TOP  >  ankome通信  >  アンコメ米作りプロジェクト  >  2009年度  >  9月6日号 いよいよ早生から収穫スタート。
9月6日号 いよいよ早生から収穫スタート。
image

スカッと明るい清々しい姿のこの稲は巨大胚芽米カミアカリ。密植しない上に、茎数が少なかったので余計にそのように見える。姿から感じる質は、かなり期待できる。

 気がつけば9月、吹く風に湿気がなくなり、朝晩の気温がぐっと下がる。思えばこの間、田植えをしたばかりかと思ったらあっという間に収穫の季節。時間の経つのが早く感じるのは年齢のせいなのか?ここ数年の一週間は、実際のところちゃんと数えたら5日位しかないのではないかと、疑いたくなる。それほどに時間の経過を早く感じる
かつて読んだことがある本に「像の時間、ネズミの時間」がある。その本のとおりなら、体重が重い動物ほど時間の流れが遅いはずなのだが、ここ数年の体重の増加ぶりからすると、その理論とは真逆の結果である。どうしたものか、仕方がないから、「時間よ〜止まれ〜」と叫ぶほかない。そんな気分で松下の田圃へ走った。

 「来週あたりから稲刈りし始めるから・・・」と、松下から電話連絡はもらっていた。早生品種から始まり晩生品種まで、これから約一ヶ月に渡って順次稲刈りをしていく。その最初が、巨大胚芽米カミアカリである。
20日ぶりに見る姿に惚れ惚れする。日差しは強いがカラッとした乾いた空気を通して見る姿は葉色抜け、スカッとした明るい色。それらが作り出す集合体は「黄金色」である。この田圃もあと数日で収穫に違いない。

 「スズメにやれちゃうから、一枚だけ刈っちゃったよ〜」。

 作業場へ寄ると、松下が乾燥機の前で作業をしている。何をしているのかを問いただすと、今しがたスズメの餌食になりかかっているカミアカリの田圃一枚を収穫してきたとのこと。
そこで収量がどれくらいかを聞いてみると、スズメの分を差し引いても反収6俵(玄米で360キロ)くらいだと言う。それは、あのスカッと晴れやかな姿から想像していたとおり、想定していた反収7俵を下回るものだった。

image

日中の日差しは強く気温31度、湿度50%以下、暑いけどじつに快適。これで夜間気温がぐっと下がるから最高のコンディションと言える。

 「やっぱり7月〜8月初旬の日照不足が原因だろうな・・・」。

 私の知る限りの静岡県内の早生品種(有機肥料系栽培の稲)の収量も概ね10%〜15%の収量減と聞いていたので、それなりに覚悟はしていたが実際にその数字を知ると、やはり厳しいなと思うほかない。いかに太陽の恵みが重要なのかを実感する。
しかし、松下はカミアカリだけ栽培しているわけではない。飯米用としては、中生品種の「ヒノヒカリ」「あさひの夢」、そして今年から本格栽培を始めた「いただき」などがある。
これら品種は8月の後半以降に出穂(しゅっすい:穂が出ること)し、夜温の下がる9月〜10月中初旬にかけて登熟(米粒の形成と熟成の期間)をする。
今年は、8月中旬から夏の太陽が帰ってきてくれたおかげで、日照は充分。日中はカンカン照っても、夜温は低く毎日25度前後(静岡市内、藤枝はさらに低いと思われる)。登熟にとって最高の状況がずっと続いているのだ。
そんな状況だから、稲刈り直前に大型台風でも来るんじゃないかと余計な心配をするくらい、あまりにも好条件が続き過ぎて逆に怖いくらいだ。  私のそんな杞憂を知ったか知らずか、松下もまたこんなことを言っていた。

 「この後に何が起こるか分からないから、すべての準備作業を前倒してやっておくことにするよ・・・バカでっかい台風が来てもいいようにな・・・」。

image

作業場にて。明日からの収穫準備をしていると思ったら、すでに一枚だけ稲刈りしてきたという。「スズメの餌食になる前に救出してきた〜」と笑いながら松下は言った。明日から本番、今日発見した機械設備の問題点は、今日中に解決するそうだ。機械の整備全般を自ら解決するスキルがなければ、たった一人の農は務まらないのだ。

 そういう意味では、はるか太平洋上に熱帯低気圧が生まれ、それが台風に成長することを、察知できる技術を現代人は持っている。台風を避けることはできないが、身構えることができるのだ。それは単純に凄いことだと思う。
数日前に台風が上陸することが知ることできれば、準備なり対策なりをすればよいのだから。それを可能にする様々なインフラが、一軒の農家の単位で準備されている。それが現代のニッポンなのである。
ただしこういう情報の行き来は、気象だけではなく、ありとあらゆる事柄で存在している。それは場合によっては厄介なことでもあり、人の生きるリズムさえ狂わせる原因にもなっていることは、多くの人の知るところだ。
私が感じている、「ここ数年の一週間は、実際のところちゃんと数えたら5日位しかないのではないか?」と疑うのも、これが原因かもしれない。
そんな風にして、日々は過ぎ、稲は実っていく。正直言うと、まんざら悪くないと思っている。

クローズアップした巨大胚芽米カミアカリ。米粒の先端部分ほど枝梗(しこう:米粒が付く枝状の部分)の色が抜けているのが判る。また巨大胚芽米特有の胚芽と胚乳の境の線もくっきりとしていて胚芽の大きさ知ることができる。たったひと粒であるが、その一粒一粒がきちんと命を育くみ、次の世代を担う準備をしている。人間はその生命生理活動を利用して、自らの生命維持をしているのだ。「不平不満を言う前に感謝をしなくちゃ!」と、こういう画を見ると思う。クローズアップした巨大胚芽米カミアカリ。米粒の先端部分ほど枝梗(しこう:米粒が付く枝状の部分)の色が抜けているのが判る。また巨大胚芽米特有の胚芽と胚乳の境の線もくっきりとしていて胚芽の大きさ知ることができる。たったひと粒であるが、その一粒一粒がきちんと命を育くみ、次の世代を担う準備をしている。人間はその生命生理活動を利用して、自らの生命維持をしているのだ。「不平不満を言う前に感謝をしなくちゃ!」と、こういう画を見ると思う。

2009年09月06日 [ 3555hit ]
このページを印刷
カテゴリ内ページ移動 ( 11  件):     1 ..  3  4  5  6  7  8  9  .. 11