土がぼくらにくれたもの 「検地」 | |
登呂遺跡で行う全7回のワークショップが5月19日からいよいよ始まる。 僕が講師として担当するのは3回(7月7日)と7回(11月17日)。
これまでに僕が学んだこと、気づいたこと、疑問に思ったことをベースに参加者皆さんと共に
なぜ?を考えていきたいと思っている。
考えるといっても机の上で考えるのではない。
太陽の下(あるいは雨降りの下)、五感をつかって感じる先に生まれる気づき。
そこが僕の思う、このワークショップの肝みたいなものだ。
僕が担当する回では、そのための仕掛けをいくつか用意している。
そのひとつが「検地」
じつは10年くらい前、掛川で行ったワークショップでもやったことがある。
田んぼに入り、その田んぼでどれくらいの米の収穫量があるのかを計算するのだ。
計算で出た数字と実際を比較する。
それを現代の田んぼと復元した登呂の田んぼ両方で行うのだ。
恥ずかしい話しだが、10年前に掛川で行った時、僕はなぜだか涙腺がゆるんだ。
無名の先人たちが何千年もの間、止むことなく毎年毎年稲を育てた先に今があること。
その名前も知らない先人にバトンを渡されて走っている。そんな気がして感動したからだ。
今回もそんな思いで弥生時代の登呂までタイムトリップして検地する。
また涙腺ゆるむかな?笑。
_
|
ARTORO アートロ あー登呂 | |
なぜ米を搗くのか? なぜ米を研ぐのか?
なぜ米を水に浸すのか?
なぜ一日三食なのか?
そもそもなぜ米なのか?
あたりまえだと思っていることを今一度考え直す。
なぜをやり直したい。
今年、登呂遺跡でワークショップを行います。
連続7回講座「土がぼくらにくれたもの」
美術家、陶芸作家の本原玲子さんの発案にアンコメ店主も共鳴しました。
同じように共鳴した仲間たちで講師を勤めます。
なぜを問い直すことで別の人の暮らしと営みの歴史があったかもしれない。
震災の時、あの忌まわしい大事故が起こった時にふと思った。
そもそも、なぜこういう選択を先人たちはし、僕もしてきたのか?
何を欲し、何と縁を切って来たのか?その理由が知りたい。
良かったことも、そうでなかったことも、分け隔てなくきちんと見つめ直したい。
そのためにはどこへ行けばいいのか?どこまで戻ればいいのか?
それは弥生時代だと思った。
稲作が定着し余剰が生まれ分業化していくその始まりの頃。
我々が生きてきた社会基盤の黎明期はこの頃なんだと思った。
そこである日、身近にある登呂遺跡を訪ねたのだ。
復元住居の中、台付き甕型土器(レプリカ)での赤米の調理の過程をじっくり見、そして食した。
その調理は「炊飯」を学んでいる僕の目には「炊く」には見えなかった。
だとすれば「炊く」とはいつから始まったのか?
「炊飯とは何か?」を僕が知らなければ、
この台付き甕型土器による米調理を「炊く」と言っていたに違いない。
たぶん多くの人は、日々の一つ一つについて見ているようで見ていない。
考えているようで考えていない。
日常化した作業のあれこれについて、「そもそもこれはどうだったのかな?」なんてことは考えることはないだろう。
ひとつだけ救いなのは、複雑に分業化された社会の中の自らの担当部分ついては見ているし考えてる。
僕が「炊飯」を知っていたように。
そういうバラバラになった目を今一度参加者全員でつなげると何が見えて、何に気づくだろうか?
5月19日から始まる全7回の講座「土がぼくらにくれたもの」では、土で稲を育て、土で器を作り、土器で調理し食す。
田んぼからお茶碗まで、稲作と共に半年間、「なぜ」をやり直そうと考えています。
連続7回講座
土がぼくらにくれたもの
第1回
5月19日(日)13:00-16:00
『土の製造元は、地球!〜土の採取・人と土のなが〜い関係〜』
講師:本原玲子
第2回
6月9日(日)13:00-16:00
『土で、米を作る。〜米は種。なぜ撒かないの?〜』
講師:青木嘉孝
第3回
7月7日(日)13:00-16:00
『土で、稲を育てる。〜田んぼにも個性がある〜』
講師:長坂潔曉
第4回
8月4日(日)13:00-16:00
『土で、器を作る。〜田んぼの土が焼きものになる?〜』
講師:本原玲子
第5回
9月8日(日)13:00-16:00
『土で、作った楽器で遊ぶ。〜きもちを音で伝える〜』
講師:菊池保朗、本原玲子
第6回
10月20日(日)13:00-16:00
『土で、育った稲を穫る。〜穂刈りと脱穀〜』
講師:本原玲子
第7回
11月17日(日)10:00-16:00
『土からの恵みを、食べる。〜野焼きと収穫祭〜』
講師:長坂潔曉、本原玲子
申し込み受付:4月20日〜5月15日
対象:小学5年生以上30名
詳細、お申し込みは登呂会議委員会事務局まで。
関連記事
|
森町へ。 | |
土砂降りの第二東名を森町で降りると雨が上がった。 当店の定番米、森町の堀内米。「コシヒカリ」、「キヌヒカリ」、「にこまる」。
僕がアリーナと勝手に呼んでいる森町らしい広々とした田園の真ん中に堀内さんの田んぼはある。
今回は今年栽培する25年産のことで伺った。
堀内さんは冬の間、レタス栽培に精を出す。
そろそろそのシーズンも終盤。
収穫中のレタス畑で話をした。
ちょっと寒かった。
品種と必要量。
