁あるよ。昨日どうしたの?
 
皆、日本語文法がめちゃくちゃで口々に同じ質問を浴びせてきた。
2週間前から作業している面々、その気持ちは痛いほどわかった。
まあ、いろいろとありまして・・・。
それはそうと、釜戸と薪が必要なんだけど、準備できるかな?
それに、そもそもスイハニングしちゃっていいのかな?
到着早々、のんびりする間もなくスイハニングのための確認作業に動きはじめた。
どちらにしてもお米を浸漬しとかなきゃならないから田中隊員と僕は従業員宿舎の中の水場で洗米を始めた。
あっヤバイ・・・お米を浸しておくバケツがない。
お米2キロ分づつ入る容器どこかで借りてこなきゃだよ・・・。
 
 
つづく。
 
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画像上:フェール城への道。延々と続く畑畑畑・・・このくには農業の国なんだな。
画像中:ようやくフェール城到着。暑い!眩しい!
画像下:羽釜被って気合充分。出発前、ホテル ドゥ ラ カテドラル ランスにて。パーマではない(念のため)
 
 
 
地図

住所Le Chateau de Fere