10月10日号 冴えない顔と冴えた顔の巻

2003/1/27 0:00 投稿者:  ankome

  あんなに暑かった9月が過ぎ10月になったとたんに一気に涼しくなった。朝晩などは涼しいというより寒いなんて日もあったりと今年の天候ときたら気まぐれというほかない。暑くも寒くもないちょうどいい日というものは実際は年間通しても1週間もないのではなかろうか?そんな貴重とも思える暑くも寒くもないちょうどいい日の10月10日松下×安米プロジェクト15年産新米ヒノヒカリがようやく入荷した。今年はさんざん天気に振り回されていたせいか「ようやく入荷したな」と思ったが昨年のレポートを確認してみたら10月8日入荷と記されていた。7、8月の生育遅れが結果2日の遅れにまで縮んだということはやはり9月の天候がかなり良かったということのようだ。あらためて太陽エネルギーの偉大さを思い知らされた感じがした。

いつもの空色オンボロトラックに35.5俵(2130キロ)を積んでやってきた松下くんは珍しくやつれた顔気味。それもそのはず9月に入ってからの天候回復で一気に稲の生長が進み早生、中生、晩生、全体の生育状態が詰まってしまい9月末からは早朝から深夜まで稲刈り、籾摺り、乾燥、袋詰めと大忙しだという。そんな時にかぎって機械トラブルが発生するなどの思いもよらぬイレギュラーで睡眠不足とフル操業による疲労がやつれ顔の原因のようだ。

ご本人様の顔は冴えないものの作品であるお米はなかなか冴えた面構えである。冷夏の影響をもろに受け収量は前年対比約10%減。今年も化学肥料を使わない宿命か残念ながら2等という品質評価であった。確かに全体にややばらつきはあるものの米粒の張りやツヤはヘタな1等米にはかなわない。いまさら云うまでもないが松下くんが栽培する米はいわゆるエリートではない。しかしエリートにはない植物としての力強さというものがその面構えから感じるのである。それは今年のような冷夏にもかかわらず病害虫の被害が皆無だったことが良い例なのである。病気にかからない、害虫が寄りつかない健康で強い稲になるように鍛え、そうやって鍛えられた稲は力強い米を育むのである。食べてみればその米の持つパワーは見面の良いエリート米にはないものを持っているにちがいない。ただ「パワー=美味しい」という図式どおり単純じゃないところが米の味の面白いところなのである。というわけでさっそく白米と玄米を試食してみた。

玄米・・・以前から松下くんの米の魅力は玄米や分づき米で食べるのがその魅力を最も表すと評してきたとおり今年の米もあの田圃生態系をまとった松下味とも云うべき力強い味がする。それでいて舌触りはエリート米なみにスムースなのだ。

白米・・・パーフェクト!と云いたいところだが今年の米はあっさりとしている。甘みが薄いというべきだろうか。だが決して悪くない。そればかりか小生の知りうる過去5〜6年の中ではもっともスムースな舌触りである。炊き上がりのツヤなどはハイエンドクラスの米なみに美しい。イメージ的には上質のヒトメボレをイメージさせてくれる。「松下め今年はやけにお上品じゃないか」と早速電話で伝えた。

このインプレを昨年同様に客観的数値で確認するべく現在食味計による成分分析を依頼している。そのお話しは次回以降にご報告する予定です。お楽しみに!

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紙袋

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ヒノヒカリ玄米

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ヒノヒカリ玄米

2003年度 )
松下×安米ヒノヒカリの精白米である。松下くんのお米は是非、玄米か分づき米で食べていただきたいものだが、やはり銀シャリもいい。銀シャリに変身する前の精白米の造形も美しいではないか。
松下×安米ヒノヒカリの精白米である。松下くんのお米は是非、玄米か分づき米で食べていただきたいものだが、やはり銀シャリもいい。銀シャリに変身する前の精白米の造形も美しいではないか。