すべての田植えが完了して約3週間、今年も田圃の小宇宙を覗きに出かけた。水棲生物観察会と題して企画したこの会に参加していただいたのは3ファミリー8名のみなさん、前回田植え体験会にも参加していただいた方も連続でのご参加、感謝感謝である。
参加者以上に気合い充分の松下くんと小生、水槽とバケツを持ち、いざ!田圃へ!最初のうちは目が慣れずタニシやカエルくらいしか見つけられなかったが、だんだんと目が慣れてくるとヤゴやゲンゴロウさらに小さいヒメゲンゴロウも見つけることができる。そしてお目当ての豊年エビのその半透明で微妙な動きをも捉えることができる。ほんの30分足らずで用意した水槽の中には、ヤゴやゲンゴロウ、豊年エビがいっぱいになった。あらためて松下くんの田圃の豊かさ、生態系の緻密さを実感できた。
田圃の小宇宙でおきている食物連鎖の生態系を簡単にまとめてみた。
- 気温の上昇とともに活発な活動を開始し土中の有機物を分解し繁殖するバクテリアなどの細菌類
- 細菌類をエサとして大発生するミジンコ、ゾウリムシ、アオミドロなどの微生物群
- 微生物群をエサとするおたまじゃくしやイトミミズやタニシたち
- おたまじゃくしやイトミミズなどをエサに集まってくるヤゴやゲンゴロウなどの水生昆虫たち
- そして水生昆虫を目当てにしてツバメやサギが飛来する。
松下くんが畦に生える雑草をがひと掴みして参加者に見せた。「これはここ2〜3年繁殖している渡来系の雑草なんですね」と云う。「これもイネ科の植物で田圃で栽培されている稲とその構造は全く同じなんです」手に持ったその雑草を分解しながら個々の構造を説明してくれた。稲もまた雑草の一部であってその雑草の中で人間とギブアンドテイクの契約を結んだのが田圃の中の稲というわけだ。目の前にある稲の姿を見て、「これがイネ科の植物の本来の姿だよ」とも云う。どうってことない様に見える稲であるが、一般的なこの時期の稲の姿と見比べると丈が短く全体に扇のように葉が広がっている。「扇のように広がっているのはイネ科植物の本来の姿で密集しない植え方と、化学肥料が入っていないことでイネが本来の姿を取り戻すんだ」松下くんの田圃の稲は限りなく雑草全とした姿で太陽をいっぱい受けて堂々としていた。
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