7月27日号 三ケ日援農隊出撃!の巻

2003/1/27 0:00 投稿者:  ankome

 ようやく東海地方も梅雨明けしたと朝の天気予報が伝えている。そのわりには、どピーカンということはなく曇り空で相変わらず涼しい。酷暑続きもつらいが日照不足と低温稲作にはつらい「寒さの夏はおろおろ歩き〜」なんて宮沢賢治そのものといった状況なのである。静岡はまだしも北陸や東北、北海道などはこのままだと深刻な状況になることが懸念されはじめた。「稲は強い、なんとかなるさ」と松下くんが云っているように、あの平成5年の冷夏の年でも技術レベルの高い東北地方の生産者の稲は米を実らせた。こういう年こそ生産者の腕の見せ所というところであろうか?それにしても低温すぎるように思うのは小生だけではないだろう。

ひょんなことから知り合いになったYさんという三ケ日に田圃を借りて無農薬で稲作を始めて2年目の田圃へ松下くんとともに援農に出掛けた。三ケ日と云えばミカン、前後左右ミカン畑の中の一本道を行くと細長い田圃が見えてきた。その田圃の畦の向こういるYさんが手を振って迎えてくれた。早速田圃を見てオドロイタ!稲1に対してヒエ9!「立派なヒエ畑だなコリャ」と松下隊長。日頃、これが無農薬か?と思えるほど雑草の少ない松下くんの田圃ばかり見ている小生にはちょっとしたオドロキというよりショックに近いものだった。速攻で着替えた松下隊長はヒエ取りビギナーの小生を尻目に鎌を持ちヒエ畑いや田圃にばく進していく。素人目には稲とヒエの見極めがつかず前進後退を繰り返しだった小生も午後になるとようやく見極めができるようになり隊長ほどではないが「ややばく進」くらいには進むようになった。「ホレ、見てこう!これが発芽したばかりのヒエの根っこだ」と云って手にとって見せてくれた。約1.5センチ程度の根の長さだった。「春、田圃に水を張って最初に生えたヒエの根もこれくらい。この段階で2センチ位の深さで軽く代掻きしてやるんだ!そうすりゃーここまで立派なヒエ畑にはならないよ」すべての戦略は敵を知ることから始まるのである。「雑草の種類もおおむね6種類ほどだからひとつひとつ対処すればいいんだ」と心強い。「これだけヒエが生える田圃は地力がある証拠!よい田圃になるはずだよ」と励まされるYさん。松下くんが無農薬有機栽培に切り替えてから十数年、彼がどんな苦労し雑草の生えにくい田圃を作ってきたかを一瞬垣間見たような一日だった。今後のYさんの健闘を祈りながら隊員2名は帰途に着いた。


image●お知らせ
松下くんとその友人達が共同著作で本を出版しました。タイトルは「田んぼの教室」田んぼやお米にちなんだ八十八(米)のエピソードにまとめられたとっても興味深い本です。田んぼからお茶碗までのお米について書かれた本って意外に少なく、専門的な内容にもかかわらず子供にもわかりやすく書かれているところが好感持てます。一家に一冊ぜひご購入してください。ちょっとした「米雑学辞典」という感じです。本が発売されて以来、静岡新聞でも取り上げられるなど話題となってます。ちなみに当サイトならびに安東米店での店頭販売はしておりません。

「田んぼの教室」松下明弘、稲垣栄洋、栗山由佳子 共著
家の光協会 1600円

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松&Y

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ばく進中

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ヒエの山

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スカスカ

2003年度 )
刈ったヒエを束ねた造形である。このヒエ束は黒糖などと共にドラム缶に入れて発酵分解させた後それが生えていた田圃の肥料として土にもどる予定。「昨日の敵は今日の友」この世に無駄なものなどないことを実感させてくれる。終わることのない有機的循環はかくも美しい。
刈ったヒエを束ねた造形である。このヒエ束は黒糖などと共にドラム缶に入れて発酵分解させた後それが生えていた田圃の肥料として土にもどる予定。「昨日の敵は今日の友」この世に無駄なものなどないことを実感させてくれる。終わることのない有機的循環はかくも美しい。