その程度のことならば電話でも済ませることなのだけど、
やっぱり現場に行き、直接会って話すことはとても重要。
なにより田んぼの様子をも知りたい。感じたい。
田植え前は関係ないように思うかもしれないが、田んぼは休んでいない。
雨の量や気温で田んぼ内の有機物の分解具合が変わる。
その変化によって田植え後の生長に変化をもたらす。
些細なことだけど、それが頭に入っていると稲生長の機微が少しだけわかる。
なにより生産者が発する言葉の意味が理解できる。
それをやっておくと、どうでもいいような畦傍の会話が時として金言に聞こえてきちゃうから面白い。
だから現場に行く。
第二東名ができて近くなった森町、今年も通うことになりそうだ。
_
画像上:25年産もこの田んぼ。4月20日頃、コシヒカリから田植えがはじまる。
画像中:レタス畑。今年は3月の気温が高いことで生長が早く収穫に追われている。
画像下:この収穫が終われば、いよいよ稲作キックオフ。とりたてレタス旨かった〜。
|
使わなくなったもの。使っているもの。 | |
精米工場にある道具をあらためて見てみた。 せっかくだから写真も撮ってみた。
その中には使わなくなったものがあったり、
今でも現役でつかっているものがあった。
そのどれもが手に馴染んでいる。
_
画像上:手鉤(てかぎ)
玄米が麻袋(またい:麻製)や叺(かます:藁製)ピー袋(ぴーたい:ポリエステル製)に入れられお米流通の主流だった時代の道具。麻袋も叺もピー袋も一袋(一俵)が60キロ。これを担ぐ時、張り込む(精米装置に玄米を入れる作業)時に袋に刺して手の役割をした。たしか15年前くらいまでには毎日使っていた記憶がある。爪の微妙な角度とカナグリの形状で使う人の好みがあった。
画像中:箕(み)
今でも箕は精米工場で日常的に使う道具のひとつ。最近のモノは出来の悪いものもありますが、画像のこれはしなり具合も良く使いやすくお気に入り。「2005年11月8日7700円購入」と裏書き。社長の癖です。
画像下:精米機(せいまいき)
玄米の糠層を削って白米にする心臓部。この工程の後、篩選別と色彩選別をし白米完成品となる
|
さいたさいた、さくらがさいた。2年後。 | |
あの震災から9日後、 お彼岸の日にもここで桜を愛でていた。
今日はその9日間のことを、この庭の園主とお茶を呑みながら思い出した。
お米が買えないと言って押し寄せるようにやって来た人の波。
緊急物資として出荷依頼された大量の精米。
急きょガソリンや物資を積んで茨城へ走る仲間。
ネット上で行き交う情報に増幅する憂い。
ここにいてできることは目の前の仕事をきちんとやることと電気を消すくらいだった。
変わらなきゃ・・・の思いをしてから2年、
少しできたことと、ぜんぜんできてないことを確認できた。
今もって混沌としている状況には変わりはない。
だけど今年も桜が咲いた。
さいたさいた、さくらがさいた。
_
2年前の記事から |
桜エビもち | |
2ヶ月に一回行う異業種の集まる勉強会。
今回は年末に行う予定で延期になっていた餅つき大会でした。
そのメインイベントはやっぱりこれ。
桜エビもち。
蒸かした餅米を臼に入れたら、桜エビと塩(適量)を入れ小搗く。
桜エビとお餅が馴染んだら本搗き。
搗きたても美味しいけれど、焼くと香ばしさが増してさらに美味いですよ。
当日は七輪で炙っていただきました。
桜えびの食べ方としては、かき揚げが一番!だったと思っていたけど、
桜エビもち、一番!と、いいたくなってきちゃいました。
餅つき機でも簡単にできると思います。ぜひお試しください。
_
|
お・むすびじゅつ 1週間前 | |
2月24日に行うワークショップ「お・むすびじゅつ」に向け本格的な準備作業開始。
今日は安倍川東稜、真富士山(1300m)付近で狩猟された鹿の肉を入手した。
「お・むすびじゅつ」面白くなってきました。
_
協力:ユーカリのくらた 倉田さん
|
土くれ。 | |
土は何十年、何百年、何千年、何万年・・・
田んぼの土は、その気の遠くなるような時間をかけてできた土を基礎にして
だから小さな土くれだって愛おしい。
おおげさかな〜?いや、おおげさじゃないよね。
_
|
羽釜スイハニング三番勝負。 | |
2月の連休、羽釜でスイハニングする機会を得た。
羽釜は金属であるから火のコントロールがリニア。つまり一体感がある。 愛用の3升釜を持ち込んだのは友人宅。
浸漬水温が低い(8℃)ことと、 どうやらそれが失敗だった。
気を取り直して玄米を準備。2回戦。
3回戦目は翌午前中。現場はアウトドア。 1回戦の教訓から加水量は浸漬米重量の90%
「はじめチョロチョロ、中パッパ、ブツブツいう頃火を引いて、最後にひと掴みの藁燃やし、赤子泣いても蓋とるな」
次なるミッションは2月24日、お・むすびじゅつ。
_ |
同じ釜の飯をくう。つまり、ただそれだけのこと。 | |
今年はごはん炊きのご依頼が多い。
今日はとある幼稚園の父母の会からご依頼で近所の公民館へ参上した。
そんな調子だから大切なことは伝えなきゃと思いつつも、
一、お米は水に2時間浸して。
誰でもすぐできるアンコメ流土鍋スイハニングのワークショップ、
_
画像上:チームごとにお米の品種や水加減が異なるものの、どれもちゃんと炊けました。
|