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10月19日号 ようやく入荷!松下×安米ヒノヒカリの巻

 イライラした顔がいつもの空色のオンボロトラックから降りてきた。そのイライラ面の男はやたらと急いでいる様子で倉庫に入るやいなや積荷の玄米を降ろし始めた。云うまでもなくこのイライラ面の男この松下明弘その人である。2004年平成16年産松下×安米プロジェクトの主力品種ヒノヒカリはこうして安東米店に入荷したのだ。

何故、松下くんがこんなにもイライラしているかと云えば、それはお天気のせいなのである。度重なる台風と秋雨前線の活動により稲刈りが進まず例年よりスケジュールが押しているのである。じつはこのヒノヒカリでさえ1週間から10日の遅れでようやく稲刈りをし乾燥、籾摺り、袋詰そして今日ようやく検査を終え出荷したくらいだ。そればかりかこの後に稲刈りを控えている晩生品種山田錦(酒造用好適米)も明日から降るらしい雨でさらに遅れるということで今日は夜通し稲刈りをしてでも遅れた分を追いつきたいと思っているらしいのだ。そんな状況が彼の顔をイライラ面にしているというわけなのだ。

さて、そのヒノヒカリである。このコンテンツでもレポートしているとおり今年は夏はまさに猛暑。高温障害が懸念されたもののヒノヒカリの登熟期を向かえる9月には夜間気温もぐっと下がり近年では最高の仕上がりが期待されていた。しかしである。最後の最後、収穫期に雨にたたられた。ベストのタイミングからやや遅れ若干刈り遅れ気味の収穫となってしまったのだ。それが品質や食味にどう影響したか?早速試食をしてみた。毎年のことだが僕にとってこの時が一番緊張する瞬間だ。全部で52俵(玄米で3120kg)、「万が一マズイ米だったら・・・どうしよう」なんて一瞬脳裏をかすめるのだ。
結果はそんな心配も吹っ飛ぶほどのすばらしい出来ばえだった。僕が思う美味しいお米の要素、粘り、歯応え、舌触り、はほぼパーフェクト。甘みはだけはややあっさりしているものの僕が関わるようになってからの過去4年間の中では最も糖度のあるお米となった。唯一気になるのは、今後刈り遅れによる影響がどのように出るか?冬から春に向けての食味の変化を追跡調査していくつもりである。いづれにしても松下×安米プロジェクト発足以来最高の出来ばえとなったヒノヒカリ、後はみなさんの評価を待つばかりである。


ヒノヒカリ


ヒノヒカリ


研ぐ

今回のNOISY(ノイジー)

※ノイジーとは・・・
このコンテンツ2004のテーマは「この風味を作るもの」松下くんの手掛けるお米の持つ独自の風味の謎を探るキーワードです。くわしくは4月25日号「この風味を作るものは何か?の巻」をごらんください。

「米研ぎ」である。近年、死語のようでもあるこの数分の行為こそ米と対話できる唯一無二の時間であると僕は思う。サッと水を差しサッと流す。米と米を擦り合わせるように掌(たなごごろ)を使ってすばやく且つ強くなく優しくない力加減で研ぐ。この時、物云わぬ米がほんの少しだけその重い口を開く。その米がどこで育ちどんな生い立ちを辿ったのか。またどうしてもらいたかを・・・。そんな対話を終え研ぎあがった米は澄んだ水の中でゆっくりと乳白に変化していく。米は幾人もの人の手を経てこうして米研ぎの人の手によってご飯になる。米に関わるこ
「米研ぎ」である。近年、死語のようでもあるこの数分の行為こそ米と対話できる唯一無二の時間であると僕は思う。サッと水を差しサッと流す。米と米を擦り合わせるように掌(たなごごろ)を使ってすばやく且つ強くなく優しくない力加減で研ぐ。この時、物云わぬ米がほんの少しだけその重い口を開く。その米がどこで育ちどんな生い立ちを辿ったのか。またどうしてもらいたかを・・・。そんな対話を終え研ぎあがった米は澄んだ水の中でゆっくりと乳白に変化していく。米は幾人もの人の手を経てこうして米研ぎの人の手によってご飯になる。米に関わることとなるすべての事象がその米の味のエッセンスとなる。あなたの手塩にかけた米研ぎも米の味の重要なエッセンスになるのだ。
2004年01月27日 [ 3496hit ]
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