田んぼに水が入り、田植えが終わってひと段落した頃、田んぼは命のスープとなる。微生物が活動を開始し、それを捕食する水生昆虫たちが大発生するのだ。するとそれを目当てに、こうしてホモサピエンスたちも大集合してくる。
今年も恒例、松下さんの田んぼで「ハーフデイアグリツアー水生生物観察会」を行いました。参加された方は総勢30人強、梅雨真っ盛り降ったり止んだりのお天気の中にもかかわらず、こんなに大勢集まっていただきました。
このツアーの目玉はなんと云っても「豊年エビ(ホウネンエビ)」。昔から、この小さなエビが発生すると豊作になると伝えられてきた、縁起の良い水生生物で、カブトガニの仲間、ミジンコの一種だ。
この小さなエビ、この時期数週間出現し、あっという間に消えていく。その姿はなんとも宇宙的。広大な田んぼ宇宙の浮遊する妖精のようでもある。そう云えば、英名はfairy shrimp まさに妖精なのである。
ひとしきり田んぼ観察が終わったら、ご飯炊きの時間。参加してくれた子供たちに松下さんが栽培した2種類(ヒノヒカリ・あさひの夢)のお米を、羽釜と土鍋を使い、スイハニング(炊飯ing)に挑戦してもらいました。
アンコメ店主が隊長を務めるご飯炊き部隊、その名も「ESI(エクストリーム・スイハニング・インターナショナル)」の小学生隊員のハナ隊員が、みんなにコツを伝えてくれたおかげで、4つのお釜は、どれも上手に炊き上がり、参加者みんなであっという間に平らげました。
この風景はまさに、「田んぼからお茶碗まで」。アンコメが理想とする、「作る人」「商う人」「食べる人」の一体となった姿。これこそ、田んぼ生態系の理想の姿だと再確認したのでした。
<参加された皆さんへ>
悪天候の中、お集まりいただきまして真にありがとうございました。田んぼは刻一刻と変化していきます。またお近くに来られた時は、ちょっと足を止めて覗いてみてください。意外な発見がありますよ。
画像上:節足動物門 甲殻亜門 鰓脚綱(ミジンコ綱)サルソストラカ亜綱 無甲目。通称「豊年エビ」。これはペットボトルのキャップです。
画像中:人もまた田んぼ生態系の大切な存在。
画像下:どんな場所でも、どんな米でも、誰でも楽しんでご飯炊きすることが、ESIのミッションなのだ!